屋根について考えてみた

みなさん、こんにちは!
高いところが大好きで、週に一度は高台から町並みを眺める主婦、ヤマダです。

・・・いけない、こういうことを書くとちょっと頭がお花畑の人のように思われるかもしれない。「馬鹿と煙は高いところに昇りたがる」なんてうちの毒舌夫なら確実に言うだろう台詞を口にしてしまった。

が、しかし、私が高いところを大好きなことは事実。

今暮らしている場所が丘陵地帯と申しますか、坂の多い勾配のある地形なんですね。で、この町の中でも高台にあたる部分に神社がありまして。
神社がある頂きまでには階段が結構な段数あるので、膝ががたぶるってしまいますが、登ってみるとまあ素敵!

小さなこの町が一望できるのですよ。

気分転換にもなるので私は、週一度はその高台に行くようにしています。

で、先日ぼんやりと眺めていて思ったのですよね。

住宅って実に多くの形の屋根が存在するな、と。

さまざまなデザインの住宅が生まれる現代です。屋根の形だって色だって多種多様になることは必然。

けれどおそらくその形ごとに優れている部分、注意が必要な部分はあるはず。

そうして考えてみると、私が住むような集合住宅の屋根が平らな理由も私は知らない。
いつも私の頭上を覆ってくれている屋根のことを私は何も知らないのだな、と。

ということで!今日は屋根についてリサーチしてみたいと思います。
これを読めば、住宅を見るとき、ついつい屋根を見たくなるかも?(笑)

屋根



1. 屋根の種類いろいろ

では、手始めに屋根の形について調べてみました!

いや〜! びっくりしましたよ。それぞれの屋根の形にちゃんと名前があるんだもの。(当たり前か)

ということで調べてみた結果、屋根は大きく二つに分けられることがわかりました。

・陸屋根
 マンションなど集合住宅、オフィスビルなどに使われるような平坦なタイプの屋根。床に対して平行になった屋根ですね。

・傾斜屋根
 戸建て住宅、アパートなどに使われる傾斜がある屋根。上に上がるにはちょっと注意が必要な屋根ですね。

この傾斜屋根については細かく種類がるようです。
一つずつご紹介しますね。

① 切妻(きりつま)
一般的な住宅に多い屋根の形。紙を半分に折って広げ、折り目を頂点に立てたような形。傾斜が二方向のみのタイプです。日本の住宅だとこの屋根の形が一番多い、なんて言われています。
そういえば、漫画ドラえもんに出てくるのび太くんの家の屋根もこんな形だったような!

屋根2

② 寄棟(よりむね)
四つの面で構成された屋根で、それぞれの勾配が同じになった屋根です。バランスよく見えるので、和風、洋風どちらのデザインにもマッチしやすいとして日本でもよく見られる屋根の形です。

屋根3

③ 片流れ(かたながれ)
一面で構成された屋根で、一方向に傾斜した屋根ですね。わかりやすく言うと、土手みたいに片方にだけ傾いた状態です。ただこのタイプの屋根は上にある方が雨に弱いというデメリットもあるそう。大規模な住宅ではなく、スマートな建物に多く採用されるようです。
一面だけで作れるから組み立てもしやすそうですね!

屋根4

④ 入母屋(いりもや)
上の部分は切妻屋根で、切妻屋根の下部から四方に向けて同じ傾斜の屋根が展開した形です。主に木造建築に使われており、日本においても古来よりこの形の屋根を持つ建物が多数建てられ、現存しています。法隆寺の金堂などの屋根がそうですね。特に関西地方にはこの屋根のお宅が多いとか。昔ながらの住宅が多い地域だからというのも理由なのかもしれませんね。

屋根5

⑤ 方形(ほうぎょう)
端的にいうと四角錐の屋根です。正方形のすべての辺から三角形の面がそれぞれ伸び、頂点でくっついた形ですね。この形だと四方にバランス良く雨が分散できるので雨漏りリスクが少ないそう。一方で頂点部分が劣化しやすいという弱点があるとか。

⑥ 腰折れ(こしおれ)
これは途中から折れ曲がっているタイプの屋根です。
急勾配だった屋根が、途中で緩やかな勾配に切り替わるタイプで、この屋根のメリットは水はけが良いこと。また屋内から見たときの天井高が高く作れるので屋根裏部屋を作れるというメリットがあります。伸ばすとかなりの面積になる屋根を折り曲げて少ない面積で構成することで、通常の屋根だと建築が難しい狭い土地にも建物を建てられるという利点があるようです。

