食べ物や動物がいっぱい! 建築用語が面白い件!

こんにちは!
夫とおじいさんチワワと暮らす主婦、ヤマダです。

さてさて、街中を歩いていると思うことがあります。
永遠に変わらないものってないよなあ、と。
というのも、私が現在住まう街は地方の小さな市で、田んぼや畑が今もそこここに残る、非常にのどかな街、いや、町くらいのサイズなのですが、それでも変わっていくことが実に多いんですよね。
たとえば、数日前まで田んぼだった場所に突然住宅が建つこととなり、工事が始まったりとか、空き地にマンションが建ったり、とか。町は目まぐるしく変わっていっているんです。
だからそうした変化のシーンに立ち会うことはわりと日常的で、現場で作業をされている方々の声を聞くことも多いのですが、ある日……。

「おい! そこにネコ! 置くなって! 邪魔!」

・・・なんて声が聞こえてきてぎょっとしました。
ネコ?! え、猫?!
工事現場に猫?! 危なすぎるよ!

建築用語

ただ、工事現場はパネル等で保護されていて中を見ることはできません。猫がいたのかどうか、私にはわからなくて心配になりながら家に帰ったのですが、帰宅してから夫に話したところ、「それは猫じゃない」とのこと。

「猫ってのは、砂とか、土とか、工事で必要なものを運搬するための手押し車のこと。ほら、タイヤが前に一個ついてて、動かすときは持ち手を引き上げて停車用の支えを引きずらないように運ぶ感じにする道具のことだよ。猫車ともいうんじゃなかったかな」

・・・君はなんでそんなこと知ってるんだ?
聞いてみると、どうやら工事現場でアルバイトをしていたことがあったようです。

「体力的にきつくて続かなかったけど……」

と、しょんぼりさせてしまって、聞いてごめん……ともなったのですが、夫にこの話を聞いてから思ったのは、そういえば、建築用語にも面白い名前がついているもの、多いなあ、ということでした。
建築現場での用語にも、住まいの設備の中にも。
ということで!今日は、ユニークな建築用語、住宅用語を調べてみようと思います!



1. 食べ物の名前

あまり知らなかったのですが、建築用語には食べ物の名前も多いようです。
その一部をご紹介いたします!

・あんこ
ヤマダは和菓子が大好きです。が、住まいのどこにあんこ感のあるものがあるのか……。どうやら見えないところにあるみたい!
なんと、あんことは、建築現場で使う詰め物のことらしいのです。たとえば、ある形にコンクリートを成形したいとき。穴を開けたい部分に詰め物をし、後程その詰め物を外すことで、コンクリートを自在に型抜きできます。この詰め物のことを「あんこ」というそうな。
和菓子において主役はあんこなのか、皮なのか。迷うところですが、建築の現場でいうと、あんこは住まいにさまざまな顔を与えてくれる、名脇役といったところのようですね。私たちが毎日明るい日差しを家の中でも受けられるよう、窓を切り出してくれたのもあんこのなせる業だそうですから……。

・まんじゅう
まんじゅう?!あんこときて、まんじゅう?!
和菓子屋さんですね。完全に……。あんこが中身ならまんじゅうってなに? と調べてみると、まんじゅうとは鉄骨工事にて鉄骨を建てる際、基礎となるコンクリートとベースプレートと呼ばれる鉄骨の下部部分の間に入れるベースモルタルと呼ばれるものの通称とのこと。下部が広く、上部が狭い形をしていて、形状がまんじゅうに似ていることからこう呼ばれるのだとか。これが必要な理由としては、柱を建て入れ直し、つまり柱の位置や角度を正しい位置にするための調整の際、それをしやすくするため、および、柱の荷重をしっかりと基礎に伝え、強度を保つためだそうです。
あんこを名脇役と書いたけれど、まんじゅうもまさにそうですね。存在を知られていないけれども、なければ私たちが暮らす家、建物がしっかりと大地に立ち続けることができない。そう思うと、見えないまんじゅうが愛おしくなります。

