パッシブハウスとは?

皆さん、こんにちは!
パッションはまあまあある方だと自分のことを思っている主婦、ヤマダです。

さて、冒頭にて不動産関係のブログに不似合いな「パッション」などという言葉を出してしまいましたがこれには少々理由があります。
先日、夫とテレビを見ていたときのこと、とあるワードが耳に飛び込んできたのです。

それが今回のタイトルの「パッシブハウス」でした。

いかんせん、無知なものでして……パッシブ?がとっさにわからず夫に、

「パッシブってなんだっけ?」

と尋ねてみたのです。それに対して返ってきた答えが……。

「情熱だろ」

で……。

いやいやいや!情熱はパッションやん!
とツッコミを入れてしまったのですが(笑)
大変失礼しました……。

しかしそうするとですね、パッシブってなによ?と思い、辞書を調べてみたのです。

”パッシブ(passive)
自分からは積極的に働きかけないさま。受動的。消極的。“
引用:コトバンク デジタル大辞泉
https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%96-602602

対義語がアクティブ。響きだけ聞くと情熱に近いのに、意味は真逆。
そして何より気になるのがそこにハウスがつくこと。
消極的な家?

これはどういう意味なのか。
ということで今日はパッシブハウスとはどんなものかについて調べてみたいと思います。



1. パッシブハウスとは

さて、パッシブハウスとはどんなものか。早速調べてみました。
めちゃくちゃ簡単に言うと、建材、建築法などをフル活用し、ごくごく小さなエネルギーでも快適に過ごせる家、ということのようです。
ただ、よくいうエコハウスよりパッシブハウスの方が厳しい認定基準があるところが特徴です。
そもそもパッシブハウスという言葉が生まれたのは1991年のこと。ドイツのパッシブ研究所にて提唱されたそうで、パッシブ研究所において定められた基準を満たすことでパッシブハウス、として認められます。(日本においてはパッシブハウス・ジャパンにて認定された工務店にて建てることができます)。
パッシブハウスが生まれたドイツではセントラルヒーティング暖房、いわゆるボイラーを使って蒸気を発生させ、その蒸気で建物全体を暖める暖房が一般的だとか。しかしボイラーといえばやっぱりコストもかかりますし暖めたいところだけ効率的に暖めるということも難しいと課題もあります。しかしパッシブの反対語、アクティブをボイラーのようなセントラルヒーティング暖房とするならば、パッシブはそうしたアクションを起こさずとも暖かくできるということ。これは素晴らしいですよね。
さて、ではどんな基準値なのか。
それが以下です!

・冷暖房負荷 各15kwh/m2以下
・一次エネルギー消費量 120kwh/m2以下
・気密性能として50Paの加圧時の漏気回数0.6回以下

・・・?
だめです。無知すぎて言葉の意味がわかりません。。!
ということで一つずつ調べてみました。

・冷暖房負荷 各15kwh/m2以下
これはいわゆる家の燃費を表す数値のようです。車におけるガソリンで1Lあたり何キロ走れるみたいな考え方がありますがあれの家版ということですね!
その家の燃費を1 m2あたりを暖める、冷やすのに必要なエネルギー量を15kwh以下にしなさい!ということです。
地域によって冷房、暖房を使う頻度も違いますから一概には言えませんが、パッシブハウスではない家と比べた場合、約1/3〜1/4程度の負荷であることが求められています。なかなかに厳しい基準かもと思えてきます・・・!

・一次エネルギー消費量 120kwh/m2以下
こちらはそもそもその家で使われるエネルギー量全体に着目した数値で、この数値が低ければ低いほど環境に与える影響が少なく、より高基準の家と言われるよう。ここには冷房暖房だけではなく、照明、給湯設備など、家で使われるすべてのエネルギー量が含められます。
快適に過ごそうとすればするほどエネルギーは使いますよね……。しかし使えば使うほど環境にもダメージを与えてしまう。人間とは本当に困った生き物……と人間の存在意義について考えている場合ではないのですが、どうしてもエネルギーを消費してしまうならば、せめて少なく済むように設計された家に住む。それって大事だなあと感じたりします。

