長く住み続けられる家の条件とは
こんにちは!
夫とおじいさんチワワと暮らす主婦、ヤマダです。
先日、長屋を利用して営業している、雑貨屋やカフェが立ち並ぶ街並みを散歩しました。
昔ながらの木造家屋が連なったその通りには、藏を利用した店舗も多く、今が令和なのをふっと忘れそうになりました。
藏って入られたことありますか? 住まいというよりも倉庫として利用するための建物のために、窓は明り取り用のものが上部に設けられているばかりであまり大きくありません。また古くからの藏は土壁を利用しているからか、内部はひんやりしていて、倉庫としてものを保存するのに適した温度を保てるようになっています。土壁は調湿効果にも優れているそうで、私が訪れたのは晩秋でしたが、これなら夏でも快適そうだな、と感じました。古くからそこに存在していながらも、今も過ごしやすさを保ち続ける藏。そして木の温かみをいただきながら街並みを彩っている長屋。
日本は西洋と違い、ひとつの家を何世代にもわたって延々と住み継ぐ文化ではないように感じます。けれどももちろんこの長屋や藏のように、長く使用されている建物も存在していますよね。
時間を経たからこその風合いを持ちながら、軒を連ねる建物を眺めつつ、ふと思いました。
そもそも住宅の寿命とはどれほどのものなのか。
長持ちし、永続的に暮らすことができる住宅にはなにか条件があるのか。
私は長女なので場合によっては今、父母が暮らしている家を継がなければならないかもしれません。
そうなったとき、あの家に残された時間はどれほどのものなのか、ある程度予測を立てておく必要はあるのかもしれない。
少しずつ歳を取り、この先のことを考えるようになればなるほど、家というものの大きさを改めて感じますね。
ということで、本日は家の寿命と長く住める家とはについて調べてみたいと思います!
1. 建物の種類別寿命
ざっくりと建物の寿命について調べていて行き当たった言葉があります。
それは、
耐用年数。
耐用とは、辞書を引くと「使用に耐えること」などと記されています。ようは壊れずに使用できる年数ということですね。じゃあこれが寿命とイコールなのか? というと、どうもそうではない様子。
建築での耐用年数とは、主に固定資産、税などを算定するための減価償却の計算に使う年数であり、定められた耐用年数を超えたからといってその家に住むことができなくなるということではないようなのです。
ただ、国税庁により、木造なら何年、鉄筋なら何年、といった具合に、種類別に細かく定められてはいて、その一覧は「主な減価償却資産の耐用年数表」に記載されていました。
家の寿命ってどれくらい? くらいのぽやっとした気持ちで調べ始めていたのですが一覧を見て驚きました……。実に細かく定められています。建築においては、事務所用なのか、飲食店用なのか、ホテル用なのか、用途別に記されていますし、建築以外の車両や、工具、設備など、劣化することによって価値が失われていくものに対して耐用年数がびっちり定められている……。
全部挙げていたら倒れそうになるので、住宅用の建築における法定耐用年数を記してみますね。
・木造・合成樹脂造 22年
・木骨モルタル 20年
・鉄骨鉄筋コンクリート造 鉄筋コンクリート造 47年
・レンガ造、石造、ブロック造 38年
・金属造 骨格材の内厚が4mmを超えるもの 34年
3mmを超え、4mm以下のもの 27年
3mm以下のもの 19年
引用:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
ざっと見てみて……なんか違和感が、と思ったら、鉄骨造が載ってないんですよね。
代わりに「金属造」っていうなんかメカメカしい建物を想像させるワードがある。言葉だけ聞いて、全部、鉄とかアルミとか金属で作られたシェルターとか隠し金庫室とか(あくまでイメージの話ですが……)みたいな建物を想像しちゃいました。
調べてみると、金属造とはそうしたつるつるでてかてかの建物という意味ではなく、主に鉄骨造がこの金属造に該当するようです。
まぎらわしいがな! と言いたくなったけれど、確かに鉄骨は金属ですものね。
もうひとつ気になったのは、住宅建築における、メジャーどころである木造の法定耐用年数22年という短さです。
一番長いなあと思うのはまあ、予想通り、鉄筋コンクリート、鉄骨、鉄筋コンクリートでしたね。それでも47年。
