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住所変更登記、氏名変更登記を自分で行う方法
【自分で不動産登記にチャレンジ】

更新日2021-10-19 (火) 04:37:46

登記名義人の住所変更登記や氏名変更登記は、いつまでにしなければならないとの期限はありませんでした。しかし、2021年(令和3年)の不動産登記法の改正により、「住所変更登記」「氏名変更登記」の義務化が決まりました。
この改正で、結婚などにより所有者の氏名が変わったり、転勤などで現在の住所に変更があった場合は、その変更があった日から2年以内にその氏名、住所等の変更登記を申請しなければならないとなったのです。
そこでここでは、自分でやる「住所変更登記」「氏名変更登記」の方法を解説します。

もくじ


不動産登記は誰が行うもの⁉

不動産を所有している人が、引越して住民票を移しても、また結婚して性が変わって戸籍謄本の変更が有っても不動産登記簿(登記記録)上の住所や氏名は自動的に変更されることはありません。そこで、登記簿上の住所や氏名を、現在の住所や氏名に変更するために行うのが、登記名義人の住所変更登記や氏名変更登記です。

不動産登記は、司法書士の独占業務であります。

独占業務とは、法令に基づきある業務に対して有資格者のみが行うことができる業務の事をさします。
医師免許がなければ医療行為が行えない、宅地建物取引士の資格がなければ不動産売買契約書の署名捺印、重要事項の説明が行えない、という行為と同様に不動産登記は司法書士の独占業務に該当するのです。

登記手続きは適正かつ円滑に行わなければなりませんので、司法書士法により厳格な規定が定められています。無資格者がその業務を行うと法令違反となり刑罰の対象となってしまいます。

ただし、「他人から依頼を受けて登記申請手続きや申請書類の作成を行うこと」が「業(務)」に該当しますので、そもそも自らが登記申請手続きを行うことは「業(務)」には該当しません。よって自分で登記手続きを行うことは可能ということです。

2023年以降は変更登記をしなければ罰則を受けます!

2021年現在の不動産登記制度では、登記名義人の住所や氏名が変わっても、変更登記をするかどうかは任意となっています。
しかし、所有者不明の土地が増えていて管理に問題が生じていることから、住所・氏名変更登記を義務付ける法改正が2021年3月に閣議決定しました。
これにより2023年以降は、住所・氏名変更登記を怠っていた場合、5万円以下の過料という制裁を受けることになります。
住所・氏名変更登記をしていない不動産がある方は、速やかに手続きすることを考えましょう。

どのような時に住所変更・氏名変更登記が必要なの?

不動産売買では、登記名義人である売主の住所が購入時の前住所であったり(新住所登記と旧住所登記参照)契約時に既に他所に住所移転をして、登記上の住所が現住所と異なることがあります。また、婚姻により氏名が変更されて、登記名義人氏名と現在の氏名が異なる場合もあります。
買主に所有権移転登記する場合、売主は印鑑証明書が必要となり、印鑑証明書は現住所地の市町村により交付されますが、登記上の住所・氏名と印鑑証明書の住所・氏名の一致が必須となります。登記上の住所が異なる住所地の印鑑証明の添付は、同一人物ではない法務局で判断されてしまいます。当然、氏名が異なる場合も同一人物ではないと判断されます。この場合、所有権移転登記申請は却下されてしまいますので、現住所の印鑑証明書の住所・氏名と登記上の住所・氏名を一致させる必要があり、一致させるには、登記上の住所を現住所、登記上の氏名を現在の氏名に変更登記しなければなりません。

いささか小難しい感じがしますが、要は

不動産を売却する際に「印鑑証明書に記載されている住所・氏名」と「登記簿に記載されている住所・氏名」が一致していないといけない。

ということです。

住所変更登記・氏名変更登記の流れ・手順

次に、登記手順を住所変更登記編・氏名変更登記編それぞれに確認しておきましょう。

住所変更登記の手順

①現在事項証明書(登記簿)を取得し、現在登記されている情報等を確認する。
②現在事項証明書(登記簿)に登記されている住所から現住所までの証明書類(住民票の写しもしくは戸籍の附票の写し)を用意する。
③インターネットや法務局で書式確認しながら登記申請書作成する。
④登記申請に必要な書類を綴る。
⑤『収入印紙』を用意し、登記申請書に貼付する。※1
⑥法務局で登記申請を行い登記完了日を確認する。
⑦補正が無ければ後日登記完了証を受け取る。

氏名変更登記の手順

①現在事項証明書(登記簿)を取得し、現在登記されている氏名を確認する。
②氏名変更の分かる戸籍謄本と住民票の写しの両方共用意する。※1
③インターネットや法務局で書式確認しながら登記申請書作成する。
④登記申請に必要な書類を綴る。
⑤『収入印紙』を用意し、登記申請書に貼付する。※2
⑥法務局で登記申請を行い登記完了日を確認する。
⑦補正が無ければ後日登記完了証を受け取る。


※1以前は登記印紙という物が有りましたが、現在は収入印紙を用意します。収入印紙は近くの郵便局で買えますが、もしお近くに郵便局が無い場合や買い忘れた場合は、法務局内やその近隣に買う場所が有ります。

※2住民票に変更前後の氏名と氏名を変更した年月日が記載されているような場合には、戸籍謄本は不要です。

不動産登記申請の下準備

下記に記載している住民票等の必要書類を取得しましょう。
また、登記申請書には地番や地積、家屋番号等の不動産の内容を記入しますので、登記簿謄本もしくは登記事項証明情報を取得しましょう。
法務局もしくはオンラインの登記情報提供サービスで取得することができます。
法務局で登記簿謄本を取得するより、オンラインの登記情報提供サービスで登記情報を取得する方が費用が安くすみます。