何の気なしに見ていたけれど、屋根の種類ってこんなにあったのですね。しかも日本に昔からあった屋根の形っていうのもあったりして。
今気づいたけれど、うちの実家の日本家屋の屋根、寄棟でした!知ってみると面白いものですね。



2. 平らな屋根が良いか、傾斜のある屋根が良いか

さてさて、屋根の種類が出そろってきたところでちょっと考えてみました。
マンションってなんで陸屋根なのかと。
陸屋根が採用される理由は、陸屋根だからこそのメリットが、また傾斜屋根にしてしまうことで生じるデメリットがあるからなのかもしれない。

ということで、マンションに陸屋根が採用される理由を考えてみたいと思います。

手始めに、平らな屋根が多いマンションですが、これが傾斜屋根だったらどうなるでしょう?

別にどうもなりはしない。屋根だもの。とも思います。しかし、実は意外とそうでもないようです。

たとえば!マンションの屋根といえば、屋上。
屋上は戸建て住宅の場合、あれば活用もできるけれどなければないでどうにかなるもの。
しかしマンションの場合、屋上スペースにアンテナや貯水タンクなど、集合住宅だからこその管理設備が設置されることが多々あります。
にもかかわらず、マンションの屋根が傾斜屋根だったら?
まずこれらの管理設備の設置が難しい。頑張って設置したとしても、管理するのが大変ですよね。フラットな屋根であれば簡単に設備点検にも行けるけれど、傾斜屋根だと命がけ!
そんなリスキーな環境を作るのはいただけない!

また、傾斜屋根にすることで建築物の高さに影響が出てしまうこともマンションが陸屋根である理由の一つとして挙げられます。

想像してみてください。

2階建ての傾斜屋根の建物と、2階建ての陸屋根の建物があるとします。

階数あたりの天井高が同じだった場合、傾斜屋根を使っている建物の方が建物の高さが高くなりますよね。
傾斜屋根ではなく陸屋根にして階数を増やした方が、居住スペースが増えてしまうくらい高さの差は歴然。
そう、傾斜屋根にすると集合住宅のような、多くの人が住むことで利益が上がる建物においては、居住スペースを削られてしまい、利益も減ってしまうというデメリットが生まれる。だから陸屋根が好まれるのです。

さらに言うなら絶対高さ制限という法律があることも、マンションに傾斜屋根が少ない原因の一つとなっています。

絶対高さ制限とは。
これは第一種、第二種低層住居地域において、10m以下、もしくは12m以下の建造物しか建築できないとした法律です。

日本の国土において、そこに建てられる建物と建てられない建物が法律で区分けされています。一戸建て住宅や低層の住宅が多い地域には高層マンションは建てられません。その地域全体の快適な住環境を守るのに支障が出てしまうからです。

つまり、低層住宅が多い場所にマンションを建てようとした場合、傾斜屋根がネックで建築許可が下りないということも起こり得るので、高さが出にくい陸屋根にするという選択になるわけですね。

「だとしたら一軒家も陸屋根が良いのではないか」。
そんな疑問がわいてきます。
確かに住居スペースを多く取れ、屋上としての使い道もある陸屋根はメリットが多いように思います。実際、陸屋根にして屋上を設けた一戸建て住宅も多いですものね。
しかしもちろんデメリットも存在します。

それは、

「雨漏りしやすい」こと。
そして、
「夏場最上階が暑くなりやすい」こと。

一つずつみてみましょう。

・雨漏りしやすい
ちょっと雪で想像してみました。
平らな面にだと雪はどんどん降り積もっていきます。しかし傾斜があればある程度積もった後、屋根の下に滑り落ちてくれる。雪国で傾斜の急な屋根が多い理由はこの辺りですよね。
雨も同様に雨水がたまってしまって、溜めきれなかった過水は雨漏りに繋がってしまうようなのです。
とはいっても、もちろんそのデメリットは建築段階で想定済みですから、適切な雨どいの設置や防水シートなどによる防水加工で回避できるよう。
が、工事がずさんだと雨漏りの心配もないとは言えないので、もし集合住宅の内見をするときは、雨漏りの痕が室内や共有廊下などにないか確認をしてみることをおすすめします。

・夏場最上階が暑くなりやすい
先ほど傾斜屋根の建物は高さが出やすいというお話をしましたが、陸屋根は高さがない分、熱が部屋に伝わる距離が短いんですよね。ゆえに最上階は暑くなりやすいのです。もちろん防水同様、暑さも断熱効果のある建材で防ぐことである程度回避はできますが、傾斜屋根に比べれば暑くなりやすいことは念頭に置いておいたほうがよさそうですね。

と、もろもろ申し上げましたが、陸屋根と傾斜屋根のメリット、デメリットについて見えてきましたので、ざっくりとまとめてみました!

