昭和住宅のここがエモい

皆様、こんにちは!
住まい、不動産情報が大好きな主婦、ヤマダです。

先日、昭和の日常を体感できる博物館展示を見てきました。
そこには家電や、間取り、街角の駄菓子屋のガラスケースや、ポスター、居酒屋の看板など、令和の今ではお目にかかることがなかなかできない、昭和レトロな日常風景が再現されていました。
私自身は昭和の生まれですので、懐かしい部分があったり、これは知らないな、と思う部分があったり、と実に楽しめました!
一番興味深かったのはあれだな、丸いちゃぶ台! うちの実家にあったんですよ! サザエさんに登場するようなちゃぶ台が! あのちゃぶ台の前に座って父によく怒られましたし、受験がうまくいったときはちょっと泣かれたりして……と思いだしたら懐かしいやら、くすぐったいやら。
まあ、それはともかくとして。
ここ数年、昭和レトロが密やかにブームになっているそうな。
インスタグラムなどSNSでも昭和を思わせるグッズをアップした写真が「エモい」と注目を集めていますよね。
住まいにおいても、昭和レトロを取り入れた住宅に密やかに注目している若者も多いとか。
なぜ、昭和レトロはエモい、のか。
気になります。
ということで本日は、昭和レトロを思わせる住まいのエモさについて考えてみたいと思います。

昭和住宅



1. エモいとは

今回の表題を考えるうえで、まず着目したいなと私が感じたのは、そもそも「エモい」ってどういう感情なのかということ。
今や当たり前のように使われるようになった言葉。最近実家に帰ったら高齢の母までが「この映画、エモいわ〜」と言っていて、衝撃を受けたものです。
若い方だけではなく、使用年代が拡大しつつある、エモい。
一体、なにがどうなってエモいという言葉は流行したのか。エモいの語源は?
調べてみると、いくつかの説が見つかりました。
ひとつめ。
英語、emotional(エモーショナル)がもととなったという説。
エモーショナルの意味は、「感情的な」「心に訴える」「情緒の」「感激しやすい」だそう。なるほど、確かにエモいとは「心が動く」なんて意味でも使われていますよね。この説は有力かも。
次にでてきたのは、音楽形態のひとつ「Emo」をもとにするというもの。このEmoとは感情的に心情を歌い上げる形態で、エモーショナル・ハードコア(エモコア)とも呼ばれていて、ロックジャンルのひとつとして1990年代にかけて人気を確立していったもののよう。エモーショナルとこちらもついていますが、やはり心がしっかり動く音楽であり、切なく、ノスタルジックで、哀愁漂うメロディ、歌詞が魅力ともされていて「エモい」という言葉に通じますね。
さらにさらにいうならば、えもいわれぬ、という古語から来たという説も出てきました。
えもいわれぬ。意味は、なんともいえない、言葉に表せない。
うーん。これもまた「エモい」に近いかも。
実際のところ、どんなときに「エモい」を使うかな、と友人に聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。

「懐かしいものを見たとき? ほら、セピア色の写真見たとき〜みたいな?」
「ぐっとくる青春映画観たとき。胸がいっぱいでなんもいえねーってなる」
「夕焼けの中で赤ちゃんが笑っているのを見たとき」

確かにどれも心がぐいっと動きますね。そして……一言で言い表せない感情がそこには多分に含まれているような。
結局のところ、どれが「エモい」のもととなっているのか、はっきりと辿り着けてはいないのですが、触感としては、「えもいわれぬ」が実は一番近いのでは、と感じました。
ちなみに「エモい」は2016年に三省堂の今年の新語2016にも選出されていて、これも現在、「エモい」が広まった理由のひとつといわれています。
歴史を辿ると思いもよらぬところに根っこがあって驚きますね……! なんかこの事実そのものがエモいわ、と思います。
さてさて、そんなエモいが昭和の住宅や、昭和を思わせるアイテムにも頻繁に使われるようになった理由とはなんなのか。若者はどんなところにエモさを感じているのか。
友人のお子さんに訊いてみたところ、こんな回答がありました。

