分譲マンションで楽器は弾けるのか…。
皆さん、こんにちは!
転勤族の夫と暮らす主婦、ヤマダです!
以前別の記事でも書かせていただいたのですが、私は散歩が好きで、周囲をよく散策します。我が家にはおじいさんチワワもおりますので、散歩は趣味であり彼との大切な運動時間です。路肩に咲く花を眺めながらそぞろ歩きをする日々を楽しんでおります。
そんな私たちをさらに楽しませてくれるものとして、ピアノの音があります。
まだ習い始めなのでしょうか。つっかえつっかえ一生懸命なその音色が聞こえてくるのは夕方くらい。音の元は、通りすがりにある分譲マンションの上階。
ひたむきな音に微笑ましさを覚えながら歩いていたのですが、そこでふと思い出したのは、自分が住んでいる集合住宅のこと。
我が家は仕事の都合もあり引っ越しが多い家です。そのため、賃貸住宅を渡り歩いていますが、楽器について、禁止された物件が多かったように思います。まあ……それも仕方ないのかなあとは思うのですよね。賃貸とは永住すると心に決めて入居することは珍しい形態で、どうしても人の出入りは激しくなりがちです。その分、ご近所同士の繋がりも希薄になりやすいですから、楽器演奏についてなんの制約もなしに許可してしまうと、騒音問題につながりかねませんものね……。
しかしそこでふと思ったのは、分譲においてはどうなのだろう? ということです。自分のお城という意識は賃貸より当然あるものの、壁一枚を隔て、別の世帯が住む住居形態であることはまあ、同じ。とすると分譲マンションにおいても楽器は禁止されているのだろうか。でもだとするなら、分譲マンションを希望する限り、楽器を弾くことは難しいということなのだろうか、と疑問がむくむくと湧いてきました。
ということで、今日はマンションにおける楽器演奏について考えてみたいと思います。
1. そもそもマンションで楽器演奏が不可になりやすい理由
理由としてはやっぱり、楽器の演奏音が騒音として認識されやすいことが挙げられると思います。楽器を弾く方にとっては心地よい音だとしても、楽器に対して思い入れがない方はそうは思えないことも多いですものね。犬好き、猫好きが人によって違うように、好みの音、音楽の好みだって人それぞれ。正直、音楽が好きで楽器演奏も楽しく聞けると思っている私だって、この音は苦手、この曲は好みじゃない、というものはあります。あと、聞こえてくる音の音量が大きくてイライラするときだってあるけれど、「これ、なんの曲? なんか聞こえてくるけど、微妙な音加減でなんの曲かわからなくて逆にイライラ」なんてこともあります。
ようはなにがしかの音が聞こえ、意識が音に持っていかれることがトラブルの原因になっているのかもしれません。
ちなみに、音の伝わり方には二種類あって、
・空気伝播音
・固体伝播音
になります。
空気伝播音は空気を伝わって聞こえてくる音のこと。対して、固体伝播音は壁や床、天井などを伝わって届く音のこと。
よく隣室からのくしゃみがうるさい、なんて話を聞きますが、くしゃみや話し声などは空気伝播音にあたりますね。対して、子どもが床を走り回る音、バスタブに水をためる音、ドアの開け閉めの音といった音は固体伝播音に分類されます。大きな違いは物体を振動させることで広がるか否かです。
どっちがより厄介か、というと、空気伝播音は壁や床などの障害物によってある程度防げ、音の発生源から遠ざかるほど音量は小さくなるけれども、固体伝播音は壁や床を通じて遠くまで響いてしまうので、固体伝播音のほうが騒音としては厄介かもしれません。
じゃあ、楽器ってどっちの音の伝わり方になるの? と調べてみると、これが一概にいえなさそう。手に持って演奏できるような振動を伴わないもの(ギターなど)の音は空気伝播音に分類されることになるでしょうが、家庭での楽器演奏といわれて真っ先に思い浮かぶピアノになると、空気伝播音と固体伝播音どちらも出すといえます。ペダル、鍵盤を押す、叩く動作によって壁や床が振動してしまうからです。極端な話、ヘッドフォンをして音を外にもらさず、電子ピアノを練習したとしても、鍵盤、ペダルを操作する演奏方法は変わりませんから、なんの対策もない集合住宅だと音が伝わってしまってトラブルになることもある、ということなのです。