陸屋根のメリット
・屋上を設けられる
・屋上に管理設備を設けられ、なおかつ管理が楽
・住居スペースを広く取れる

陸屋根のデメリット
・雨漏りしやすい
・最上階が暑くなりやすい

傾斜屋根のメリット
・雨漏りに強い
・多様なデザイン性が望める
・ロフト、屋根裏部屋の設置が可能

傾斜屋根のデメリット
・居住スペースが少なくなる。集合住宅には不向き
・屋根の傾斜や形によって建築許可が下りないこともある
・メンテナンスがしにくい

これまでなんとなく見てきた屋根にこんな違いがあったのか、とちょっと感慨深くなってきました(笑)

屋根6



3. 現代の住宅に瓦が少ないのはなぜか

屋根の形について前章まででいろいろ考えてきましたが、ここでもう一つ私は気になっていることがあるのです。

それは、現代の家に瓦が少ないのはなぜなのか、と。

それを知るためにもそもそも瓦は屋根でどんな役割を担っていたのかが気になります。
早速調べてみたところ、以下の役割があることがわかりました。

・雨水を屋根板に沁みこませない
・断熱する
・風で屋根板が飛ばされないようにする
・防火する
・防音する

そもそも瓦を使う住宅といえば、和風建築ですよね。
和風建築といえば木。木といえば燃えやすい。音も熱も通しやすい。そして水で腐ることも。
大部分を木で作られている和風建築において、頭上を覆う屋根板も木材で作られています。その木材を雨や風から守るための防壁として瓦は存在していたわけですね!
また瓦とは土、粘度を焼き固めてできたもので火にも強い。ゆえに燃えやすい木でできた建材を瓦で覆うことで、飛び火してきた火を家に燃え移らせないようにする効果もあるようです。

瓦最強じゃないですか!

と瓦への絶対的信頼を感じたものの、現状、瓦屋根を持つ家は随分少なくなっています。
その理由を調べてみました。

・和風建築が減った
・都市集中が進み、集合住宅を選ぶ人が増えた
・瓦は割れたり落ちてきそうというイメージ

ライフスタイルの変化、建物全体の近代化が進んだことはもちろん、和風建築と違い、近代建築は低コストで収まる屋根材も多いです。安く良いものを、が叫ばれる現代において、一枚あたりのコストが高い瓦が減って来たのもやむを得ないのかもしれません・・・。

ただ、落ちてきそう、壊れそう、というのは誤解のようです。
調べてみると最近の瓦は簡単に落ちたり壊れたりしないようちゃんと屋根材に打ち付けられていてかなり丈夫なのだとか。

古くから日本にある屋根材であり、利点も多いものですから失われていくのは寂しいですね・・・。

が! 最近はリモートワークも進み、都心から離れて生活する人も多くなってきています。
古民家への人気も根強くあることを思うと、瓦屋根のある家に住む人も増えてくるかも?

屋根7



4. 終わりに

今回は普段目にしながらも気を配ることが少ない屋根に焦点を当ててみました。
いろいろな屋根の形、それぞれのメリットなどを知ることができて、また家観察が楽しくなりそうな予感です。
そしてそして、調査の過程で瓦について調べてみたら、瓦ってすっごく種類があることがわかりました!
こちらで紹介したい!とも思ったのですが、書き始めると終わらなくなりそうなくらい瓦の世界も奥が深いようなので、また別の機会にお話ができたらと思います。

一軒家でも集合住宅でも、屋根って私たちを守ってくれる大切な存在。
これからおうちを買われる方も、借りたいと思われる方も、目に触れやすい内装部分だけではなく、私たちを守ってくれている屋根にも目を向けておうち選びをしていただけたらな、と思います♪

最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回の記事でお目にかかりましょう♪

コメント


認証コード3108

コメントは管理者の承認後に表示されます。