「えー、わかんないけど、なんか、和む」

なるほど……!
わかる気がします。
自分自身が昔ながらの純喫茶を訪れたとき覚えた感覚もこれかも。
令和の時代に存在している店なのに、ドアを開けた瞬間、ふっと現代ではない時代の空気に包まれたような。アナログレコードの柔らかい雑音が混じった音色や、傷が入りながらも滑らかな光沢を放つ調度の数々。恐竜や十二単を着たお姫様、刀を差した武士がいる時代にタイムスリップするのは恐ろしすぎるけれど、多少なりともなじみがある時代に辿り着いたのならきっとこんな気持ちになる、みたいな、そんな穏やかなタイムトラベル感覚、これこそがエモいということなのかもしれませんね。
また、なんでも指先一本で操作できる現代において、ひと手間かけないと動かすことができない家電や、鮮明さとは程遠い仕上がりの写真など、ちょっと足りない、も、足りないからこその良さがあると捉えられているのかも。完璧だったら余白は存在しないけれど、欠けていればそこに自分なりのストーリーを想像できますものね。

エモさは自分なりに考えたり、動けたりができる、自分主導の感覚といえそうです。



2. 住まいにおけるエモさを探してみた

さて、では昭和レトロな住まいにおけるエモさ。住まいのどの部分にエモさを感じられるのか。
個人的な感覚でもありますが、挙げさせてくださいね。

・格子戸
・玄関のガラスの引き戸
・欄間
・障子・襖
・鎖樋
・玉すだれ

主観ですが、「戸」ってエモさが表れやすい部分ではないでしょうか。
格子戸、玄関のガラスの引き戸、障子、襖。
どれも開口部を覆うものですね。ここにエモさを覚える理由は、現代のものと比べ「見せる」「魅せる」を意識して作られているからのように感じます。
たとえば、格子戸。
木材を縦と横に組み合わせ、その間隔や組み方によって個性も出せる格子戸は、ザ・日本を感じさせる建材の一つでもあります。
この格子戸がひとつあるだけで部屋の空気はぐっと和のテイストを強くしますし、部屋の間仕切りなどに利用すれば、圧迫感なく、しかもおしゃれな空間を演出できます。

昭和住宅2

玄関のガラスの引き戸もまたそうですよね。
現代住宅において圧倒的に多いドアの形態は、押戸ではないでしょうか。外に向かって大きく押し開けるタイプの。それに対し、引き戸、引き違い戸は住宅内部での使用においては省スペースにも貢献してくれることから増えていますが、玄関への使用は少ないように思います。しかもガラス戸となると、店舗や企業を除き、昔ながらの住宅以外ではめったに見ません。
しかし少ないからこそ、昭和レトロなエモい住まいを考えるうえで、ガラスの引き戸は外せないなあと感じています。引き戸のデザインは言うまでもなく、玄関全体の空気をエモくしてくれる。しかもエモいだけではなく、ガラスだから玄関がめちゃくちゃ明るくなりますし、バリアフリーの観点からいっても、スライド式の引き戸は非常に使いやすいという優れもの。また、開けっ放しにしておけるので、大きな荷物の出し入れにも便利ですよね。二枚の扉を両開きできるような、昔の商店で使われているようなタイプの引き戸ならば、キャンプ用品の出し入れも簡単にできそう。
気になるところがあるとすると、防犯面ですね。鍵の種類にもよりますが、昔ながらの引き戸の場合、工具でこじ開けることができてしまう構造のものもあります。また、開口部が押戸よりも大きく取りやすいことから虫の侵入を許しやすいのも弱点といえるかも。まあ、鍵の問題に関しては対処できるタイプの鍵も今は多数存在するので交換して使えば、不安も解消されそうではあります。
……このあたりの不自由さも逆にエモいといえる気がします。

昭和住宅3

そしてそして、現代の住宅ではお目にかかることも減ったなあ、と感じるのが欄間。部屋と部屋の天井付近に用いられる部材であり、鴨居(引き戸を滑らせるための溝を備えた上枠)や長押(柱と柱を繋ぐための部材。部屋をぐるりと囲むような形で備え付けられている)の上部に設置されています。形状は様々で、壁に絵柄をくりぬく壁抜き欄間、花、木、風景などを掘り出した彫刻欄間、薄い木に彫を入れていく透かし彫り欄間、細い木を編んで作られた組子欄間など、職人の技を感じられるものも多く、見ていて飽きません。機能面でも優秀で、通風や採光でも力を発揮します。目線より上に注意を払うことは少ない中で、天井付近というあまり目を引かない部分にこのような素晴らしい装飾を施すこの気概こそがエモいと感じます。