・ドーナツ
なんだろう、建築現場はおやつ天国ですね。
調べてみると、これも建築現場で使う器具の名前のようです。スペーサーという名前で、鉄筋とコンクリートの間隔、被り厚(鉄筋を覆うコンクリートの厚み)を適切に保つための指針となるようなもの。これを用いないと適切な強度を鉄筋コンクリートに保持させることができなくなるよう。形は円形で真ん中に鉄筋を通せるようになっています。まさにドーナツ! でもこれもまた目に触れることのないもの。
人は食べるもので体を作っていきますが、建物もそうなのかもと思わせられます。

・ようかん
お菓子天国再び! けれどやはり建築用語なのでお菓子ではなく、現場にて使用する長方形のものを総じて「ようかん」と呼ぶようです。よく使われるのは煉瓦を縦長に切ったもののことだそうな。
三匹のこぶたという童話にて、三匹目のこぶたが煉瓦の家を建てますが、その様子をちょっと想像してしまいました。

建築用語2



2.動物の名前

さてさて、美味しい名前も多々ある建築用語。動物もたくさん隠れている様子!
面白いなと思ったものをピックアップしてみました!

・犬走り
我が家にはチワワがおります。もうおじいさんですがまだ走ることはできます。走っている姿をみると、可愛いなあ、と思わずデレデレしてしまいます。犬が走る姿とは、思わず時間を忘れて見続けてしまえるくらい、愛らしい。
と私の犬愛はともかく! 犬走りってなにか、というと、家の外壁から1mくらいの細い通路のことをいうそう。これを作る目的は、雨のとき、地面に落ちてきた雨水によって起こる泥はねを外壁に及ぼさないようにするためとか。雨樋がちゃんとしている、雨汚れに強い外壁であれば作る必要はそれほどないようですが、玉砂利を敷き詰めることで不審者が家に近づいたときに察知しやすくなるといった使い方もできます。家を守るための設備であることは間違いなく、犬走りというネーミングも好感が持てますね。犬は家を守るとも申しますから。なぜに犬走りかというと、犬一匹走れるくらいの幅だからだそう。その着想が可愛い。名前を付けた人、まさに神!

建築用語3

・馬目地
馬の、目? と思ったら違いました(笑)
馬と目地。目地とは、建材をくっつけたときの継ぎ目のことなので、この馬目地というのもその継ぎ目の名称のひとつのよう。具体的に言うと、ブロックや煉瓦、タイルなどを横辺は一直線になるよう並べ、縦辺はすらして互い違いに貼られた結果できた目地のことを「馬目地」というそうです。なぜに馬なのか? というと、馬の足跡を見てみると、前後にずれていますよね。そのずれた見た目が言葉の由来になっているようです。
馬じゃなくても犬でもよかったのでは、と思ったけれど、縦と横、どちらの目地もそろえて貼られた結果できた目地を「芋目地」といわれることから、犬目地では都合が悪いかもなと勝手ながら思いました。区別が必要な部分において似た名前をつけるのは、建築現場ではよくないかも。いも? いぬ? と聞き違ってしまうかもしれませんものね。

建築用語4

・アヒル
正式名称「サッシアンカー」だそう。アンカー? 基礎と柱をくっつけるボルトに「アンカーボルト」というものがありましたが、あれと似た働きをするのかな? と予想しつつ調べてみると、まさにそうでした。窓のサッシをコンクリートの壁に取り付けるための金属部品のことで、アヒルと呼ばれる所以は形がアヒルに似ているから。
まさかこの壁の中にアヒルが埋まっているとは……としげしげと窓のサッシを眺めつつ思いました。アヒルが埋まっているって字面が怖いですね。
しかし、見えない場所でアヒルがサッシを支えて踏ん張っていると思ったら……猛烈に愛しいです。

