3匹のこぶたの家について考える

みなさん、こんにちは!
趣味はモデルルーム巡りと読書の主婦、ヤマダです!

ある日の夕飯のこと、夫とこんな会話をいたしました。


「3匹のこぶたって深くない? 実は」

「(一体こやつはなにを言い出したんだ……しかも生姜焼きを食べているときに言う話だろうか……)なにが?」

「いやさ、ほら、台風。すごいだろ。見てて思い出しちゃったんだよ。3匹のこぶた」

この会話をしたときとは、まさに台風が日本列島に襲い掛かっているときでその日もニュースでは台風情報が流れ続けておりました。


「なんていうか、ちょっと狼って台風みたいだよなあ、なんて思ってしまったんだよ」

そう言われて私は思い出しました。3匹のこぶたの物語のあらすじを。

3匹のこぶたとは、イギリスの民間伝承が元となった物語です。もともとの作者は不明。
さて、どんなお話だったか。思い出してみました。
記憶では確か、3匹のこぶたがお母さんぶたの元を離れ、それぞれに自活する話だったような覚えがあります。
そうして家を出た3匹はそれぞれに家を作ることにします。
一番上のお兄さんは藁で、二番目のお兄さんは木で、末っ子のこぶたは煉瓦で家を作りました。
そこへ狼がやってきて、一番目のお兄さんの家も、二番目のお兄さんの家も吹き飛ばしてしまいます。家がなくなった2匹は末っ子の家に逃げ込みます。
その末っ子の家にも狼が迫るけれど、煉瓦の家は頑丈でそんな簡単には飛ばされません。諦めきれない狼は煙突から侵入をはかりますが、煙突の下、かまどには煮えたぎる鍋が……。狼は鍋に落ちて大やけどをして逃げ出し、3匹のこぶたは煉瓦の家で幸せに暮らす、というお話でした。
いや、しかし煮えたぎる鍋とは……。なかなかきついと思っていたら、どうやらこのお話、元となった民間伝承ではもっと大変な筋になっていて衝撃でした。
まず、家を飛ばされてしまった、(二番目のお兄さんの家は燃やされてしまった、という説も)二匹のお兄さんこぶたたちは逃げきれず狼に食べられてしまいます。
その後、味をしめた狼は末っ子の家にやってきて煙突から入って来るものの、煮えたぎる鍋に……までは先ほどのお話と同じなのですが、なんとその後、こぶたは狼を鍋で煮て食べてしまうそうな……。
これが元とすると、記憶の中の3匹のこぶたは随分マイルドに伝えられているのだな、と感じます。

と、こぶたや狼の運命は大きく違う3匹のこぶたですが、兄2匹の家が簡単に住めない状態になること、末っ子の煉瓦ハウスがしっかりと残ることは共通していますね。

なお、この物語の中で兄こぶたたちは末っ子こぶたを馬鹿にします。理由は藁の家、木の家と違い、末っ子の手掛ける煉瓦の家はとにかく建てるのに時間がかかったからです。しかし物語の終わりには、時間をかけてじっくり作った煉瓦の家の方が危機を回避できたという結論が描かれています。つまりこの物語における教訓は、物事はじっくり腰を据えてやるべきである、というものです。

なるほどなあ、と思います。
ただ少し引っかかりもしました。藁の家、木の家って日本だと普通に存在していたように思ったからです。
西洋の民間伝承と日本の建築では状況も違うでしょうが、実際のところ、藁の家や木の家はそれほどに脆かったのか。
気になってきました。

ということで、今日は3匹のこぶたの住まいと日本の建築について考えてみたいと思います。

こぶた



1. そもそも藁の家って?

