風通しのいい場所ってどこやねん!
皆様、こんにちは!
住まい、不動産情報が大好きな主婦、ヤマダです。
実は先日からあることを始めました。
それは、弓道。
地元の弓道教室へ通い、基礎からみっちり教えてもらうことにいたしまして。
弓道には錬士・教士・範士といった称号を持つ方々がおられるのですが、教えていただけるのは錬士、教士の称号を持つ先生方。ちなみに範士とは日本全国でも百人に満たない人数しかいらっしゃらないとか。雲の上の人というイメージですね。
さて、そんな弓道。教室を終えたら道具を自分で用意せねばなのですが、その弓道の道具、弓具において重要と言われているのが、弽(かけ/ゆがけ)と呼ばれるグローブのようなものです。右手にはめるこれ、ちゃんと手に合ってないと的中、的に矢が当たる率にも影響が出るそうで、弓具の中でもとても大切なものとされています。
ただ高額なこともあり、初心者の初心者であるところの私は一番安いものを、と考え購入しました。
幸いにも自分の手に合うものがすんなり見つかって一安心だったのですが、そのとき弓具屋のスタッフの方に言われた一言に固まりました。
「弽って、鹿の革でできてるんですよ」
「シカ! ですか」
「そう。昔から様々な革が試された結果、鹿がもっとも優れていることから、現代でも鹿が使われています」
シカ……と戦いている私に弓具屋さんはさらに続けます。
「で、この革、湿気にめちゃくちゃ弱いんです。すぐカビますし。ですから保管する際は湿気に気を付けてくださいね」
「汗かいたら洗う……というのは」
「絶対駄目です。直射日光の当たらない風通しの良いところで陰干しです。保管する場合も湿気が多い場所を避けて保管をお願いします」
弽ってデリケートなのね……と驚きつつも、自分だけの弽。大事に抱きしめて家に帰ってはた、と気付いたのです。
風通しの良い場所って、どこよ?
直射日光を避けてと言われたけど、風が入ると言えば窓のそば? でも窓のそばって日光入らないかな……。
そう考えていて気付きました。
弓具に関わらず、こうしたこと、日常に多くありませんか?
たとえば、ジーンズを干すとき。
直射日光を避け、陰干し。
海苔だって高温多湿を避けて密閉保存。
お酒とかだと、風通しの良い冷暗所で……って。
各家庭それぞれ間取りが違うから名言できないのはわかります。
しかし、思うのです。
いや、それ、どこやねん! と。
ということで、今日は風通しの良い場所、や、冷暗所など、保存場所として指示される場所が住まいにおいて具体的にどこを表すのか、調べてみたいと思います。
1. 風通しと通気の違い
さて、室内の風通しの良い場所を探そうとしていてふと気になったのがこのふたつ。
風通しと通気。
同じ意味かなと私は思っていました。しかしよくよく調べてみると微妙にニュアンスが違います。
ということで、辞書でそれぞれを調べてみました。
かぜ‐とおし〔‐とほし〕【風通し】
1 風が吹き抜けること。また、そのぐあい。かざとおし。「風通しのいい部屋」《季 夏》
2 組織内部での意思や情報の通じるぐあい。かざとおし。「部内の風通しをよくする」
引用:コトバンク 小学館デジタル大辞泉について
https://kotobank.jp/word/%E9%A2%A8%E9%80%9A%E3%81%97-461688
つう‐き【通気】
内部と外部の間に空気を通わせること。また、ある場所に新鮮な空気を送り込むこと。通風。「通気をよくする」
引用:コトバンク 小学館デジタル大辞泉について
それほど変わりなくみえます。が、最大の違いは「風」を感じられるかどうかということ。
風通しはその言葉そのままに風が入ってきて空気の流れを感じられるかどうか。
対して通気、通気には風をリアルに感じる必要はなさそうです。大事なのは空気がちゃんとものとものの間を通り抜け、淀まない、澄んだ状態を保てることみたい。
漠然と私はこのふたつを同じものと思っていました。まあ実際のところ、このふたつに対してほぼ同じ意味として使われてもいる場面も見受けられます。通気が良いということはすなわち空気が淀まない、ある程度の空気の流れがなければ実現しない状態ではありますから、ふたつは限りなく近い存在ではあるのでしょう。
