竹木の越境について
今回は、不動産売買時に問題視される『竹木の越境について』お話ししたいと思います。
民法改定によりこの点について変更点があるのでご紹介いたします。
参照:相隣関係規定等の見直し:
https://www.moj.go.jp/content/001296545.pdf
今迄の民法上(民法233条1項)では、「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者にその枝を切除させることができる。」と定められていました。
ただここで大問題!
竹木の枝を素直に切除してくれればいいですが、申し入れをしたにも関わらず竹林の所有者が枝を切ってくれない時です。
これ不動産売買時のとくに一戸建て売却時には苦労することでした。
買主:枝ぐらい切ってから引き渡してよ!
売主:ですよね。相談してみます。
竹木が越境しているお隣さんへ話した結果、切ってくれない、または所有者の所在が不明なときです。
さて、この時どうすればいいのでしょうか?
もし売買契約書に以下のような特約が入っていたら...
「売主は本物件を引渡すときまでに竹木の越境を解消すること。解消されていない場合には、本契約は解除することとします。」なんて文言です。
折角買主も決まり売買契約が出来ても竹木の越境が解消できなければ売れない...
こんなことがこれまで実務取引上多々ありました。
我々不動産業者としても問題なのです。
なぜなら取引できなければ仲介手数料がもらえないため売上にならないのですから。
因みに蛇足ですが、越境している竹木の枝は勝手に切除することは許されておりませんが、他方で,民法第233条第2項によれば,越境した竹木の根については,越境されている側の所有者自ら切除することができるとされております。
その趣旨は,竹木の所有者にその根を切除させるためには,越境された側の土地に立ち入らせなければならないが,枝は往々にして,隣地から伐採することが可能であると考えられ、枝は成熟した果実が付いていることもあり価値が高いが根は価値が低いことによると説明されております。
さて、話を戻しますが、竹木の枝を所有者に切除拒否されてしまった場合などはどうすれば良いのでしょうか。
こんな時の対処としては、竹林の所有者に対し、切除請求訴訟を提起し、請求容認判決を得た上で、強制執行を申し立て、竹林所有者の費用負担で第三者に切除させる方法が必要でした。
とっても面倒なのです。
しかもこれには専門家である弁護士に依頼することになますし、手続きに相応の時間と労力、さらには裁判費用なども余計に必要となるため現実的ではありません。
そのため、今回の相隣関係規定等の見直しにより「竹林の枝が越境をしているとき、越境された土地所有者は、自ら枝を切り取ることができる」と明確に記されるようです。
いつから変わるかというと2021年に民法改正が行われ施行日はまだ確定していませんが、
公布から2年以内(主に民法部分の改正等) 改正法は、原則として公布の日(2021年4月28日)から2年以内に施行されます。
そのため2023年4月頃に施行されるのではないかと思われます。
【竹木の枝の切除等】
民法第233条第1項の規律を次のように改めるものとする。
① 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者
に、その枝を切除させることができる。
② ①の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切
り取ることができる。
③ ①の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ること
ができる。
ア)竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が
相当の期間内に切除しないとき。
イ) 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
ウ )急迫の事情があるとき。
以上のようになる予定です。
この改定により不動産売買がスムーズにできれば幸いですね。
不動産売却時にはコーラルへご相談ください!