・気密性能として50Paの加圧時の漏気回数0.6回以下
難しすぎて言葉の意味がわからんわ!と憤慨しながら調べた結果、わかりました!
簡単にいうと加圧したとき家からどれくらい空気が漏れるか、気密性を表したときの数値だったのです。
よく暖まり、よく冷える。そのために必要なことは空気の漏れが極力少ないこと。
私は実は花粉症が結構ひどいですから、正直、気密性が高いのは非常に助かります。

こうして調べてみて感じたのは、パッシブハウスというのは非常に健康と環境に配慮して作られる家だ、ということ。
年々、温暖化は進み、自然災害も増え、環境においても健康においても悲鳴をあげたくなる状態が増していっています。
パッシブハウスは憂慮すべき問題に対し、建築の現場から対応していっているようですごく素敵だなあと感じます。

パッシブハウス

とはいえ、これらの基準を聞いても正直あまりぴんとこないのも事実。
そもそも基準クリアってそんなに大変なの?と思っていたのですが、具体的にどんな家を建てる必要があるのか調べてみて驚きました。
そもそもパッシブハウスとは最小限のエネルギーで快適に過ごせる家。外気に左右されず、室内を一定の温度湿度で保つことができる家です。それを実現するためには高断熱、高気密であることが求められます。
高断熱、高気密を可能にするためには外気が伝わりにくくしなければならない。
伝わりにくくするためにはどうしたらいいか。
壁、床、天井の厚さを分厚くすることです。
よくマンションの最上階は夏暑くて敵わない、などと言いますが、これも熱が天井を容易に貫通してしまう權坐の薄さに問題があるとも言えます。最上階でない部屋が最上階よりも涼しく過ごせるのは熱が伝わりにくい状況にあるからなので。
ということで、外気が伝わりにくくし、エネルギー効率をパッシブハウスの基準になるようにするために天井、床、壁の厚さを厚くする必要があります。
どれくらいの厚さか。
具体的には、300mm以上にしないと基準はクリアできないそう。
300mm……!30cm?!
相当分厚いですね……。
さらに言うならば、外気が入り込みやすい場所である窓。この窓も重要でいわゆるトリプルガラスという3層ガラスを採用する必要があるとのこと。
確かに、3枚のガラスの間に空気の層を挟んで形成されるトリプルガラスは断熱性に優れ、なおかつ遮音性も高く、住宅での利用も増えてきているものです。
しかしまだまだ一般的とは言い難いものではあります。当然我が家はトリプルではありません(笑)
また高断熱、高気密が実現しても空気はきちんと循環させねばなりませんので、換気システムの充実も大切になってきます。
ただ……年々上昇していく夏場の最高気温、花粉症シーズンには毎年過去最大といわれているのではないかと思うほど花粉が増え続ける現在。
パッシブハウスは環境変化に見事にマッチした家とやはり言えるなあと思います。

パッシブハウス2



2. 集合住宅でもパッシブハウス

パッシブハウスはここまでお話した通り、エネルギー効率が非常によく、住民の快適さを考えて作られた家。
しかし、一軒家のイメージが強いですよね。確かにパッシブハウスの施工実績をみると一軒家が多い印象があります。けれど調べてみるとパッシブハウスの基準を満たした集合住宅も存在することがわかりました。
正直、賃貸で暮らしていて思うことって月々出ていく光熱費を押さえたいなあ、とか支出のことが大きいです。
その意味で賃貸生活をする私のような家庭にとって通常よりもずっと低いエネルギー量で快適に暮らせるパッシブハウス基準で作られたお部屋は夢の部屋だなあと感じます。
少しパッシブハウスの話とはずれますが、都市ガスとプロパンガスの料金ってプロパンガスの方が割高で……。だからお部屋選びのときは都市ガスのお部屋を選ぶ傾向が私にはあります。それと同じように、住むにあたりどれくらいのエネルギーを使う家なのか、気にしている方は多いのではないでしょうか。
借主のニーズにもこたえられるパッシブハウス基準の集合住宅には他の集合住宅にはない大きな付加価値があります。
もしもこれから土地を活用して集合住宅を建てたいと思われるオーナー様は、パッシブハウスの利点を押さえた上で検討してみるのも素敵なのではないか、などと思いました。

パッシブハウス3



3. 終わりに〜ZEHの方が日本では普及?

