雪崩のごとく崩れやすい市場
東京は５４年ぶりの雪が降りました。
半世紀も前に降ったきり降ってなかったんですね。
その雪を見ながら、私は東日本橋を歩いていました。
懐かしい。
私はこの地に最初に足を踏み入れてもう既に約30年も時が過ぎ去っていました。
あの時見た景色は、既に大きく変わっていました。
時の流れって速いものです。
東日本橋って地域はとても中小零細企業が多いところです。
否、今ではもう昔の話なのかもしれないって思う時もあります。
中小零細企業の特長と言えば経営判断のスピードの速さと柔軟性の高い経営となると思います。
そのスピードと柔軟な対応力のおかげでリーマン・ショックや東日本大震災などの経済的に影響の大きな事態に際しも平均収益の落ち込みは大手企業程影響を受けないで済み成長してきたわけです。
しかし今、その中小零細企業は「スピード」を落とし柔軟性の高い成長というサイクルを阻害されている状態があります。
それは、今まで優位性が確保されていたリアルタイム性が欠如してしまったこととライフスタイルの変化にあるのかもしれません。
こういった変化には、
こういった変化には、インターネットの普及が関係しています。
私の社会人生活は東京の繊維の街である東日本橋でスタートしました。
京都に本社のある（今はあったというべきでしょうか）繊維関係の中規模商社に入社したんです。
その商社はもう東日本橋にはありません。
その跡地は既に分譲マンションになっています。
私の妹も絵画販売の商社にいましたが、その会社ももうありません。
その場所はこれから売却されおそらくその土地を買うのはマンションデベロッパーか全国フランチャイズチェーン系ホテルではないでしょうか。
今、東日本橋界隈では、今までにない程の変化が起こっています。
その今までにない大きな変化とは、繊維関係の商社が次々に廃業して自社ビルを売っているのです。
そのビルを買うのはマンションデベロッパーか全国フランチャイズチェーン系ホテルです。
そこかしこで中小規模のマンションが開発され分譲されたり賃貸募集しています。
インターネットの普及で私たちの生活は大きく変化しました。
私たちの生活だけではありません。
中小企業の大企業にはない経営判断のスピードの速さと柔軟性の高い経営も無くしました。
元々の商売を根底から変えたとも言えます。
私たちの生活はアマゾンや楽天、ヤフオクなどによって、とても便利になりました。
それらのおかげで商品が店舗レスで流れます。
生産者から消費者へと直に流れます。
そのため商品を陳列する「床」は必要なくなりました。
そのため、商社や卸売業という業種は必要なくなってきたわけです。
インターネットが、商品も情報も「中間省略」してしまったのです。
第２次産業から第３次産業へのシフトが起こり、今はもう新しい社会経済、ビジネスの仕組みへ第４次産業革命へシフトしていると言えます。
第4次産業革命を象徴するキーワードはIoT、ビッグデータ、ロボット、人工知能（AI）等による技術革新と言えましょうか。
不動産業も大きな変化の中にいます。
不動産業は全国に１０万社以上ありますが、そのほとんどが中小企業未満の零細企業です。
その不動産業でもこの第4次産業革命で大きな変化を余儀なくされているのです。
また不動産業でも大家業も大きな変化を余儀なくされています。
その原因は東京都でも多くなりつつある空家の数。
今はまだ約11％程なので目立ちませんが、千代田区などではすでに20％を超えています。
しかし、これが30%になったらどうでしょう？
今は東日本橋あたりで新築マンションを開発分譲してもそれなりの価格で売れます。
でも10年後はどうでしょう？ 20年は・・・・
今の30代の人口は5年後には今より確実に少なくなります。
10年後はもっと少なくなります。20年後は・・・・。
そうなれば、今のようにマンションを作っても売れなくなるでしょう。
でも、第4次産業革命は既に始まっています。
その変化に住居以外の需要はあるでしょうか？
そうでなくても近郊賃貸住宅の空室率はテレ東のＷＢＳでも特集された通り異常な高止まりとなっています。
このままでは、郊外の賃貸市場から崩れ始めます。
この空室率の異常さが顕在化するのは2017年4月以降でしょう。
今はまだ顕在化していませんが、年明け2月3月の賃貸募集旺盛な時期に入居率を高められなかったら。
我慢できないアパートオーナーはいたたまれず売り始めるかも。
そうなれば、雪崩のごとく市場は・・・・・・。
最近特に投資型マンションやアパートの査定が多くなってきています。
また、居住用住宅より投資用物件の売却が目に見えてい多くなっています。
この状況は、さてこれからの社会にどのような未来となって表れるのでしょう。
東京では54年ぶりの雪が降りました。その雪を見ていて『ふと』考えちゃいました。
井上正子
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