さてさて、こぶたの上のお兄さんの家は全部藁でできていた家。確かに柔そうに見えますね…。
しかし調べてみると、日本において、藁は住宅を作る大切な建材として古くから使用されていたようなのです。
と、その前にそもそも藁とはどんなものか……というと、イネ科の植物の茎の部分を乾燥させたものとのこと。以前にも書かせていただきましたが、藁といえば、ハイジの藁のベッド。ふかふかのあれですね。ハイジがあんなにも温かそうに眠ることからもわかるように、藁は断熱性、保温性に優れた材質であるといえます。古く日本では藁でふいた屋根がありましたが、藁が採用された理由は日本の多湿な気候環境に適していたからなのです。湿気を逃がすには通気が良いことが一番。夏暑く冬寒い日本において、藁は最適な建材だったのですね。
しかし最近は藁ぶきの屋根はあまりありません。

こぶた2

じゃあ、藁は建材として消滅してしまったのか?というと、調べてみて驚きました。
建材として藁を利用した家が現在も作られているそうなのです。
とはいっても、藁単体ではなく、藁を圧縮して作ったブロック、ストローベイルというものに土、漆喰などを上から塗って強度を上げ、壁にして家を作るというもの。
ただ、地震の多い日本ではまだあまり一般的ではないようで、もしストローベイルを使う場合も、木などで補強しつつ使うなど対策が必要なよう。
耐震性について注意、対策は必要とはいえ、元は藁なので通気性、保温性はばっちりで住み心地は良いそうで、自然派志向の方などに注目されているとか。
いや、正直驚きました。3匹のこぶたのお話だと、藁は最初になくなってしまう家なので、デメリットばかりが目につくのではと思っていたのですが、調べてみたらメリットも多数あって!
もしも、上のお兄さんこぶたが藁の家を建てる際、耐震性も考え、木で補強したうえで藁の家を建てていたとしたら、簡単には吹き飛ばされずに済んでいたかもしれません。
そう思うと、家を探す際、その家がどのような建材で建てられており、使われた建材にはどんなメリット、デメリットがあるのか、知っておくことは大事なのかもしれないなあ、などと思いました。
3匹のこぶたから得る教訓とは随分、話はずれてしまいますけれど(笑)



2. 木の家とは

さて、二番目のお兄さんこぶたの家、木の家について考えてみたいと思います。
私の知っている3匹のこぶたのお話だと、木の家は吹き飛ばされてしまう運命でした。ただ本によっては、燃やされるという話もあります。
総じて考えると、倒れやすく燃えやすいと思われているということのような……。
確かに、近代より前、今のような洋風建築が入ってくる前の建材は木が主流であり、その材質ゆえに火事はもっとも恐れられていました。
かの有名な江戸時代の大火事、明暦の大火と呼ばれる大火災の際には、家から家へあっという間に火が燃え広がり、甚大な被害を出したとされています。
木が燃えやすい、というのは確かなのかもしれません。
しかし一方で、先日、とあるモデルルームを訪問した際、こんな話を聞きました。


「木造建築って火事に弱いってイメージがあるんですよね」
モデルルーム案内をしてくださったAさん
「確かにそのイメージを持たれる方も多いですが、実は木は表面が燃えても芯まで焼けなくて崩れにくい特性があるのですよ。
また、不燃化処理をした木材を使用することで耐火効果が高い住宅を作る技術もあります。木は火に弱い、と思われがちですが、私たちも弱い部分をそのままにはしません。日々、研究は進めています」。

確かに、医療の世界において昔は不治の病だったものも今では完治するように、昔無理だったことが現代では可能になるというのは珍しくありません。
そう考えると、3匹のこぶたの時代には燃えやすく、軽量と思われていた木も、建材の開発により燃えにくく、倒れにくいものへと変わっていっても不思議ではないといえそうです。

実際のところ、ウイークポイントばかり見えてしまうな木ですが、日本において木造建築が現代まで連綿と建てられているのにはれっきとした理由があります。
第一に木は呼吸をする建材であり、日本の気候に非常にマッチしていること。第二に、一度建てたら簡単に壊せない西洋の石造りの家と違い、地震の多い日本においては建て替えが簡単に、しかもスピーディーにできる木造建築が適していること。
これらのメリットがあったからこそ、日本においては古くから木造建築が建てられ続けてきたのです。