しかし辞書を通し、違いを意識するとはっとします。
冒頭の弽について、弓具屋さんがおっしゃっていた、
「汗をかいた場合は風通しの良い場所で陰干し」だと。この場合だと、実際に風がある場所のほうが水分を残すことなく乾かせますよね。
ただ、保管そのものに関しては必ずしも風は必要と言われていない。湿気がこもらない場所がよいといわれている。
ここを一緒くたに考えていたことが私の問題だったようです。
ではそもそも風通しの良い場所とは住まいにおいてどこになるのか。
これを考えるにあたり、一度逆から攻めてみることにしました。
すなわち、空気の流れを一切感じられない場所とはどこなのか。
我が家を見回してみると、以下が出てきました。
・クローゼットの中
・キッチンの流しの下
・戸棚の中
・靴箱の中
・洗面台の下
・ベッドの下に備え付けられている引き出し収納の中
・テレビの裏側
・トイレ
・浴室
この辺りが特に空気の流れを感じない……いや、淀んでいました(笑)
トイレと浴室に関しては換気扇を入れていればなんとか淀みは解消されましたから、空気の流れを人工的に作ることは可能。風、を感じられるかというと微妙だけれど、通気に関してはある程度改善できるし、淀みはなくせます。が、日常的に水を使う場所ですし、なにかを保管するのに適した場所とは言えないでしょうね。
ではそれ以外に挙げた場所はどうなのか。どこも収納として囲われた場所といえそうですね。使うときだけ開ける場所、というか。開かれていない場所。
密閉された場所というのはそれだけで空気が淀むのか、長く開けていない収納を開けると一種独特の香りがします。ときにはカビ臭がしてくることも。
ここは通気が悪い、と感じる判断材料のひとつは臭いともいえますね。臭いがこもる=風が通らない、空気も逃げていかない、ということですから。
以上のことから、弽を干す、仕舞う場所としてクローゼットやベッド下の収納、(台所の流しの下は論外ですね。湿気大国でしょうから。靴箱もだめ。というより大事な弽を靴箱になど置けるものか)などは絶対駄目。
じゃあ、原点に立ち返り、空気の流れがしっかり感じられる場所はどこなのかを考えてみましょう。
調べてみると、やはりポイントは「開口部」のようです。
開口部、窓やドアですね。
けれど窓やドアがあればそれでいいかというとそうでもなく、ちゃんと空気が抜けていく通り道が確保された開放部が大事なようです。
我が家の場合を考えてみました。各部屋に窓はひとつだけ。しかし南と北、それぞれに部屋があってドアを開けておくことで風が家中を吹き抜けていきます。風通しの良い場所、として考えたとき、この風の通り道に当たる場所こそがそこになるな、と感じました。風通しのいい場所ってどこだよ、と悩んだらシンプルだけれど、入ってきた風を辿るといいかもしれませんね。
ちなみに、風を家に招き入れやすい窓の形、というものもあるらしいということが調べていてわかりました。
我が家の窓は引き違い窓、横にスライドして左右どちらからでも開けることができるタイプの窓です。一般的に使用されているタイプの窓ですね。この窓は広く使われている窓なので値段もお手頃なのですが、正面からの風しか招けないという弱点があります。壁の一部に組み込まれている形態ゆえ、横からの風までは招けないということですよね。
しかしこの横からの風もキャッチできるすごい窓があって、それが、「縦滑り出し窓」と呼ばれるタイプです。
縦を中心にして回転するように外へと押し出して開くタイプの窓で、引き違い窓と違って突き出す感じで開閉するタイプですね。これにすると、正面からの風だけではなく、横からの風も室内へ招きやすいそう。
そしてさらに、その進化型と言ってもいいかもしれない。サイドキャッチ窓、ウインドキャッチ窓、など呼び方はいろいろありそうですが、窓を大きく3分割し、左右の窓が正面の窓との結合部を軸に開く、三面鏡のような開閉ができるタイプの窓です。
これ、以前住んでいた部屋にもついていたのですが、確かに!確かに風をキャッチして部屋に空気の流れを作りやすかったのです!
