売主に変わって裁判所の許可が必要な売却について

現在、日本人の平均寿命は、厚生労働省が2016年7月27日に発表した2015年分の簡易生命表の概況でみると男性が80.79歳、女性が87.05歳とりました。

認知症など売主の代わりにする売却

今、日本では毎年平均寿命が延びていますが、急速な高齢化が進む中で、色々な問題も生じています。、

問題は後期高齢者と言われる75歳以上の高齢者が2005年においては約1160万人(総人口に占める割合約9%)であったものが、2025年には約2170万人(約18%)に急増する見通しとなっていることです。

この割合は世界でも類を見ない程で、これが社会問題化しつつあることです。

不動産業者のコーラルから見た諸問題はやはり高齢者の所有する不動産の売却です。

ここでは、高齢者問題にクローズアップして起こる不動産売買についてみてみたいと思います。

まず、高齢者に多く見かける認知症の場合に、どうしたら不動産の売却ができるのかを見てみましょう。

認知症など売主自身の意思表示のできない場合の不動産売却はできる?

結論から言えばできます。ただし簡単ではありません。

65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計15%で、2012年時点で約462万人に上ることが厚生労働省研究班の調査で明らかになっています。

認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の高齢者も約400万人いると推計されています。

65歳以上の4人に1人が認知症とその“予備軍”となる計算です。このように認知症高齢者の数はますます増加しているのですが、ではこの認知症と診断を受けた人は一体不動産売却はできるのでしょうか?

第三者の管理のもとに売却は可能です。ただ、健常者に比べ簡単ではありませんが、ある手続きを経て許可を受ければ売却はできます。ということはそれ以外では売却は困難と言えます。

これは、認知症・精神障害・知的障害等ともほぼ一緒と思っていいです。

具体的な売却方法は、この症状になってしまった場合、言い換えれば判断能力が不十分な方々は財産の管理などを自分で行うことが難しい場合と考えらる場合、悪意がある第三者に騙されて契約などをしてしまう可能性があるので、問題にならないように保護する目的で出来た制度=成年後見制度を利用して売却する方法を執るとなります。

成年後見制度とは

成年後見制度は,大きく分けると,「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。
 
法定後見制度は、すでに判断能力が低下している場合に利用するもので、本人の判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助の3つの類型に区分されます。

 
本人または配偶者、四親等内の親族、市町村長等の申立権者が家庭裁判所に成年後見(保佐・補助)開始の申立てを行い、家庭裁判所が適任と思われる成年後見人(保佐人・補助人)を選任します。成年後見人(保佐人・補助人)には、配偶者や子供などの親族が選任されるケースがほとんどですが、弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門家が選任される場合があります。

選任された成年後見人(保佐人・補助人)は、本人の意思を尊重しながら、本人とともにまたは本人に代わって、福祉サービスの選択や契約、財産管理等を行ったり、同意を得ないで行った不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって,本人を保護・支援します。

一方、任意後見制度は判断能力が不十分になった時に希望する財産管理・身上監護の内容を判断能力があるうちに信頼できる人に依頼します。手続きは、公証役場で公証人の立ち会いのもと行います。

ここではこのくらいの説明にさせていただいて、売却の場合の進め方について以下では説明します。

居住用不動産の処分について

居住用不動産の処分、例えば生活の本拠として現に居住の用に供している、または居住の用に供する予定がある不動産(マンションや戸建て住宅など)や、仮に所有者本人が現在入院中であるとしても、退院後に帰る予定の不動産はこれに含まれますが、これらの居住用不動産の処分については家庭裁判所の許可が必要となります(民法859条の3)。

この許可は成年後見人が申し立てを行い許可を取ることとなります。

申立てを行うにあたっては、下記の関係書面を添付します。

1.申立書
2.不動産の全部事項証明書
3.固定資産税評価証明書
4.不動産の査定書(不動産会社2社が必要な場合があります。)
5.売買契約書

また、場合にっては不動産の現況を確認できる写真の添付も必要です。

ここでの問題は、家庭裁判所に提出する書類には売買契約書があるということです。この売買契約書で売買する予定ですなどの見本を提出して許可を取るのではなく、売買契約を締結して、その売買契約書を添付(実務上は売買契約書の謄本:謄本とは本書をコピーしたもの)して許可を取る必要があります。
家庭裁判所の許可を得ない売買処分(所有権の移転)は無効になりますので、売買処分の前に家庭裁判所の許可を得る必要があるのです。
具体的には、成年後見人による居住用不動産の処分申し立てとその許可が売買契約後に有り、売却先(購入者)には売買契約前にその旨を伝えて、この手続きによっては売主の事情で売却が完了できない場合もあることを知らせていることが必要になります。

また、家庭裁判所の許可が出ない場合もあるので、売買契約締結においては、「家庭裁判所の許可が出なかった場合、売買契約が無かったこととなること」の条項を付して締結することになります。

これを停止条件付売買契約と言いますが、成年後見の場合の売買契約はこの進め方が通常です。

手続きを踏んだ申立は、なんでも許可が下りるのか?

家庭裁判所が売却許可申立てについて何でもかんでも許可を与えることはありません。
それは、所有者の権利を十分に守ることが必要だからです。
もし売却してお金にする(換価するとも言います)必要が無いと判断すれば許可が下りない場合もありますのでご注意ください。
まず、成年後見人が処分するのが相当と判断した理由については、相当詳細に書かなければなりません。
また、添付書類には不動産の査定書もあります。これはあまりに安価な対価で売却することは許さないとの意味です。

許可取得までの時間

家庭裁判所に売却許可を申請して許可が有りるまでには、書類が整っており、また売却するに十分と考えられる理由が有る場合には約1週間で許可されると思っていいです。
但し、もしそうでなかった場合とても時間がかかると思っていいでしょう。
従って通常の売買契約より多めに時間がかかりますから売却完了までには3か月~4か月は見ておきましょう。

以上のように、所有者本人に変わり成年後見人が売買契約を結ぶためには、多くの過程を経なければいけません。しかし、これは本来所有者だったらどうするのだろうと、まずは本人の立場になり考えることが必要なのですかた当然と言えば当然です。
また、たまにニュースなどで成年後見人の犯罪を伝え聞くこともあります。そんなことのないように防止するためには必要な措置なのです。


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