住まいにおけるユニバーサルデザインを考える

みなさん、こんにちは!
モデルルーム巡りが大好きな主婦、ヤマダです!

実は先日、夫の実家に手すりが一つ増えました。
これまで家の中にあった手すりは階段だけ。今現在は法律で階段への手すりの設置は義務化されていますが、そう定められる前は手すりがなくても問題ではなかったことから、夫の実家も手すりがこれまではありませんでした。しかし義母がもうかなり高齢で階段の上り下りに不安がでてきたこと、そして……夫の実家に私が挨拶に行ったとき、階段からうっかり落下してしまったこともあって後付けで手すりがつけられました。

その階段の手すりに加え、トイレとお風呂にも手すりが設置されました。
こちらもお義母さんの体を心配して、夫の兄がつけてくれました。

そうして少しずつ少しずつ、高齢のお義母さんが住みやすい環境へと変わっていく家を眺めながらふと思いました。

家というものは本当に住む人に寄り添えるよう変えていくべきものだなあ、と。

同時にこうも思いました。

この世界にはたくさんの人がいて、けれどすべての人が不変ではありません。
今は私もまだ足腰がしっかりしていますがやがて今の家で大変な思いをする日がくるかもしれない。
あるいはまだ幼い子どものころを思い返してみても、大人の自分には問題なく暮らせている現在の家に、子どもだった自分が住んでいたらどうだったろうか。ちょっと不便だなと感じる部分もあるのかもしれない。
つまり、すべての人にフィットする住まいを作るというのはとても難しいものなのだな、と。

そこでふと思い出したのです。
「ユニバーサルデザイン」という言葉を。

ユニバーサルデザインとは、辞書によるとこう記されています。

” 年齢、性別、身体的状況、国籍、言語、知識、経験などの違いに関係なく、すべての人が使いこなすことのできる製品や環境などのデザインを目ざす概念。“
引用:日本大百科全書(ニッポニカ)「ユニバーサルデザイン」の解説
https://kotobank.jp/word/%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3-9534

つまり、高齢だから便利、や、障害がある方にとって使いやすい、ではなく、すべての人が等しく「使いやすい」「使える」ようにしたものということですね。

これはなかなか難しい。しかし、今、注目が集まり、拡大していっているSDGs(持続可能な開発目標)にも通じる考え方のように思います。
SDGsとは、すべての人が平等に幸福に暮らしていける世界を作ろうと世界規模で進められている開発目標です。

ユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインもまた、国籍や年齢を超え、すべての人が平等に格差なく使えるような製品を作り出すという考え方です。その意味では、不平等をなくそうとするSDGsと重なる部分も多い考え方といえるでしょう。

だとしたら、住まいにおいてもユニバーサルデザインを意識した部分があるのではないか。
ということで今日は、住まいにおけるユニバーサルデザインについて考えていきたいと思います。

ユニバーサルデザイン2



1. ユニバーサルデザインとは?

ユニバーサルデザインには七つの大原則があるといわれています。
まずはそれを調べてみました。

① 誰にでも公平に利用できること
② 使う上で自由度が高いこと
③ 使い方が簡単ですぐわかること
④ 必要な情報がすぐに理解できること
⑤ うっかりミスや危険につながらないデザインであること
⑥ 無理な姿勢を取ることなく、少ない力でも楽に使用できること
⑦ アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
引用文献:建築・都市のユニバーサルデザインその考え方と実践手法 著 田中直人

上記の原則を元にデザインされたものをユニバーサルデザインといいます。
実際のところ私たちの身近にどんなユニバーサルデザイン製品があるのか。少し探してみました。

① シャンプーボトル

ユニバーサルデザインの代表格であり、広く認知されているものといったらこれ!といっても過言ではないかもしれません。
そう、それはシャンプーのボトルの横につけられた細かいぼこぼこです。このぼこぼこした線はコンディショナーのボトルにはありません。
あまり普段意識していないのですが、お風呂場で目をつむってシャンプーやコンディショナーを使うとき、手に触れたボトルのぼこぼこで「シャンプーはこっち」と無意識に判断している自分がいることに気づき、「ユニバーサルデザインすごいな!」と思いました。
これは確かに年齢も性別も関係なく、皆が助かる仕様ですね。

② 手指用アルコールボトルの設置位置

コロナ禍で様々な商業施設、公共施設の入り口には手指消毒用のアルコールボトルが設置されていますよね。
大抵は一律同じ高さの位置にアルコールボトルが設置されていることが多いのですが、先日訪れた図書館では、背の高さに左右されず、快適な位置でアルコール消毒が行えるよう、三段階の高さでアルコールボトルが設置されていました。
実際、想像してみたのですが、子どもが一般的な大人にベストな高さのアルコールボトルで手を消毒しようとした場合、フットペダルでアルコールを出すことはできても、注ぎ口が上の方にあるので、手を上げないとアルコールを受け止められない高さになっています。これはかなり消毒しにくいです。しかし子どもの背の高さに合わせた位置にもボトルを設置すれば、子どもは手を不自然に上げずともアルコール消毒ができますし、大人は大人で、背の高さにあった位置で消毒ができます。
どんな身長だろうと、無理せずに消毒ができる位置に設置する。これは、ユニバーサルデザインの原則に合致する設置方法だと感じました。



