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媒介契約・3種類の媒介契約それぞれの特徴とは⁉

更新日2021-08-22 (日) 16:57:52 公開日2021-8-20

不動産売却の仲介を不動産会社に依頼する場合、必ず媒介契約を締結することをご存知でしょうか? 
この媒介契約は3種類があり、それぞれに特徴があります。
ここでは媒介契約と、実際に媒介契約を選ぶ際のポイントを紹介していきます。

なお、不動産の売却や購入を不動産仲介会社(宅建業者)に依頼する場合に、依頼主(売主・買主)が不動産仲介業者と取り交わす書類が「媒介契約書」になります。

★目 次★【媒介契約とは⁉】


媒介とは

媒介契約を解説する前に、多くの人が「媒介」という言葉はあまり聞きなれないかもしれません。
私たち不動産業者も、自分たちの仕事を「不動産仲介業」と名乗っており、「不動産媒介業」とは言っておりません。
媒介の意味も、しっかり良く分かっている業者はいないかもしれないくらい、媒介と仲介を分けて使っていないのです。

媒介 仲介 違い

ここで質問。

「媒介」と「仲介」って何が違うのでしょうか?

答えは・・・、

ほぼ同一の意味を持ちます。

正直言いますと、お客様から改めて「媒介」と「仲介」って何が違うの?と聞かれても上手く回答する自信がありませんので、ググってみました。

色々な不動産会社が「媒介」と「仲介」の違いを解説していましたが、どれもピンとくる回答ではなく、私なりの結論としては【「媒介」も「仲介」も同じじゃね】というところです。

それでもしつこく「あんたプロでしょ。ちゃんと説明してよ」という方がいたら

媒介:依頼主(売主・買主)から不動産の売却や購入の依頼を受ける時の契約時の用語。

仲介:不動産業者が依頼主から依頼を受けて実際に行う行為。

というのが自分としてはシックリきます。正解なのかは分かりませんが。

媒介契約の内容と種類

では本題です。

「媒介契約」につきまして解説してまいります。

とは言いましても、

「媒介契約」につきましても色々なサイト(コーラルのHPでも)で解説しておりますので、ここで説明するのも今更という気もしますので、今回は少し内容を掘り下げて解説していきます。

媒介契約書に記載されている項目をいくつかピックアップして説明していきます。

1.標準媒介契約約款

どこの不動産業者も同じような内容の書類を使用しています。

媒介契約書の1ページ目出だし部分(厳密には1ページ目右上隅)に
「この媒介契約は、国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づく契約です。」という記載があります。

標準媒介契約約款は、不動産の管轄省庁である国土交通省が、依頼主(売主・買主)を保護するために契約内容を分かりやすくすることで円滑な取引を行えるように、この書類を用いなさいと指導しているものです。

よって、ほぼどこの業者も同じような内容が記載されてくるのです。

今まで「国土交通省が定めた標準媒介契約約款に基づく契約です。」という文言が記載されていない媒介契約書を見たことがありませんが、万が一この文言が記載されていない媒介契約書が提示されたら、ちょっと恐いです。この場合は契約しない方が無難です。

2.依頼の内容

次に、「売却」「購入」「交換」のうち、いずれの依頼をしたいのかをチェックする欄が印字されております。

20年以上不動産仲介の仕事をしていますが、売却活動依頼が多く、いままでに「交換」の依頼を受けたことはありません。
「交換」は滅茶苦茶レアなケースだと思いますが、要は購入依頼・売却依頼・交換依頼のいずれにも対応しています。

個人的には、売却の仲介の業務内容と購入の仲介の業務内容は全く違いますので、売却依頼・購入依頼でそれぞれ別の媒介契約書があるべきだと思うのですが、現状では売却・購入・交換の依頼全てに対応できるないようとなっています。

3.媒介契約の種類・型式

媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類ありますが、それぞれの概略が以下のように記載されています。

種類の媒介契約

媒介契約名専属専任媒介契約専任媒介契約一般媒介契約
契約できる不動産業者数1社のみ1社のみ何社でも可
売主が買い手を見つける不可
売主への売却状況報告頻度1週間に1回以上2週間に1回以上報告義務なし
レインズへの登録媒介契約締結後5日以内媒介契約締結後7日以内登録義務なし
囲い込みの心配有る有る無い


