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首都圏のマンション市況【2017年6月22日・定点観測】



東日本不動産流通機構(レインズ)が毎月10日前後発表している市況トレンド(月例マーケットウオッチ)を基に、最新の中古マンション価格動向をご紹介します。

この価格調査は、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)全体の中古マンションについて、成約件数、在庫件数、新規販売開始件数とその前年対比と、東京都の中古マンションのレインズ登録された成約、販売中在庫、新規販売開始1㎡単価を定点調査し表しています。

定点観測することでわかること



マンション価格の変動は、秒単位で変化する株価や為替とは違います。
その為、おおむねリアルタイムのマンション市況の動きをとらえるのに役立つはずです。

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※画像をクリックすると拡大して見やすくなります。

以下でレインズのコメントを見てみましょう。

首都圏中古マンション件数

2017年5月前年同月比成約件数-0.6% 新規登録件数-2.5% 在庫件数+3.9%

成約件数と新規登録件数は前年比で減少、在庫件数は24 ヶ月連続で前年比増。

○成約件数
5月の首都圏における中古マンション成約件数は前年比マイナス0.6%とほぼ横ばいながら、4月に続いて前年同月を下回った。
○新規登録件数
5月は前年比で2.5%減少し、4 月に続いて前年同月を下回った。前月比もマイナス6.6%と4月に続いて減少した。
○在庫件数
5月は前年比で3.9%増加し、15年6月から24ヶ月連続で前年同月を上回った。前月比はマイナス0.4%と、4ヶ月連続で減少した。

首都圏中古マンション㎡単価

前年比で成約単価は53ヶ月連続、新規登録単価は47ヶ月連続で上昇。

○成約㎡単価
2017年5月前年同月比 成約単価 +5.4% 新規登録単価 +0.8% 在庫単価 +2.6%
5月の首都圏における中古マンション成約㎡単価は前年比で5.4%上昇し、13年1月から53カ月連続で前年同月を上回ったが、前月比では1.8%下落した。
○新規登録㎡単価
5月は前年比プラス0.8%と、ほぼ横ばいながら13 年7月から47ヶ月連続で前年同月を上回ったが、前月比では2.3%下落した。
○在庫㎡単価
5月は前年比で2.6%上昇し、13年12月から42ヶ月連続で前年同月を上回ったが、前年比の上昇率は16年5月から縮小が続いている。前月比はマイナス0.1%であった。

○東京都
5 月の東京都区部は72.24 万円/㎡と前年比で5.1%上昇し、12 年10 月から56 ヶ月連続で前年同月を上回った。
多摩は40.15 万円/㎡と前年比で7.6%上昇し、4 月に続いて前年同月を上回った。

首都圏中古マンション㎡単価

○東京都
5月の東京都区部は72.24 万円/㎡と前年比で5.1%上昇し、12年10月から56ヶ月連続で前年同月を上回った。多摩は40.15万円/㎡と前年比で7.6%上昇し、4月に続いて前年同月を上回った。



上記報告ではこれから先、マンション市況がどうなるかが全く分かりませんね。
ということで、以下ではレインズデータをもとにこれから先のマンション市況について予測してみました。

201405-201705マンション成約(東京都)

201405-201705マンション新規(東京都)

201405-201705マンション在庫(東京都)

中古マンション価格に頭打ち感が強まり、今後は弱含む可能性が出てきています。
東日本不動産流通機構(レインズ)発表のデータによると、中古マンション価格は上昇率が鈍化しています。

これまで値上がり基調を牽引してきた東京都区部でも、中古マンションの変動率がともに前月比マイナスの下落となりました。
それ以外のほとんどの調査地域でも、前年よりも上昇率が縮小して前月比下落しています。

また、ほとんどのエリアで「横ばい」地点が増え、変化に乏しいマーケットの動きになっているといえるでしょう。
値上がり基調がストップしたといっても、直ぐに値下がり傾向に転じるわけではありません。
今まで5年ほど上昇が続いてきました。山で例えるなら今は山の頂上にいることになります。
この山は、とがった山ではありません。山の頂上がなだらかな形になっていると思ってください。
その頂上で膠着状態にある、いわゆる降りる前の「眺めも良いからちょっと休憩」の状態にあります。
ただ、この先のことを言えば、なだらかな山でもいつかは下るようになります。
それがいつなのか?