そこでふっと疑問になったのは……リコーダー! 学生時代、避けては通れなかったリコーダー!(演奏が下手過ぎて本気で学校を休もうとした、いえ、休んだことがある私……)。あれも楽器ですよね。と思って調べてみると、音のレベルとしては90db(デシベル)とのこと。これはカラオケとか犬の鳴き声レベルだそう。まあまあですね……。そうなってくると楽器不可の集合住宅で吹けなくない? と青くなりました。実際、難しいラインのようですね。音が出る穴にテープを貼って対応するとか、市販の消音器をつけるとか、対策はあるようですが、小さな楽器でも、嫌だな、と思う人がいるかもしれない、と思っておくことは大事なことかもしれません。
2. 楽器可・相談可の違い
さて、賃貸と分譲だとそれぞれ事情も違うかもしれませんが、よくあるこの言葉について、気になったので調べてみようと思います。
・楽器可
・楽器相談可
賃貸物件を探しているとときどき見かける言葉ですね。分譲でも探してみるとこう表記されて売り出されている物件も。
しかし、可、と相談可。
どう違うのか。
調べてみると、楽器可は言葉通り、楽器を演奏してもいいよ〜、という物件。楽器演奏を大筋で認めてくれている物件ということのようですね。そもそも音が漏れにくい構造の建物、遮音性が高い物件であったり、物理的に防音室が備え付けられていたり、共用施設において、演奏をできるスペースが設けてあったり、といった楽器演奏をしやすい設備が備えられた物件のことのよう。ただ、完全防音になっている場合は24時間演奏可能なことも多いけれど、遮音性が高い、という程度だと、演奏していい時間は決められていることも。
対して楽器相談可物件となると、ちょっと意味合いが違ってきます。本来は可能じゃないけど、相談したら大丈夫な場合もある、あるいは、条件つきで可能、のような意味合いのようですね。楽器可物件が物理的にある程度設備を備えていることが多いのに対し、相談可については物理的な設備がなく、条件つきで演奏ができるという形のようです。しかも注意しなければいけないのは、楽器相談可と書かれているからといって、その建物の居住者全員が演奏をするわけではない、ということ。楽器可、と銘打たれていれば、楽器を演奏する目的を持って探して、住む方も多いですし、防音設備がちゃんとしている物件であれば、その分、コストだって楽器不可物件よりは高くなるケースもあります。それでもそこに住むという方ですから、楽器への理解もあるでしょう。けれども相談可物件となると、設備がない物件が多く、楽器演奏に対して不快に思う方もいらっしゃると想像できます。
ちなみに、よく楽器演奏を可、相談可にする場合につけられる条件として以下が挙げられます。
①楽器の種類が限定される
②演奏時間が限定される
③演奏場所が限定される
楽器の種類が限定、でよくあるのは、ヘッドフォンをつけて音をしぼって演奏が可能な楽器ならOK、とか、打楽器は不可、といった形で具体的に記されている場合です。
古来より数多の楽器が存在しており、今も新しい楽器は生まれ続けているといわれているくらい、楽器とは音色も音量もそれぞれ。ゆえに一言で「楽器可」といっても、全部が受け入れられるわけではない、というわけですね。ちなみに、一番音が大きい楽器ってなんだろう、と調べてみたところ、諸説あるようですが、パーカッションやサックス、ドラムは音が大きい楽器といわれ、110db(デシベル)程度の音が出るとか。110dbと同等の音の一例として挙げられるのは、車のクラクション、しかも2mくらいの距離からの音だそうです。
それはなかなかだわ……となんだか納得してしまいました。サックスでなくてもピアノだって結構大きな音が出ることを考えると、深夜や早朝に演奏されるのはまあ、きついですよね。だからこそ②の演奏時間が限定される場合が多いよう。
そして、③の演奏場所が限定される、という項目。分譲マンションの管理規約などにそうした記載がある場合があるそう。前章でお伝えした通り、音は空気を伝う場合と、壁や床、天井を伝わって広がる場合と2パターンあります。これは言い換えれば、壁一枚を挟んだ隣には、どちらの音の伝わり方においても楽器演奏が届きやすいということになります。ですから、演奏できる部屋を限定し、他の世帯と壁が接していない部屋を演奏部屋として固定するよう定められているというわけなのですね。