結論、風の通りを意識して作られた窓がある部屋であれば、風通しの良い場所の条件は満たせそうです。
さて、じゃあ、通気についても考えてみましょうか。
イコールで結んでもそれほど問題はないけれど、空気の流れはそれほど感じられなくとも、空気の淀みが少ない場所ということですよね。となると開口部にこだわる必要はない。
換気扇などでほどよく空気の入れ換えができれば、通気という意味ではクリアということになります。
その意味でいくと、通気、風通しが悪い場所としてクローゼットを私は挙げておりましたけれども、小窓や換気扇により空気の入れ換えに留意したウォークインクローゼットにおいてはこの限りではないといえそうです。
さて、じゃあ、悩みの種である弽について、話を戻しましょう。
まずは、汗などで湿った場合。どこだったら干せるのか。
室内をさすらって決めました。
風通しが一番いいのは、窓の近くなのですが、窓の近くとなると日光も当たってしまうから除外。
また、温度変化も大きいので保管する場所としては不適当。
じゃあどこかといえば、風が通りつつも日光が届かず、温度変化も少ない場所。
我が家の場合は「廊下」がそこに該当しました。ちょうど廊下にお出かけグッズ、帽子やマスクなどが保管してある棚があります。ここがベストっぽい! 風も抜けていきますし、パイプ式のラックなので扉もなく湿気もたまりにくいです。
ということで、弽を干す場所はここに決定。
このままここに保管でも問題はなさそうですね。風通しもいいし、通気という観点からでも問題はなさそう。
他にもこうした場所はないか彷徨っていて見つけたのは、玄関でした。
靴箱の中は湿気多いから駄目だけれど、玄関はもともと開放部が多いこともあるし、我が家の場合、各部屋からのアプローチもしやすいように作られていたためか、空気も淀んでいなくて。ここに棚を作って弽を保管するのも悪くなさそうです。玄関の位置としては北西になるので、直射日光も当たりませんし。
各ご家庭によって間取りはそれぞれ違いますから一概には言えませんが、触感として以下のように感じました。
・風通しのよい場所を探したかったら、窓を起点にして風を追って家の中を歩いてみるのもよさそう。
・臭いから空気の淀みを判断する。
また、湿度計を活用するのも良いなと感じました。室内の適正湿度は通常40%から60%と言われています。つまり60%を越えるような場所はじめじめ地帯ということですね。湿気を嫌うものは弽以外にも日常にあふれていることを思うと、湿度計を各室内に設置しておくことも大事かな、と感じました。
2. 冷暗所ってそもそもどんな場所?
番外編みたいなイメージではありますが、風通し、通気の良さについて考えていて気になったワードがこれです。
「冷暗所」。
具体的にどんな場所なのでしょう?
調べてみたところ、先ほどまで考えていた風通しや通気にプラスして、温度と暗さが求められる場所のようです。
具体的に言うと、
・1℃から15℃程度に温度が保たれている
・直射日光が当たらない
具体的にどこだろうと調べてみると、床下収納や納戸はこの条件に当てはまるらしいとわかりました。
けど、マンション住まいだと床下収納や納戸なんてなくない?!
正直我が家を探し歩いてもそんな場所なさそうです。唯一ここはそうかな?と思ったのは、玄関と北側の書斎。ここは夏でもわりと涼しいので冷暗所として使えそう。
各々のお宅によって状況は違いますが、調べてみると、玄関を冷暗所として使用するとよいという説もありました。
ただ、日本の夏は過酷で玄関が冷暗所として優れているとしても、真夏には冷暗所としての役割を果たせる状況にはないことも多いようです。
となれば、季節ごとに冷暗所は移り変わっていくものと考えるべきかもしれません。
暑すぎるときは、保存するものによるけれど、冷蔵庫保存もありなのかも。
3. 終わりに
今回、弽を保管できる場所を探すことをきっかけに改めて家の中を見て思ったことがあります。
クローゼットや押し入れ、キッチン収納、トイレ、洗面台の収納などにものを仕舞った場合、一度定位置が決まったらなかなか場所を変えることはありません。
しかし、そんな中でも保管するものによってはそこを定住地とするのがふさわしくないものもあります。なぜなら家の中の環境は季節によって変化が生じやすいからです。風通しも通気も。一度ここと決めても季節によって風向きや気温が変われば、ベストポジションではなくなる。
そのことを考えると、具体的にどこに保管、保存すればいいか、と考える、その時期というのは、最初の一回では終わらず、定期的に見直し、考えていく必要があるのかな、と感じました。
春、秋はここ。冬はここ。夏はここ、というように。
そうしてものに対して丁寧に向き合うことで、生活も潤っていくものなのかもしれないなあ、と。
ということで!今回は風通し、通気、について考えてみました。
今後も住まいに関する疑問について考えていきたいと思いますので、お付き合いいただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!