※そもそも登記簿謄本を取得するのに「地番」や「家屋番号」が分からない、という方は地番の調べ方・家屋番号の調べ方をご覧になってください。

住所変更・氏名変更登記に必要な物

まずは法務局のホームページより登記申請書をダウンロードしましょう。
こちらのホームページには申請書の記入例も掲載されていますので、記入例を参考に申請書を作成してみましょう。
申請書の作成が完了しましたら、法務局に持参もしくは書留郵便で提出してください。

申請書に添付する書類は
①住民票もしくは戸籍の附票(住所変更登記の場合)
②戸籍謄本(氏名変更の場合)と住民票
③収入印紙

①:登記上の住所A→現在の住所Bへ一度だけ住所が変わっているだけの住所変更登記を行う場合は、住民票で事足ります。
なぜなら、住民票の写しは現住所地の市区役所等でとれますし、そこに前住所(登記上の住所)が記載されているからです。
ただ、登記上の住所A→前の住所B→現在の住所Cなど、複数回住所が変わっている場合は戸籍の附票が必要となります。
住民票では直近の前住所しか記載されていないので、現在の住所までの変遷が分からないのです。
戸籍の附票には、その本籍地になってからの住所の移り変わりが原則全て記載されています。
なお戸籍の附票は、本籍地のある市区役所等で取ることができます。

②:住民票に変更前後の氏名と氏名を変更した年月日が記載されているような場合には、戸籍謄本は不要です。

③:住所変更登記・氏名変更登記には登録免許税が課税されますが、収入印紙を貼付することにより税金を納めることとなります。不動産1つに対して1,000円の収入印紙が必要となりますので、土地・建物の2つの不動産の場合は2,000円の収入印紙を申請書に貼付します。

どこの法務局に提出するの?

登記申請書は対象不動産を管轄する法務局に提出します。
法務局は全ての市区町村にあるわけではありません。私たちコーラル本店のある東京都江東区の物件は墨田区にある「東京法務局墨田出張所」が管轄法務局となります。
インターネットで「横浜市中区 法務局」「静岡県沼津市 法務局」と検索すると管轄法務局が分かりますので、必ず提出前に調べてください。

登記申請の注意点

最後に登記申請時の注意点を解説しておきます。

名義変更にかかる時間に余裕を持つ!

お伝えしましたように、不動産を売却する際に印鑑証明書と登記簿謄本の内容を一致させるために住所(氏名)変更登記を行う必要がありますが、登記申請を行うと登記完了まで10日~2週間程度に日数を要します。
また、提出書類に不備があった場合は修正や再提出が必要となり、追加で時間がかかることも見積もっておかなくてはなりません。
いつ登記申請を行えば、登記完了日がいつなのかを法務局のホームページで確認して、登記の専門家(司法書士)のフォローが無い一個人で書類集めや再提出のことも加味すると1カ月かかると考えたほうが良く、日数に余裕がある時に行ってください。

売買決済前に慌てて登記しないこと!

買主に所有権移転登記を行う直前に慌てて住所変更登記申請などを行ってしまうと、買主への所有権移転登記が約定日に行えない場合もありますのでご注意ください。厳密には登記申請中に追っかけで次の登記申請を行うことは可能ですが、登記申請中はどのような登記内容を申請しているのかを確認できないので、例えば差押えや競売などの所有権移転登記を阻害する恐れのある登記申請が行われていても確認できないので、所有権移転登記を担当する司法書士が買主の権利を保全するために追っかけの登記申請を行わないことになります。
参考:東京法務局登記完了日掲載ページ
住所変更登記などをご自身で行う場合は必ず、登記完了日を確認してから行うようにしましょう。

住所変更登記、氏名変更登記を自分で行う方法・まとめ

「登記手続き」というと専門性の高い分野という印象を受けるかと思いますが、住所変更や氏名変更は比較的簡単な登記申請となります。
基本的には、住民票や戸籍の附票、登記簿謄本に記載されている内容をそのまま申請書に入力していけば申請書は完成しますので、やってみようという方は是非チャレンジしてみてください。
ちょっと心配だな、という方は登記の専門家である司法書士に依頼して下さい。その際のかかる費用としては、先述した収入印紙(登録免許税)とは別に司法書士の報酬として1~2万円程度となります。

住所変更登記、氏名変更登記の利用できるサイトリンク先(URL)

登記申請書はダウンロードしましょう

登記申請書の書式は法務局のホームページでダウンロードできます。記入例を参考に、必要事項を記入していきます。 なお、登記申請書はA4サイズの用紙で作成するという決まりになっています。手書きでもかまいませんが、黒インクのボールペンなど、消えないもので書く必要があります。

●法務局のホームページ
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/fudousan2.html
または、
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html

登記完了日を確認しよう!

登記完了日は事前に確認できます。必ず確認して登記申請しましょう。
但し、もし補正が有る場合は登記完了日に必ず完了するとは限りません。

●東京法務局登記完了日掲載ページ
https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/kanryoyotei.htm


●その他の法務局はことらから確認できます。
https://touki-navi.jp/archives/1625【登記ナビ】

登記事項証明書(登記簿謄本)をインターネットで取得するには

登記情報提供サービスは,法務局(登記所)が保有する登記事項証明書(登記簿謄本)などの登記情報をインターネットを通じてパソコン等の画面上で確認できる有料サービスです。
●登記情報提供サービス
https://www1.touki.or.jp/beginner/index.html

住所変更登記、氏名変更登記の参考になるページ

●新住所登記と旧住所登記とは⁉

●地番の調べ方

●家屋番号の調べ方