ZEH(ゼッチ)。
正直、今回パッシブハウスを調べるまでこの言葉を知らず……。
早速こちらも調べてみました。
これは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)という言葉の略語になります。
簡単に言うと家の中で使用するエネルギー量を収支ゼロにした家。
パッシブハウス同様、高断熱高気密な家であり、太陽光パネルなど自家発電できる設備を搭載することで、使うエネルギーと作るエネルギーを同じ量にする、そんな家です。
2018年には「2030年までに標準的な新築住宅の平均でZEHを目指す」ということが閣議決定もされており、ZEHを標準とするようロードマップを経済産業省が2020年に作成するなど、国としてもZEHを推し進めています。
エネルギー消費量を徹底的に減らすことで快適な住まいを作るパッシブハウス。
かかるエネルギーを自分の家の中で作り、それを使って快適な住まいを実現するZEH。
この二つのうち、どちらの方が日本では優勢かというと、やはりZEHですね。
国としてもそちらを推し進めていますし、事実、我が家の周りにも太陽光発電用のパネルを設置した住宅が珍しくなくなっています。

パッシブハウス4

日本は国土も狭く、家と家との間隔もあまりありません。パッシブハウスはその家が建つ場所の状況も吟味し、細かく設計していく家ですが、おそらく周辺環境によってはその土地にベストな家を建てるのが難しいこともあるかも、と思います。また、建材にも厳しい基準が存在することから、建築コストがかかってしまうという弱点があります。
物価上昇が止まらない現在、建材の金額も上がり続けています。事実、実は実家でリフォームを検討した際、建材がなかなか入らず、工事開始時期が半年近く後ろにずれ込んだということがありました。それだけものが入らないことを考えると、通常の建材よりもさらに特殊な建材を必要とするパッシブハウスを建てるというのはコストの面でも難易度が高いということかもしれません。
日本のように物価は上がってもなかなか収入がその上げ幅についていけない状態だとパッシブハウスのように初期費用が大幅にかかる家を建てるのはハードルが高いのかなあとは。
ただ、初期コストこそ膨大ですがその後の光熱費においては大幅なカットが見込める点を考えると、長期的な目で見てパッシブハウスは経済的な家となる可能性も秘めています。また、パッシブハウスの考え方は自分たちだけではなく、地球の環境にも考慮されたまさにSDGsに貢献した家だともいえます。

パッシブハウス5

どちらがより良いのか。それはそれぞれの考え方、意識によって異なりますし、どちらが優れていると断言することは難しいなあと感じます。
しかし、パッシブハウス、というこの言葉、私は長く知らずにきましたが、知ったことで、住まいに対し、新しい可能性を見たように思います。
完全なるパッシブハウスを建てる、というのはコスト的になかなか難しくても、もしかしたら一部分だけでもパッシブハウスの考えを取り入れた住まいを考えることは可能かもしれない。
たとえば、天井、壁、床をすべて規定通りの厚みにすることはできなくても窓だけでもトリプルガラスが採用されている家に住むことで、気密性、断熱性を向上させることができるかもしれない。完璧ではなくとも、パッシブハウスの考え方を知っているからこそできるエコな暮らしがあるかもしれない。
私の今住む家は、パッシブハウスではありません。ただ、ここを借りるとき、不動産業者の方が仰っていました。
「ここは〇〇が(地震対策にも定評がある某ハウスメーカー)建築を担当した物件なので、通常の集合住宅よりも壁や天井が厚めに設計されているんです。なので防音や遮熱に優れた物件ですよ」と。
住んでみて感じました。確かに!と。
建築、不動産の世界には数多くの技術や知識がまだまだ眠っています。そうした知識をたくさん知ることで自分だけのより良い住まいが見えてくる。今回、それを強く感じました。
こうした知識をもっともっと吸収できるよう、そしてそれを暮らし方にどう活かしていけるかなどを今後も考えていきたいと思いますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします!
参考文献;トコトンやさしいエコハウスの本
鈴木八十二監修 エコハウス研究委員会編






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