もちろん、先にも書かせていただいた通り、これはあくまでも税を算定するための基準となる年数であって、実際、どれくらい住み続けられるかという話になるとまた別の話になります。しかし、ひとつの基準として、そして長く価値を留めておける建物はどれか、という観点から見たとき、国税庁が定めた法定耐用年数はひとつの指針にはなっているのでしょうね。
では、法定耐用年数はひとまず置いておいて、実際のところ建物に住み続けられるリアルな年数とはどれほどのものか考えてみたいと思います。建物が壊れる、まさに寿命ですね。この寿命を、物理的耐用年数、というそう。ちなみに、税法上の耐用年数は法定耐用年数といいますが、その建物の資産価値がなくなるまでの年数のことを経済的耐用年数というそうです。
と、脱線しましたが、物理的耐用年数の話に戻りましょう。
これね……調べれば調べるほど、わからなくなりました……。
理由としては、そもそも建物の建てられ方、環境などによっても寿命は大きく変わるため、何年が寿命!と断言できないところがあるようなのです。
まあ、人間でもそうですよね。同じ年齢、同じ性別の人間がいたとしても、それぞれの寿命は遺伝子情報、生活習慣など、多くの因子に作用され、変わっていきます。海のそばなど、塩害も考慮せねばならない土地とそうではない土地に建てられた建物であれば、劣化速度も当然変わってくると思われます。だとすると、木造だから何年、と断定できないのも頷けます。
ただ、いろいろ調べてさすらった結果、物理的耐用年数の観点からしても、長生きできる建物の順番は、木造<鉄骨<鉄筋コンクリートになるようで、法定耐用年数での構図とほぼ等しい形になるようだなという印象は受けました。
やはり、コンクリート、強いですね。
しかし、そうはいっても法隆寺を見てください。完全なる木造。しかも築年数は1300年! 世界最古の木造建築! それを踏まえて考えると、木造<鉄骨<鉄筋コンクリートも一概には言えなくなってきます。
長持ちする住宅と、そうではない住宅の違いとはなんなのか。
次章で調べてみようと思います。
2. 長く住み続けるためにチェックすべき項目とは
そもそも、長持ちする家はなにが優れているのか。
調べてみると、以下の項目が出てきました。
・耐震性に優れていること
・耐久性に優れていること
・メンテナンスがしやすいこと
この辺りが求められるようです。一つずつみてみましょう!
・耐震性に優れていること
他の記事で何度か書かせていただいたのですが、日本には建築基準法という法律がありますよね。この法律は建物を建てる場合、最低限、絶対押さえておかなければならない、住宅の安全基準を定めた法律になります。そこには当然、地震大国日本だからこその地震に対する基準も明記されていて、その基準も、地震での被害を鑑み、改定されています。もっとも大きな改定となったのが1981年6月で、5月31日以前の耐震基準が旧耐震基準、それ以降は新耐震基準と呼ばれるようになりました。新耐震基準では震度6以上の地震を想定して定められているので、この基準がクリアされていることが、耐震性に優れている、といえる絶対条件になりそうですね。
・耐久性に優れていること
耐久、ときくと、「我慢強い」に脳内変換されてしまう私なのですが、耐久性のある家というのは、外部から受ける刺激、影響に対し、長く形状を維持し続けられる家、という意味になるようなので、ある意味「我慢強い」も間違っていないような……。
と、私の感覚はともかく。
あらゆるものがそうですが、永遠に同じ姿ではいられませんよね。動物だって植物だってそう。食べ物だって永遠に美味しいままではない。
建物もやっぱりそうで、建てたばかりのときは柱だって壁だって染みひとつなく、まっさらだけれど、年数を経れば汚れも目立ちますし、腐食して崩れやすくなることもあります。
ですから耐久性のある家に求められるのは、今、ではなく、未来にその家がどうなっているのかを考えながら建材や構造が考えられ、建築された家、ということになります。
たとえば、木造の場合であれば、シロアリの脅威からは逃れられません。それを見越し、シロアリに強い建材を使用している、あるいはしっかり防腐防蟻処理がなされていることが家の状態を長く保つために必要になります。ちなみに、シロアリが好む木材と好まない木材というものもあるそうで、シロアリは香りがよく、堅い木は嫌うらしいです! 知らなかった……。