・鳩小屋
鳩小屋と聞いて真っ先に思い浮かんだのは、映画「天空の城ラピュタ」にて主人公、パズーが暮らす家の屋根の上に設けられた鳩たちのための小屋。調べてみると、設置場所が屋上なのは同じのようですが、もちろん建築現場での鳩小屋は鳩のためのものではないよう。
鳩小屋。それは、建物の中から屋上まで通された配管、エアコンの室外機などを雨水などから保護するための箱のことのよう。形としては……シンプルに箱状。クッキーとクッキーの間にクリームが挟んであるタイプのお菓子がありますよね。あの形に似ているようにも思いました。これがあることで、屋内への雨水が漏れこまないように守ってもらえるそう。
ちなみに鳩小屋という名称は普通に設計書にも「鳩小屋」と記載されるよう。今回調べなかったら完全にパズータイプの家なのかなと思ってしまいそう。

・鴨居
ふすまや障子を滑らせるための溝がある建材の名前。下にあるのが敷居、上にあるのが鴨居です。猛烈に気になるのは、敷居は下にあるし、なんとなく理解できるけれど、鴨居はなぜに鴨居なのかというところ。調べたのですが、諸説あって、上にあるから「上居」とはじめは呼ばれていて、それが鴨居になった、や、火事にならないよう祈りを込めて水鳥の名前、鴨がつけられて「鴨居」となった、あるいは、噛む居、嚙み合わせがいい、なんて言葉がありますが、ふすま、障子をしっかり噛んで滑らせるという意味で「噛む居」だったのが鴨居になった……など複数あるよう。どれが正解なのか明確ではないのですが、私的には水鳥説を一番推したいですね。家を守りたいという祈りがもっとも感じられる素敵な語源だなあ、と感じますもの。

建築用語5

ほかにも調べてみると、トラ、というのもありました。これは住まいの設備というよりも、工事現場で使う黄色と黒のしましまのロープのことを言うようです。建造物が倒れてこないよう支えるために使うものだとか。倒れないように支えているけれど、危険だからね、という声が聞こえてくる気がします。



3. なんでこんなに面白い呼び方なのか? 考えてみた

今回取り上げたのはほんの一部で、面白い言葉、実はまだまだありました。逆にその面白用語の方が定着していて、正式名称のほうが知られてないなんてこともあったりして。
本においてタイトルはその本の顔、なんて言いますが、各用語においてもそのものを表す名前というのはそのものがどんなものか、想像しやすく、共通認識が得られやすい名前がつけられてしかるべきと思います。その意味で、建築現場、住宅用語に動物や食べ物といった、想像しやすいワードが採用されていることは、実に理に適ったことだと感じました。
住宅、建物を作りあげていく建築現場はチームワークの世界ですものね。熟練の技術者の方もいれば、そうでない方もいる。その皆が直感的に理解できるような言葉を用いるのはとても素晴らしいことだなあと。スペーサーという名称を知らずとも、ものを見て「ああ、ドーナツ!」とすんなり覚えられそうですもの。私自身、サッシアンカーという言葉は忘れてしまうかもしれませんが、「アヒル」は長く覚えていられそうな自信があります(笑)

建築用語6

また、食べ物だったり動物の名前を用いると、少し言葉が柔らかく聞こえますよね。張りつめた現場の空気を、おもしろ建築用語たちは和らげてくれる味方になってくれそうな。
よく名前は親がくれる最初のプレゼントであり、願いや祈りが込められている、などといいますが、鴨居のように建築用語にも願いや祈りが込められているのでは、というものが多数あります。それだけ住まいというのは人間にとって大切であり、守りたいものなのだな、と今回、面白建築用語を調べていて強く感じました。
ということで、今回は食べ物や動物にちなんだ面白建築用語について調べてみました。いかがでしたでしょうか?
まだまだあるようなので、別の機会にまたお話できたらと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!






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