孫子の兵法を参考に住まいについて考えてみた!

皆さん、こんにちは!
転勤族の夫と暮らす主婦、ヤマダです!

我が家は引っ越しが多い家。ですが、最近少し落ち着いてきて一所に定住ができています。ほっと一安心……と思っていたら、今度は夫の職場が引っ越しで大変だそう。なんでも所属する部署が丸ごと移動することになったとかで、

「やばいな。引っ越しには慣れているつもりだったけど、これ、ほんと戦だわ」

と、夫がお疲れの顔で言っておりました。
どうやら引っ越しといっても敷地内の建物から建物への移動らしく、大半は社員で手分けして行わなければならないそうで、夫も毎日腰痛に苦しんでおります。さすがにキャビネットやデスクなど、大きなものは業者の方に運搬をお願いするそうですが。
しかし「戦」とは……。
夫の物騒な単語を聞いて思い出したのは、「孫子」。
孫子の兵法といえば、現代でも語り継がれている英雄たちが、戦の基礎理念として採用していたことでも有名です。
調べてみると、フランス革命後、皇帝に即位したかの有名なナポレオン・ボナパルトも孫子の兵法を参考に戦術を立てていたそう。日本でも、多くの武将が孫子の兵法を取り入れています。戦国武将、武田信玄のあの「風林火山」の旗印も、実は孫子の「風林火陰山雷」が元になっているそうですし、幕末、明治維新を成す高杉晋作らを教えたとされる吉田松陰もまた、孫子を研究していたとされています。
現代でも、ビジネス社会でどう行動していくかを、孫子の兵法を元に記した実用書が数多く出版されています。このことからも孫子の教えは、さまざまなシーンで応用が可能なものだと思われます。
だとするならば。お部屋選びや引越しにおいても孫子の考え方は取り入れられるのではないのか。

ということで、ちょっと今日はいつもとは違った方向から住まいについて考えてみたいと思います!

孫子




1. 孫子とは

さて、孫子、という名前は広く知られているものの、そもそも孫子とは誰、なのか。
具体的にどんな方だったのか。人物像を今すぐ、端的に説明できるかというと若干あやしい。この記事を書こうとしている私があやしい!
ということで、まずは孫子とは? で調べてみたところ、「孫子」とは、ふたつの意味で知られていることがわかりました。ひとつは、歴史上最古の兵法書の呼称として。もうひとつはそれを書いたとされる人物の名前として。
兵法書としての孫子が書かれた時期は、古代中国の春秋戦国時代。著者は呉の国の将軍であり学者である孫武とのこと。この孫武への尊称である孫子(孫先生、のような意味合いだそう)がそのまま兵法書の名前としても伝えられているようです。

孫子

ただ、調べていて驚きました。現代でもさまざまな分野で活用されている孫子の兵法の孫子が孫武の著によるものだとわかったのは、1972年なのだとか。最近、というほど最近ではありませんが、孫子の兵法が著されたのは、紀元前500年ごろですから、年数にすれば2500年以上前です。長大な時間と比べると、やはり最近、と言いたくなりますね。
ただ著者が明確になるまでは、作者不明でずっと扱われていたのかというとそうでもなくて、孫子ではないか、と目されていた方はふたりいたそうです。ひとりは先ほどご紹介した呉の国の孫武。もうひとりは孫武より100年ほど後に登場する、斉の国にて軍師として名を馳せた孫臏(そんぴん)。この方の伝説は実にたくさん残っていて、あまりにも才能があり過ぎた故に、共に兵法を学んでいた龐涓(ほうけん)に妬まれ、無実の罪を着せられて、罪人として両足を切り落とされたとされています。しかし、その後、才覚を王に見いだされ、軍師となったという、衝撃的過ぎるプロフィールの持ち主です。
少し脱線しましたが、2500年以上前に考えられた法則が今でも通じる、と言うことから考えても、この孫子の兵法にはすさまじい力があるのだな、と感じます。



2. 孫子の兵法において、言い伝えや迷信より事実がなによりも重んじられる

今回、孫子の兵法について調べていて思ったのは、世の中に孫子の兵法を利用したビジネス書すごく多いな、ということ。それくらい、孫子の考え方は現代の世界にもマッチした具体的なものが多いと言えるのかもしれません。
あのビル・ゲイツも孫子の兵法を愛読していたなんて話もあるようですものね。
言い換えれば、孫子の兵法は観念論でもなく、迷信でもなく、現実と向き合って書かれたものである、ということ。
そして……戦術書と言いながらも、敵を打ち滅ぼすことを目的としているというよりは、いかに小さな力で、効率的に勝つか、省エネで勝利を導くための方法論が書かれているようなのです。
そう聞くと、なんでしょう、血なまぐさくないと申しますか……。
孫子の有名な言葉に「彼を知り己を知れば百戦してあやうからず」という言葉がありますが、敵と書かず、彼と書くところもなんだか、孫子ご自身が血を流すことよりも、目的を達成することを第一に考えられているように思えて、すごく好感を持ちました。
ただ、エコな力で勝つためには情報が必要。情報を正しく得、状況をしっかり見極めることが大切。ゆえに、孫子の兵法の中には、天気や、陣を張るために必要な土地、敵、味方などの情報を的確に読み取り、状況判断することの重要性が説かれています。
情報。状況判断。
これって実際のところ、住まい探しでもそうなのではないでしょうか。
たとえば、「戦うべきと以て戦うべからざるとを知る者は勝つ」なんて言葉があります。これは、戦うべき時か、そうでない時かを知っている者は勝利を掴める、というような意味ですが、不動産においても、買い時や売り時というものは存在します。損をせず、望む結果を手に入れるためには時期を見極めることも大切といえると思います。引っ越し時期についてもそうかもしれませんね。転職や進学など、自分ではどうにもできない状況ならいざ知らず、住み替えなど、自分である程度は時期を考えられるのであれば、引っ越し料金が大きく値上がりする時期は避けたほうが、得も多いと思われます。そしてそのベストな時期を見極めるためには、情報を集めることが必須。
さらにつっこんで考えていくなら、兵法書でるところの孫子では、戦が始まる前の準備段階が勝敗を喫するとしていて、その判断基準を「五事七計」という言葉で説いています。
今回、この記事を書くにあたり、拝読している「孫子の兵法 信玄のみならず現代人も使える戦術書の決定版 著 榎本秋」が非常にわかりやすく説明してくださっていますので、引用させていただきますと……。

優劣を分ける基本事項五事
① 道 君主と民衆の気持ちがひとつになっているか?
② 天 天候や気象条件はどのようになっているか?
③ 地 戦場の地形はどのような影響を与えるものか?
④ 将 将軍の知恵や勇気などの資質はどうか?
⑤ 法 軍事の制度はどのくらい整っているか?

具体的に見るべき事項「七計」

''①どちらの君主がより賢明に民の心をつかめるか→道 
②どちらの将軍がより優れた能力を持っているか→将''
③どちらに天候や地形がもたらす利点があるか→天・地
④どちらが軍法や命令を徹底しているか→法
⑤どちらが兵の数に優れているか→道・地・法
⑥どちらの兵士が軍事訓練をしっかり積んでいるか→法
⑦どちらのほうが賞罰をしっかり実行しているか→法

引用:「孫子の兵法 信玄のみならず現代人も使える戦術所の決定版 著 榎本秋」

五事と七計。五事を基本基準として用い、それをさらに細かく、比較しながら検討していくための項目が七計ということのよう。
これらはやはり兵法書であるがゆえに、戦に特化した内容ではあります。が、ビジネス書にも多く登場する理由がわかるように思います。
たとえば、天候や気象条件はどのようになっているか? などは、いつ、どのタイミングで売り出していくのか、というタイミングを読む要素にも通じる部分だと感じますし、戦場の地形がどのような影響を与えるものか? についても、ひとつの商品を売ろうとしたとき、どこでも同じだけの売り上げが見込めるとは限りません。雪の降らない町で雪かき用のスコップが売れないのと同じように、土地に影響される部分は多々あります。
じゃあ、住まい探しにおいてはどうなのか。
思ったのは、住まい探しをする上で、パートナーとなる不動産業者、引っ越し業者を選ぶ際、この五事七計を念頭に選ぶというのはありだなあ、と。
道 君主と民衆の気持ちがひとつになっているか? ならば、君主云々はともかく、顧客である私たちの求めるものを担当者の方が正しく読み取ってくれ、同じ方向を向いて進んでくれるかどうかは、住まい探しにおいて非常に大切だと思います。また、家を建てるにせよ、すでに建てられたものを購入するにせよ、住処を移動するうえで天候を意識することは重要ですし、地形に対してもそうですね。物件がある場所の周辺環境がどうなっているのか、詳細なリサーチは絶対必要です。
将軍の知恵や勇気、と聞くと、ちょっと住まい探しとは合わないかな、と一瞬思うけれど、住まい選びは企業選びでもありますよね。その観点からいうと、社内教育がしっかりされているかどうかはやっぱり気になります。会社のトップである社長、その社長の名を受けて動く管理部門の社員、営業担当者、すべてがしっかり連携できていてこそ、きちんとしたサービスが提供されると思いますから。通常、部屋探しのとき、お引越しのとき、サービスの部分にばかり目がいくものではありますが、サービスを提供してくれる会社がどんな会社なのか、自分の人生において最大の買い物を任せてよい相手なのかどうか、ホームページなどから確認することは重要なのではないでしょうか。

孫子2

そしてそれは五事の「法」についてもそうですね。すべてが現場判断になっているよりも、一定のサービスを維持しようとするマニュアルが完備されているか否か、齟齬ない文言で契約書を作成してくれる会社なのか、という部分だって気にしておきたいポイントだと思います。

3. 孫子において土地は重要だった

五事七計の中にもあるように「地」は孫子の中でも重要なものとしてとりあげられています。特に私が気になったのは、陣を置くべき場所、陣を置いてはいけない場所について語られた部分です。

”駐屯地にふさわしい場所は
①低いところよりも、高いところに陣を置くこと
②日陰のところよりも、日当たりのいいところに陣を置くこと。
③水や草の豊かな場所に陣を置くこと。

六害=六種の危険地帯
①絶澗(ぜっかん)険しく切り立つ断崖に挟まれた、谷間の場所
②天井(てんせい)井(井戸)のように四方がそびえている場所
③天牢(てんろう)牢(牢獄)のように三方を囲まれた場所
④天羅(てんら)羅(網)に掛けたかのように草木が密集した場所
⑤天陥(てんかん)落とし穴が掘られたかのようにぬかるんだ沼地
⑥天隙(てんげき)両側から地形(絶壁など)が迫って先細の場所

引用:「孫子の兵法 信玄のみならず現代人も使える戦術所の決定版 著 榎本秋」

孫子は兵法書ではあるから軍を配置すべき場所についての話ではあるのですが、家を建てる場合の立地にも通じる部分が多々ありますよね。実際、駐屯地にふさわしい場所として挙げられている三項目はまさに、私が部屋を探す際、気にする点です。低い所より高い所、というのは、ハザードマップで常に確認している部分ですし、暮らすうえで日当たりは絶対条件。水や草の豊かなところ、というのも、建物周辺は自然を感じられる場所が望ましいなどと常々考えていました。三項目に該当するような環境であれば兵士が病になりにくく健康が保てる、勝利条件において、兵士の健康は絶対であるから、という意図で記されていたようですが、この考え方も家選びの根幹にあるべきものではないでしょうか。設備も大事、合理性も大事、でも、それ以前に心も体も健やかでいられる場所でなければ、快適な暮らしは送れませんから。

孫子3

反対に害がある場所として記されているポイントも住まい選びにおいて参考になるなあ、と感じました。基本的にすべてのポイントにおいて、見通しが悪い場所、という印象ですね。見通しが悪い=外から見えにくいということ。こうした場所は防犯上にも問題ありそうだなあ、と。また、視界が開けていない場所というものは落ち着けず、不安心が募るもののように思います。昔、目の前がほぼビルの壁、という状態の家に住んでいたことがありまして、そのときの閉塞感をひしひしと思い出しました。

孫子4

家は駐屯地ではないし、合致しない点もあるかもしれませんが、孫子のこららの教えをチェック項目とし、不動産を選ぶ際のひとつの基準として用いてみることは有益なのではないでしょうか。



4. 終わりに

孫子の教えの中に「戦いは長引かせない」というものがあります。長引く戦いは兵を消耗させ、勝利から遠ざかるようなのです。
部屋探しにそれは当てはまるのか、どうなのか。
ケースバイケースだとは思います。じっくり腰を据えて動いたほうがいいことだってあるでしょう。余計な経費がかかる時期に引っ越しをするより、ちょっと待ってからするほうがいい、というように時期を待つ必要だってきっとあるでしょうから。
ただ、言えるのは、何事を成すにも労力というものはかかり、家探し、部屋探しというものも相当のエネルギーが必要な作業ではあるということ。日常的に仕事や家事に追われながら、さらに部屋探しをする、というのはまあまあ疲れます。とするならば、孫子の教え通り、短期で済ませられるよう、効率的に動こうと心掛けることは重要なのかもしれません。
ただ、そうはいってもお部屋探しはなかなか個人でどうにかなるものでもなく、時間がかかりがちです。そうならないためにも、信頼できる業者選びがやっぱり重要になってくるなあと、感じます。
どんな業者がいいのか、悩ましいですが、前述した通り、サービス面だけではなく、その企業がどんな理念を持って社会と関わっている会社なのかにもアンテナを張って選んでみるとよいのではと、今回、孫子を学びつつ感じました。

今回はいつもとは違う方向から住まい選びについて考えてみましたが、いかがでしたでしょうか?
今後もさまざまな角度から住まい選びや、住まいのあり方について考えていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします!

参考書籍
カラー版徹底図解 孫子の兵法 信玄のみならず現代人も使える戦術書の決定版 著 榎本秋






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