また、木造、コンクリート、鉄骨、など、すべてに共通しているのが、日本ならではの多湿な気候に対し、対策がなされているか否か。
湿気はどうしてもたまります。どれだけ窓を開けても、除湿しても。低ければ低いで困る湿度ですが、多すぎる湿気は家を傷めます。ですから、溜まった湿気に建材が浸食されないように作られた家は耐久力のある家、といえますよね。
突然ですが、私、臭いに対してすごく敏感なタイプで……。その私の鼻を信用するならば、湿気が溜まりやすい家というのは独特の香りがするなあと感じます。実際、かび臭いまでいかないにせよ、なんとなく淀んだ臭いを覚えた家に住んだことがありますが、そこはクローゼットの中に除湿剤を置いても置いても水が溜まって仕方ないという物件でした。感覚的なものではありますが、臭いがある以上、なんらかの異常が家に起こっている可能性はあります。感覚、大事かも。
・メンテナンスがしやすいこと
メンテナンスに力を入れている物件は外壁から違うなあ、という印象を私は持っています。私たちを守ってくれる家の一番外側。太陽や風雨、時には雪にもさらされる外壁がきちんと塗り直され、補修されている建物は、外壁以外の部分も手入れが行き届いた建物であることが多かった覚えがあるからです。実際、外壁の補修ってかなり大掛かりな作業ですよね。足場を組む必要もありますし、落下物防止用、あるいは塗料の飛散防止ネットを設置しなければなりません。それをきちんとこなしてくれている時点でまあまあ信用できる物件かもなあ、と思うのです。とはいえ、外壁補修が容易な物件とそうではない物件というものはやっぱりありますよね。たとえば、建物が近隣の建物と近接していると足場を組むことも難しくなりますから、必然的に補修工事も難易度が上がります。
メンテナンスは必要だけれど、するのにも一苦労な状況だと、業者の方に作業をお願いする際の費用が余計にかかってしまうこともあるようなのです。
以上のことから、物件を探すとき、外壁の状態もよくよく見て選ぶ必要があるな、と感じました。また、補修工事を行うとしたら足場を組むことになるけれど、この物件は可能だろうか、など、想像してみるためにも、建物の周りを一周してみることも必要ではないでしょうか。
3. 終わりに〜物件を長持ちさせるため、住みながらすること〜
よく人が住まなくなった家は荒れる、といいます。あれは真実で、祖父母の家において、長く締め切っていたことが祟って、結露がひどく、窓枠がかなり傷んでしまっていたことがありました。埃や結露、そうしたものは、放置すればするほど家を蝕むのだな、と実感いたしました。
そうならないためには、家にきちんと風を通すこと、定期的に家のメンテナンスを行うことがとても重要です。業者の方を呼ぶのは、どこかに不具合が起きてからと、私などはついつい思いがちですが、見えないところも確実に劣化は進みますものね。一軒家ではなく、集合住宅となると、見えないところは一軒家よりも多くなります。ですから、建屋全体のメンテナンスをきちんとやってくれる管理組合かどうかもチェックしたうえで、物件購入はしたいなあと感じました。
そもそも、日本の住宅は欧米に比べて住宅の寿命が短い、といわれています。理由のひとつとして日本の多湿な気候が挙げられるようですが、だとするならば、なお一層住人である私たちがお部屋の顔色をちゃんと見て、適切なメンテナンス、人間で言うなら、定期健診を受けさせてあげないとですよね。
しかも家の傷みはゆっくりです。ゆっくりゆっくり劣化は進み、ある日突然、「あれ? なにかおかしい」と気づくことも多いです。そうなったとき、初めて家が当たり前に機能してくれることのありがたみを感じることも多いように思います。
お部屋がちゃんとしていないと住む側の心も体も荒れます。だから、自分の体同様、家もしっかりとした点検を受けさせてあげたいなあと今回の記事を書きながら強く感じました。
ということで、本日は家の寿命と長く住み続けられる家とはどんなものかについて、書かせていただきました。
平均寿命が長くなっていく現代。長く安心して暮らすために、家への気配りを考える、そんな機会にこの記事がなってくれたら、この上ない幸せです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!