3匹のこぶたで良くない例として扱われていた木の家が、日本においては早く建て替えができるというメリットが多い家として古くから考えられていたことに驚かされました。

こぶた3



3.煉瓦の家とは

そもそも煉瓦って日本にはいつごろからあったのでしょう?
調べてみると幕末のころには煉瓦を作る工場があったそうです。ただその頃は住宅建築用ということではなく軍事工場用に煉瓦は作られていたとのこと。しかしその後、時代が進むにつれ、住宅建築にも煉瓦が使われるようになっていきました。
煉瓦という建材は、普通煉瓦と耐火煉瓦の二つに大別されますが、建材として使われるのは普通煉瓦、よくみる赤い煉瓦の方になるそう。耐火煉瓦は白煉瓦というもので言葉通り火に強いものの、コストもかかるもので建材には向かないとか。
まあしかし、普通煉瓦という名前だとしても、粘土を圧縮したり、焼きを入れたりして成型する煉瓦は、木や藁よりも火には強そうですね。また、煉瓦には抜群の耐熱、遮熱効果もあり、夏涼しく、冬温かいが実現できる建材でもあるとか。
しかし、そのわりに日本ではあまり煉瓦造りの家を見ないような……と思ったら、デメリットもありました。
なんと、耐震性に不安がある建材のようなのです……。
確かに煉瓦は積み上げて終了、のイメージがありますから、地震には弱そうに感じてしまいますね……。
ってことは、煉瓦の家は崩れやすいから日本ではないのか?!というとそうではなく、耐震性を高めたうえで煉瓦ハウスが建てられることもあるとか。
煉瓦に鉄筋を通して補強する、耐震性に優れた建築工法を併用して住宅を建てる、など対処することで煉瓦ハウスに耐震性を持たせることが可能なのです!
末っ子こぶたちゃんの家、最強ですね!!!
ただ難点があるとするなら、煉瓦を扱って家を建てる業者がそれほど多くないこと、コストも工期もそれなりにかかるというところでしょう。
日本においてコンクリート造りの住宅が圧倒的に多いのは、工期もコストも煉瓦より抑えられることが要因のようですね。
しかし、手間をかけただけ煉瓦造りの家にはまだまだメリットがあって、外壁メンテナンスがほとんどいらないというのもその一つです。
確かに西欧では煉瓦造りの家をよく見ますけれど、なんていうか、日本みたいにしょっちゅう外壁工事をどこかでやっているというイメージがない……。それは煉瓦本来の強さがあるからなのです。
今まで、煉瓦造りの家って、ちょっとエモいくらいにしか感じていなかった自分にびんたしたい!
エモさだけではなく、多機能でもある煉瓦にむちゃくちゃ興味がわいてきました。

こぶた4



4. 終わりに〜結局のところ、3匹の家、どれがいいの?〜

藁の家、木の家、煉瓦の家。
それぞれを調べて感じたのは、確かに童話の通り、煉瓦の家が一番住みやすいのかなあ、という思いです。
ただ、必ずしも藁の家、木の家が問題だらけかというとそうとも言えない部分もあるなあと感じました。
今回の3匹のこぶたに関していうならば、襲ってくる外敵、狼には藁の家、木の家は力不足だったといえるでしょう。
しかし、その藁の家、木の家も、襲い来る脅威に対抗できる策を講じて建てられていたのなら、簡単には壊されずに済んだかもしれません。
建てられる土地、考えられる脅威、それらを想定したうえで建材を選び、工法を考えることってとても大切なんだなあ、と今回この記事を書きながら思っておりました。
ちなみに、家を建てるという観点からのお話に今回の記事はなっておりますが、すでに建てられた家に関してもその家がどんな工夫の元建てられているのか知ることはとても大切だと思われます。
特に日本は地震も、台風も多い国。また住宅と住宅の間隔が都市部になればなるほど狭くなり、火災にも注意が必要な国です。
3匹のこぶたの童話が伝える本来の教訓とはずれるかもしれませんが、住宅を選ぶ際、その家だからこそ起こりうる事態を想定することも大切だ、とこの童話は言ってくれているように思えてなりません。

こぶた5






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