「専属専任媒介契約型式」

依頼主は、目的物件の売買または交換の媒介又は代理を、当社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができません。

依頼主は、自ら発見した相手方と売買または交換の契約を締結することができません。

当社を含めすべての不動産会社が、目的物件を国土交通大臣が指定した指定流通機構(レインズ)に登録します。

「専任媒介契約型式」

依頼主は、目的物件の売買または交換の媒介又は代理を、当社以外の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができません。

依頼主は、自ら発見した相手方と売買または交換の契約を締結することができます。

当社は、目的物件を国土交通大臣が指定した指定流通機構に登録します。

「一般媒介契約型式」

依頼主は、目的物件の売買または交換の媒介又は代理を、当社以外の複数の宅地建物取引業者に重ねて依頼することができます。

依頼主は、自ら発見した相手方と売買または交換の契約を締結することができます。

4.成約に向けての義務(不動産業者の義務)

媒介契約により私ども不動産仲介業者には依頼主に対しての義務を負うことになりますが、私どもの義務は「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の契約内容により異なってきます。

①専属専任媒介における不動産業者の義務

以下の5項目が義務付けられております。

・契約の相手方を探索するとともに契約の相手方との契約条件の調整等を行い、契約の成立に向けて積極的に努力する。
・依頼者に対して電子メールまたは文書にて1週間に1回以上の頻度で業務の処理状況を報告する。
・目的物件の売買または交換の申込みがあったときは遅滞なく依頼者に報告する。
・広く契約の相手方を探索するために目的物件の所在地、規模、媒介価格などを指定流通機構に媒介契約締結の日の翌日から5営業日以内に登録する。
・前項の指定流通機構に登録したら、登録を証する書面を依頼者に交付すること。

②専任媒介契約における不動産業者の義務

専属専任媒介と同じ5項目ですが、
・契約の相手方を探索するとともに契約の相手方との契約条件の調整等を行い、契約の成立に向けて積極的に努力する。

・依頼者に対して電子メールまたは文書にて2週間に1回以上の頻度で業務の処理状況を報告する。
・目的物件の売買または交換の申込みがあったときは遅滞なく依頼者に報告する。
・広く契約の相手方を探索するために目的物件の所在地、規模、媒介価格などを指定流通機構に媒介契約締結の日の翌日から7営業日以内に登録する。
・前項の指定流通機構に登録したら、登録を証する書面を依頼者に交付すること。

2週間に1回以上、7営業日以内という期日が少しゆるくなっているところが専属専任媒介と違ってきます。

③一般媒介契約における不動産業者の義務

一般媒介契約に至ってはわずか2項目しか義務付けられていません。
・契約の相手方との契約条件の調整等を行い、契約の成立に向けて積極的に努力する。
・目的物件の売買または交換の申込みがあったときは遅滞なく依頼者に報告する。

後ほど、媒介契約の期間についても記載していきますが、媒介契約の期間は3カ月としている業者が殆どです。

もし3カ月間の契約を結んだ場合、依頼主が業者に対して不満・不安・不服を感じて「お宅とは縁を切りたい」と1カ月のタイミングで申し出ても、

業者側より
「積極的に努力してますよ」
「1週間に1回、業務処理状況をメールしてますよ」
「5営業日以内に指定流通機構に登録しましたよ」

と義務を果たしていることを主張された場合、媒介契約の解除は困難になってきます。

不安や不満を感じながら嫌々3カ月間付き合わなければなりません。
専任媒介や専属専任媒介の場合は、その間他の業者に重ねて依頼することもできません。

5.依頼者の義務

専任媒介契約で定めている依頼者側の義務は以下1項目です。

・自ら発見した相手方と契約の締結をしようとするときは、その旨を業者に通知しなければなりません。

一般媒介で定めている依頼者側の義務は2項目あります。
・自ら発見した相手方、もしくは他の業者を介して契約を締結させた場合、遅滞なくその旨を通知しなくてはなりません。
・他の業者にも重ねて依頼する場合は、その旨を業者に通知しなければなりません。