次ではその時期を見てみましょう。

下図は東日本不動産流通機構(レインズ)が毎月10日前後発表している市況トレンド(月例マーケットウオッチ)の中で、東京都の中古マンションのレインズ登録された成約、販売中在庫、新規販売開始1㎡単価を定点調査し表しています。

この図では面白い傾向がはっきりと確認することができます。

それは、成約1㎡単価と販売中在庫1㎡単価の開きが大きくなっていることです。
また、新規販売1㎡単価は、通常、販売中在庫より高い数値を示していました。これは販売開始時が一番高く売れるという中古マンションの売買法則が有ったからです。
しかし、この新規販売1㎡単価が2016年1月に販売中在庫と同値を示すと、その後は低い数値となっているのです。そかもその開きは増すばかりです。
この状況が何を意味するのか明確です。
それは、これから先のマンション市況の悪化を物語っているのです。
販売中在庫数とその1㎡単価がとても高い山になっていて、その山はどうどん連続したまま落ちてきません。
まるで、熊本県阿蘇地方の外輪山を想像させるくらいに連続しそうです。

首都圏での中古マンションの販売戸数は増加傾向にあります。レインズのデータでは、2016年度の首都圏中古マンションの成約件数は約3万7500戸と過去最高でした。
2017年度もその数値を上回りそうな勢いで増えています。

しかし、そのような中に有っても、日本のマンションマーケットは、日本銀行の超金融緩和策を背景に2013年以降大幅な値上がりを続けてきました。しかし今、16年の伸び率は2%前後となり、前年2016年の15%から急ブレーキが掛かっているのです。

201405-201705 ㎡単価 首都圏

201405-201705 ㎡単価 東京都

東京カンテイの最新調査によると、都内の築10年中古マンション価格(70平方メートル価格)と、都民の平均年収を比較した年収倍率は、2015年が8.57倍と前年の7.61倍から拡大しミニバブル期だった2008年(7.69倍)を上回ったとのことです。
2015年の平均年収は627万円と前年比でほぼ横ばいとなる一方、中古価格は4788万円から5372万円に上昇したと言う報告もあります。

これまで中古マンションは、高い新築マンションの代わりに買われていました。
アベノミクスや日銀の史上最低金利政策も有り、新築マンションを買えない庶民は中古マンションを買っていたのです。
しかし、ここにきて、「中古マンションも値上がりし、庶民には買えない水準となった」ことが価格頭打ちの背景にあると説明できます。

中古マンション好況の終わりはいつ?

結論を言います。
もう、好況な時期は終わっています。
一番良かったのは、2016年3月から4月でした。
これに先立ち、2016年1月、日銀がマイナス金利政策を行いましたが、この後すぐが一番の山の頂上だったと言えるでしょう。

中古マンションは今後は調整局面に向かい、年間数パーセントの下落が予想されると考えられます。

ただ、90年代初めの平成バブル崩壊や、ミニバブル後のようは大幅な値下がりはないでしょう。

販売中を何カ月も続けている皆さんには酷ですが、新規で売却開始される売主は既に、なかなか成約出来ていない販売中のあなたのマンションを見て、販売開始価格を下げて売却開始され始めています。
いつまでも売却金額に夢を抱いている場合ではありません。
決断する時は、早いに事たことは有りません。
遅くなればなるほどマンション市況は悪化して、成約出来たであろう価格でも、もう遅いなんてことにならないように気を付けましょう。

※調査地点は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に限定されたものですので、日本全体を表すものではありません。



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