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障子、襖もまたエモいですよね。実際のところ、最近、団地をリフォームするという動きが活発化しているそうですが、昔ながらの団地において、襖はわりとポピュラーな建材ではないでしょうか。私もかつて団地住まいをしておりましたが、襖はしっかりついておりました。格子戸同様、襖、障子もまた、室内にあることで部屋の空気を変えてくれるアイテムです。絵柄も多種多様であり、インテリアのひとつとして取り入れることで大きな力を発揮してくれます。

昭和住宅5

と、ここまでは室内のものが大半ですが、家の外にもエモいものはあります。たとえば、鎖樋。雨樋の「樋」の字がついている通り、これは雨の日に活躍するもので、屋根の軒に設けられた雨樋の水を、縦方向に垂らした鎖を伝わせて所定の場所へ落とすための道具です。安土桃山時代の数寄屋造りの建造物に用いられたことから始まり、江戸時代に瓦屋根が一般的になったことから雨樋が整備され、鎖樋も広く広まりました。その後も日本家屋を中心に用いられてきたのですが、近年はそのデザインにも注目が集まり、レインチェーンという名前で販売もされています。つり下がるその姿だけ見てもさまざまな形があって実に面白いのですが、やはり雨の日に見ると……エモい!
樋としてではなく、装飾としてベランダに撮りつけたくなりました。

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また、取り付ける、でいうと、玉すだれ、というものも実にエモいですね!
目隠し、あるいは日よけなどで使われるすだれと違い、玉すだれはすだれと名がついていますがどちらかといえば、のれんといえるものになります。ビーズや石を紐に通し、入口に並べてつるすことで、その見た目を楽しむアイテムですね。
祖母の家にあったなあ、と懐かしくなります。機能の面では取り立てて巧みな技があるものではありませんが、取り付けるだけで室内の雰囲気が和に変えられるので、手っ取り早く部屋の雰囲気を変えたい方にはお勧めですね。厄介な工事も必要ありませんし、コストもかかりません。

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というように、エモさ、ノスタルジーとも言い換えられる感情を与えてくれる建材、およびアイテムは探してみるとたくさんあります。
我が家にも取り入れてみようかな!



3. そもそもなぜエモいものが人気なのか

それにしてもなぜエモさとは、何年にも渡って注目されているのか。
考えていて思い出したのは、ファッションは繰り返す、という言葉。
今よりも何十年も前に流行ったものが現代に少し形を変えて流行したりする。古くなっていったとしても一周回って新しいに繋がる。
この感覚がエモさなのかもしれませんね。
考えてみれば旅行においても同じことが言えそうな。
昔ながらの情緒ある町並みに惹かれて観光すること、ありませんか? それがなぜなのか。
思うにやはり現代人は忙しくて、今、私たちの生活を便利にしてくれるすべてのものに恩恵も感じている一方で、そのスピードにしんどさも覚えているからなのかも。
だからこそ、昔ながらのレトロな街並みに惹かれるし、全身を包まれたくなる。
自分が普段感じている時間の感じ方を変えてくれるものに人はエモさを感じるような気がいたします。
以上のことから導き出される答えとして、日々の生活があまりにも慌しい人こそ、エモさを住まいに取り入れていくべきなのではと感じました。
先日、大好評のうちに最終回を迎えたフジテレビのドラマ、「続・続・最後から二番目の恋」を見ていても感じることがあります。
小泉今日子さん、中井貴一さんW主演のドラマですが、主人公のひとり、小泉今日子さんが演じられている吉野千明も日々、必死に生きている方だったなと。しかもドラマのプロデューサーというプレッシャーのかかるお仕事をされている。時間にだって人間関係にだって生き方にだって悩んでいる。けれど鎌倉に住まいを構え、そこで出会った人々との関わりによって忙しい時間の中でバランスを取って生きているように見えました。
あのドラマの中の鎌倉でのような時間が、日々の生活に追われる現代人には皆、必要なのではないでしょうか。
その意味でエモさは救世主といえるのかもしれない。一日の大半を過ごすことにもなる住まいにエモさを取り入れることで私たちはこれからも走り続けるための力を充電できるのかもしれませんね。

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