また「楽器演奏をする場合は防音室等を設置して行うこと」といったことが規約に盛り込まれていることも。調べてみると、楽器メーカーより、室内に置ける小屋のような防音設備が販売されているようですね。そうしたものを設置すれば楽器はいいよ〜、ということなのですが……。
なかなか大変だな! と正直思いました。楽器をマンションで弾くってこんなに気を使わねばならないのか……と。楽器本体だって決して安くないのに、後付けで部屋における防音室、防音ユニットって調べたら、性能や広さによって金額に差はあるものの、高いものだと200万越え……。ちなみに後から組み立てて部屋の中に置く小屋、ユニットタイプの防音室のほかに、お部屋自体を防音室にリフォームするやり方もありました。ただこちらのほうがコストはユニットタイプよりも工期も費用もかかってしまうよう。まあ、そうですよね……。お部屋の状態にもよってどの程度の工事になるのか、建材の量だって変わってくると思いますから……。
いずれにしろ思ったのは、分譲にせよ、賃貸にせよ、マンションで楽器を演奏するというのはとても大変だ、ということであり、書面において楽器について言及がない場合は、まず、楽器はアウトだと思った方がよいということなのだな、ということでした。
3. 終わりに
そうはいっても楽器を集合住宅で演奏したい! そんなときはまず、規約を確認すべき、とわかってきたものの、いくら規約に「楽器可」とあったとしても注意せねばならないことも多いと感じています。
理由としてはやはり、購入した部屋は自分の部屋だとしても、建物すべてが自分の家ではないということが大きいですよね。壁一枚挟んだ向こうには別の世帯が住んでいる、となると、いくら楽器可と書いてあるからといって「書いてあるからいいでしょ? 時間制限の記載もないし」と昼夜問わず演奏するというわけにはいきません。一般的に早朝や夜は避けるなど気遣いは必要になりますね。
もっとも今やお仕事の仕方にも生活の仕方にも多様化が見られる現代。昼間だからいい、と一概には言えないところがあるのも事実……。なので、普段から周囲の方の生活リズムをざっくりとでも把握、確認しつつ、楽器演奏に臨んだ方がいいなあ、と感じます。
我が家の場合はそもそも楽器演奏は不可なので演奏できないのですが、仮に可だった場合。どうも様子を見ていると、両隣は日中お留守が多いよう。反対に我が家の上の階は夕方に外出されて朝方帰ってくるお仕事をされているような……。ただ平日の一日だけは日中いらっしゃらない日があるようなので、その日を演奏日として考えることができそうです。
正直、現代において、集合住宅でご近所づきあいを密にしているところもまれになってきていると感じてはいますが、「今日も頑張って弾いてるねえ」と笑ってもらえるかどうかは、やはり普段交流があるか否かが大きいなあと思っています。
ですので、楽器演奏に留まらず、普段から周りのお宅にご迷惑をおかけしないよう、注意を払いつつ過ごすことを心掛けるべきかもしれません。そうすることで双方にとって快適な演奏ライフは手に入れられるのではないでしょうか。
音楽が人を癒し、楽しませてくれるものであることも確か。弾く側が注意をすることがまずは必要ではあるけれど、聴く側も音を楽しめたらそれが一番素敵だなあ、などと、今日も窓の外から聞こえてくる子供たちのリコーダーの音に耳を傾けつつ思います。正直……仕事に追われているとき、ちょっと追い詰められているときは音ってなかなかしんどくて、イライラしちゃうこともあるけれど、その音によって少しなりとも気分転換できたらなあ、と。
ひとりではないからこそ、折り合いをつけつつ、みんなで良い方向へ進めたらそれがベストですよね。
ということで!
お読みいただき、ありがとうございました! これからも住まいに関する疑問を様々な視点で考えていけたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします!