引っ越しの歴史から今を見る

みなさん、こんにちは!
引っ越し族の夫とおじいさんチワワと暮らす主婦、ヤマダです!

引っ越し族引っ越し族、とこちらの記事でもお話しておりましたが、また引っ越しの時がやってきました。しばらくないと思っていたのですが……。

と、自分の身の不運を嘆いていても仕方ない。
しかし引っ越しかあ、体力使うなあ、なんて呟いていてふと思ったことがあります。

引っ越しってめちゃくちゃ大変だけど、日本においてこうして住処を変えて暮らすって普通に昔からあったんだろうか、と。
これは調べてみるとちょっと面白いかも!

ということで、今日は日本における引っ越しの歴史について調べてみようと思います!

引っ越し



1. 引っ越しの語源

昔からちょっと気になっていることがあります。
引っ越しって言葉についてです。
引く、越し?
なにを引くの? なにを越えるの? この越えるという字からするに国境とか県境とかそういうものを越えて移動をする、という意味なのだろうか……。
気になったので調べてみました!

そもそも引っ越しという言葉の語源となったのはどんな言葉なのか。調べてみると、語源となるのは飛鳥時代から平安時代に使われた「引き越え」なのではという説がありました。
飛鳥時代!西暦で言うと600年とか700年ごろですね!大化の改新とかそうした出来事があった時代です。
このころにも引っ越しってあったんだなあ、としみじみ思いつつ、当時はどんなものだったのか興味も出てきてさらに掘り下げていくと、引き越えを行うのは、貴族階級の人たちだったそう。

引っ越し2

というのも、当時の引き越えというのはただ転居するという軽いものではなかったようなのです。
当時、身分や階級が上がると、帝から「もっと広い館に移ってよい」と許可が下りたそうなのです。その許可を受け、貴族はそれまで暮らしていた館を捨て、新しい館へもろともに引っ越しをしたそうな。
現代だとちょっと考えにくいですけどね……。昇進するたびに引っ越しをするというのは。
ただ……わからないなあ、と思う気持ちの一方、身分が上がればそれだけ生活基準も上がり、広い家に住みたいと思う気持ちが出てきてもおかしくないので、現代にも少しだけ通じるところがあるような気も……。
とはいえ、当時は当然ながら道が現代ほど舗装されているわけでもなく、山や川を越えての引っ越しになります。ゆえに、引き越えの「越え」は、そうした険しい土地を越えて転居するという意味もあったとか。
なお「引き」についても調べてみると、荷物を荷車で引く「引く」とする説、その役職を退くときに「身を引く」なんて言葉があることから、古い館を退く的な意味で「引く」が使われているという説もありました!
今回調べてみると昇進に伴っての移動、住まいの引っ越しのことばかりが出て来ていたのですが、降格することはなかったのだろうか、なんて思ったりもします。が、まあ……当時は出自と身分が密接にかかわっていたことから考えても、なにかよっぽどのことがなければ降格はなかったのかもしれませんね。謀反とか反乱になれば、降格なんて生易しい処分では済まないでしょうし。平安時代の物語でも家を没収というよりは僻地へ流される、流罪にされるという描写もありましたからね……。
と、話が逸れてしまいましたが、引っ越しの原点を知ることができてなんだか感慨深くなってきました!



2. 庶民は引っ越しをしないのか?

さて、引き越えについてわかったのは良いとして!気になるのは「貴族が位が上がったことにより広い館へ越したこと」が由来となっているというこの部分。
身分の高い人のことはともかく、私のような庶民は引っ越しをしなかったのか?とそこが気になって仕方ありません。
これまたいろいろ調べてみたのですが、どうも庶民はあまり引っ越しをしなかったみたいです。
というのも、そもそも人が生きていくうえで、土地を離れるということがなかなか考え難かったというところが大きかったようです。
古く日本は農耕を生業とする人が圧倒的多数でした。農耕は土に触れ、土地と共に生きていく職業。家もまたそうなのですよね。
今は転職をして新しい会社で新しい人たちと働くことだって当たり前で。働く場所も人も選べる時代で。けれど昔はそうではなく、働く場所、家。働く仲間=家族Or近所の人、というのがごくごく当たり前の環境だったんですよね。そうなってくると引っ越しなんてものもあえてするものでもなかったのでしょう。

なお、貴族の昇進に伴う引き越えのお話が出てきたことで貴族の専売特許のように引っ越しが感じられてきましたが、実は武士にも引っ越しはあったみたいです。
戦で勝って城を建てて住む、という引っ越しもそうだけれど……戦がそうそう起こらなくなった江戸時代にも武士の引っ越しはあったそう。
そう!参勤交代です!
映画にもなっていますよね。「超高速参勤交代」とか、「引っ越し大名」とか。引っ越し大名は参勤交代ではなく、国を丸ごと替えるという話だから参勤交代よりも大規模な話ですけれども……。
まあ、国替えはそこまで頻繁に起こることではなさそうなので、参勤交代に焦点を当ててお話しようと思います。
参勤交代とは、地方を治める藩主を一年ごとに江戸に出仕させるという制度で、ほんっとうに大変だったみたいです。たくさんの家臣を連れて行かないといけないし、連れていくなら食料も必要だし……。地方藩主が力を持ち過ぎないようにするための幕府の政策とはいえ、大がかりなお引越しみたいなのが定期的にやってくるのはたまらないだろうなあ、と思います。江戸にやってくる途中の藩主たちの行列、大名行列なんてものを町民は見て、豪華だなあ、なんて思ったりしていたようですが……。
と、武士の話をしておりましたが、ここでふと思いだしました。町民は江戸時代でもやっぱりお引越しはしないのか?と。
いえ、江戸時代になってくると町民の間でお引越しをするようになるのです!
調べていて興味深いなと思ったのは、大阪の町にあった「裸貸し」という賃貸システムについてです。
今、賃貸で部屋を借りようとすると、襖や畳、そうした建材はついていますよね。それがなんと、江戸時代の大阪の長屋賃貸住宅ではついていなかったそうな!ではどうするのか、というと、借主が自分で用意するものだったようです。

引っ越し3

ええええ!と思わず叫んじゃいました。さすがに出入り口の扉や雨戸は貸主がつけるみたいですが、それ以外の内装に関わる建材は借主負担だとか。なかなか厳しい……。
しかしどうやらこれは非常に合理的なシステムだったよう。というのも、大阪の町において長屋の部屋の寸法はほぼ同じ。そのため、引っ越しをするときに襖とか畳も全部古道具屋に売るらしいのですね。で、売ったお金で引越し先の古道具屋でもろもろ必要なものを買ってつけるというスタイルだったらしいのです!
確かにこれでいけばそれほど荷物も増えず、身軽にお引越しができそうですよね。古いものは処分して引越し先で新しく買えばいいのなら、身一つで行こうと思えば行けちゃうわけで。自分が引っ越すとき、夫とチワワと暮らしていてどれくらいの荷物があったか思い返してみます。前回は3トンありました!しかし、3トントラックが引っ越し屋さんになくて2トントラック2台でお引越しをして……。それを考えると江戸時代のお引越しのなんと身軽なことか!大八車とかですいーっと引っ越せるんですものね。
とここでまた疑問が。そもそも江戸時代には引っ越し屋さんっていたのだろうか?と。
調べてみましたが、江戸時代には引っ越しに特化した職業はなさそうです。手紙を届けてくれる飛脚という職業はありましたが、届けられるのは手紙や小荷物、金銀など、あまり大きなものではなさそうなこと、それと飛脚は高額でなかなか庶民が気軽に使うものではなかったようなことからもお引越しにおいてお金を払って誰かに頼むということはなかったようです。荷物も少ないし自分たちで、あるいは近所の方に手伝ってもらって、というのが一般的だったんですね。
今だと考えられないけれど人情感じられていいなあ、とも思います。



3. 引っ越し専門業者が出てきたのは

しかし、いつまでも大八車の時代ではなかったはず!どこから引っ越し業者が出てきたのか、こちらも調べましたところ、1940年代ごろにはトラックによる引っ越しは始まっていて、ただ、引っ越し業者と名がつく感じではまだなかったようです。宅急便の延長に近い感じのようですね。

引っ越し4

ただそうはいっても戦後の高度経済成長もあり、仕事のために移動をするということも珍しくない時代になってきていよいよ引っ越しを専門に請け負うよ、と看板を上げ、引っ越し屋さんが出てきます。それが1970年代とのこと。意外と最近です。
引越しに特化した会社が出てくるまでは、荷物を運んでもらうときの破損も多かったようですが、引っ越し業者の看板を掲げた会社の皆さんが努力をしてくださったことで今、引っ越しを結構な回数をし続けている私も、古い家具も手放さずに大事に使い続けられています。
しかも今の引っ越し業者さんっていろんなサービスがありますよね!
洗濯機のホースを繋いでくれたり、照明器具を取り付けてくれたり。
あと不用品を引き取ってくれたこともありました。引っ越しを経験するたびに思うのですが、恐ろしいほど不用品って出るんですよね。しかしこれも裏返せばそれだけ家の中に使っていないものをたんまりとため込んでいるわけで……。
そう考えたとき、新しい住処を探す前に、今の家の中を断捨離すべきなのかと思ったりします。部屋探しをしながら常に気になるのは収納の広さな私にとっては特にそうなのです。
もしも引っ越し前に断捨離をちゃんとできていれば、引っ越し業者さんのお見積り時にもすっきりした我が家をお見せできてもう少し安くなっていたかもしれないし、引っ越し当日の荷物運びも絶対に楽になるだろうし、新居を選ぶ際も「他の条件はいいけど収納が・・・」と好物件を諦めなくても良くなるかもしれない。
引越し業者さんの歴史、活躍を調べながら断捨離の意識を強くするヤマダでした。



4. 終わりに〜住み替えも当たり前の現代だからこそ〜

今回、引っ越しというものの変遷を見ていて強く感じたことがあります。
当たり前といえば当たり前なのですが、引っ越しは生き方に密接に結びついた行事なのだな、ということです。
出世によって大きな家に移り住むことも、上司に呼びつけられ、定期的に中央都市へ大掛かりな引っ越しをしなければならないことも、それぞれの生き方、生きていくために仕方ないことといえるでしょう。
しかし、楽しみのために、気分を変えるために、自分がそうしたいから、という思いでの引っ越しも歴史が進むにつれされるようになっていきました。それがとても素敵なことだな、と今回記事を書いていて思います。
もちろん、現代においても仕事や学校の都合でやむを得ず転居することだってあります。けれど自分自身の気持ちを切り替えるため、そんな自分の内面を大事にする引っ越しは定期的にあっても良いのではないかと思ってもいます。

引っ越し5

とはいえ、家を買ってしまうとなかなかそれも難しいかも……?とも思ったのですが、「住み替え」という考え方は今、多いですよね。実際、まだ足腰にも不調を感じていなかった当時に購入した家も、歳を重ねるうちに段差が気になる家だった、などということもあります。そうした自分自身の体との対話から新しい住処へと引っ越しをすることも今や珍しくはありません。人生100年時代であればなおさらですね。
そしてまた、お引越しにおいて大量の荷物と共の移動は、年齢が上がれば上がるほど負担となるもの。そうした現代だからこそ、もしかしたら江戸時代の裸貸しのような、引っ越す前にすべて処分し、引越し先で新たに家具等そろえるというやり方がもしかしたらはまるかもしれないなあ、などとも思います。しかも今は服も、靴も、生活雑貨も、車もサブスクでレンタルが可能になってきた時代です。持って移動する、ではなく、現地で調達する、借りる、という身軽な引っ越しスタイルはこれから流行していく・・・かどうかはわかりませんが、ものを所有することではなく、タイムリーに使うことが重要視されてきた現代においてはまんざらない話でもないのでは!と思っています!

ということで、本日は引っ越しの歴史について調べてみました!
今もあることが歴史の彼方ではどうだったのか、調べてみるといろいろと発見があって面白いですね!今後も住まいに関わるこうした歴史にも着目してみたいなあと思いますので、よろしければぜひ、お付き合いいただければ幸いです!

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!






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