【ワンポイント】

専任媒介の場合は売却を依頼している業者を介さないで、自分で探してきた人(例えば親戚や知人・隣人など)と契約することができます。

ただし、媒介契約書の文言では「契約の締結をしようとするときはその旨を通知しなければならない」と記載されていますので、契約締結前に事前通知する必要があります。

一方、一般媒介契約の場合も業者を介さない買主との直接取引や、他の不動産会社を介しての契約締結が可能となっていますが、「契約を締結させた場合、遅滞なくその旨を通知しなくてはなりません」としております。
一般媒介の場合は事後通知でOKということです。

以上の通知義務を怠った場合は業者から費用の償還として最大で約定報酬額(仲介手数料分)を請求される場合がありますのでご注意ください。

また、専任媒介・専属専任媒介期間中に、依頼している業者を排除して売買契約を締結した場合は契約違反による違約金として約定報酬額(仲介手数料)相当を請求される場合もあります。

6.媒介契約の期間

媒介契約の期間については標準媒介契約約款にて「3カ月を超えない範囲で」と定められています。実は3カ月が当たり前ではないです。契約期間は3カ月を超えない範囲で任意で決められるのです。

媒介契約期間が3カ月だと、もし質の悪い業者に依頼してしまった場合、

「最初の1カ月は両手仲介狙いで物件を囲いこんじゃおう」となってしまう可能性があります。

これが契約期間1カ月であれば、囲い込みなんかしている間に期間満了してしまい、他の業者に依頼替えされてしまうかもしれません。

【ワンポイント】

成約に向けての義務にありましたように、業者に不満・不安があっても媒介契約期間3カ月、依頼者は業者との媒介契約の解除ができません。
また、悪質な業者の場合は物件の囲い込みをされてしまうという懸念もあります。

媒介契約期間は3カ月を超えない範囲で任意で決められますので、
「まずは1カ月の契約でお願いします。1カ月間の反応をみて更新を検討します」
と媒介契約締結時に業者に申し出るのも一考です。
これを渋る業者は依頼するのをやめた方が良いかもしれません。

コーラルでは媒介契約期間3カ月でお受けすることが多いのですが、特約で「コーラルが気に入らなかったら、コーラルのやり方で成果が見込めないと判断したら、1カ月で契約を解除してもいいですよ」という特約を付しております。

7.約定報酬額

売買契約ができた場合に仲介手数料という報酬を依頼者からいただきますが、その報酬額を媒介契約書に記載します。これを約定報酬額といいます。

売却依頼の場合は、まだ成約価格が決まっていない段階で報酬額を契約書に記載しますので
「成約価格の3%+6万円」と「左記に係る消費税」
という感じで記載します。

ただし、「3%+6万円+消費税」は依頼主からいただける上限金額となっていますので、媒介契約期間と同様に、「成約価格の1%」と依頼主・業者お互いが合意すれば任意の金額とすることができます。

購入依頼の場合は、売買契約締結と同時に業者と媒介契約を締結することが一般的で、その時点で物件の成約価格は決まっていますので、30万円とか100万円とか具体的に約定報酬額を記載します。

【まとめ】

今回は媒介契約書をちょっと掘り下げて解説してみました。

媒介契約は3種類あり、それぞれにメリット・デメリットが有り、内容を十分理解し、あなたに合った内容で締結するようにしましょう。

なお、どの契約も国土交通省の定める標準媒介契約約款を用いて媒介契約を締結するが一般的ですが、お互いで条件に合意すれば契約期間や約定報酬額(仲介手数料)など、任意で定めることができます。

依頼主の知識がないことに、「標準の契約書です」とちゃんと説明もなく、当たり前のように3カ月、当たり前のように3%+6万円を提示する業者が殆どです。

くれぐれも言いなりに媒介契約は結ばないようにしましょう。

ちなみに、依頼主に不利になる条件(媒介契約期間4カ月など)は無効となりますし、仲介手数料6%下さいというのは宅建業法違反となります。

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