2. 住まいにおけるユニバーサルデザインとは

では、住まいにユニバーサルデザインを取り入れるとしたらどんな取り入れ方があるでしょうか。
こちらも探してみました。

① 廊下のない家

日本は国土が狭く、しかも山が多い国です。ゆえに住める土地はわずかなため住居もコンパクトになりがち。しかしそのコンパクトな家の中で問題になることとは、と考えるとやはり、車椅子生活のしにくさかもしれません。蜂の巣のように細かく区切られた住まいではどうしても車椅子では動きにくくなります。
また、子どもたちにとっても細かく廊下で区切られた家ではしゃぎ回ることで、思わぬところへぶつかったり、はさまったりとリスクも生まれます。
しかし廊下で細かく部屋を区切られていなかったら? 移動もしやすいですし、はしゃぎ回っても問題なくなりますよね。
年代を問わず、安全かつ、十分なスペースを取れる、廊下のない家、あるいは廊下を広く取った家、というのもまたユニバーサルデザインの考えに則って建てられたおうちといえますね!

② センサー付き蛇口

最近はコロナが流行してしまったこともあり、一般的となった握らずとも水の出る非接触型の蛇口、コック。これらもユニバーサルデザインといってよいのではないでしょうか。
視力が弱い、手や指に力が入らない、など、蛇口から水を出すことが難しい方だけではなく、料理中、手が汚れていて蛇口を握ることで蛇口を汚してしまうことが気になる方にとっても、センサーによって自動で水が流れるタイプの蛇口はとても便利で、また誰もが自然と使えるものです。同じ理由で自動洗浄便座もまた、ユニバーサルデザインにカテゴライズしてもよいものと思われます。年齢、性別、国籍を問わず、幅広い人が自然に便利に使える設備ですからね。

ユニバーサルデザイン3

③ コンロは安全性の高いIH

幼いころ、母からきつく言われたことを思い出します。
「ガスには絶対触っちゃだめよ!」と。もちろん、ガスも安全性を考え地震時には自動的に止まる、コンロ周りの温度が上がり過ぎないよう、自動的に火を調節する、などさまざまな防御策が取られるようになってきました。しかし、設備がそうであったとしても、使うのは人間。十分な注意が必要なことは変わらないものです。そんなガスの取り扱いですから、子どもには危険度が高いものであることは間違いないでしょう。また、子どもでなくとも、大人でも事故につながる可能性は相変わらず孕んでいます。
なので、できるだけ危険性を減らすという目的で、ガスではなくIHに切り替えるのもまた、住まいにおけるユニバーサルデザインという考え方があります。
確かにIHであればガスよりは危険度は低く、どの年代も安心して使えますものね。

ユニバーサルデザイン4

④ 浴室の床は滑りにくく、体に優しく

家の中でうっかり滑ったり転んだりしたことありませんか?
私はあります。
そそっかしいので人より転ぶほうではありますが、特によく転倒するポイントといえばお風呂場です。洗い場の床で滑って転んで青あざを作ったことが何回かあります。
洗い場って石鹸でぬめっていたりすると、信じられないくらいつるっと滑ってしまいますからね。
ご高齢の方やお子さんにこそ家庭内の転倒事故は多いと思われがちだけれど、意外とそれ以外の年代も多いのでは、と自分自身を振り返って思いました。
お風呂のつるっと滑ってしまう、はすべての年代が経験するかもしれないことであり、注意すべき事態ですから……。
そう思って調べていたら、洗い場のタイルを滑りにくいものにするというのもユニバーサルデザインの考え方として、取り入れているお住まいがあるようです。
また、お風呂場や脱衣場での事故として、居室と浴室との温度差に体がついていかず、心臓発作を起こしてしまうという事故もよく聞きますよね。
これも心臓発作といえばご高齢の方、と思われがちですが、若年層が心臓発作を起こすことも決して珍しいことではありません。
そうならないよう、居室と浴室の間の室温差をなくすべく、全館空調を取り入れる、浴室の床に床暖房を入れるなどして冷たさに体が驚いてしまわないような対策を取ることもまた、ユニバーサルデザインの考え方の一つのようです。

ユニバーサルデザイン5



3. 終わりに 〜ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いとは?〜

ユニバーサルデザインについて調べていて浮かんできたのは、「バリアフリーとは違うのか?」という疑問です。

ということでバリアフリーについてまずは辞書で調べてみました。

バリアフリーとは。

”原義は「障害・障壁のない」という意味。日常生活や社会生活における物理的、心理的な障害や、情報に関わる障壁などを取り除いていくことをいう。高齢者や障害者にとって安全かつ、住みよい社会を作るために、近年注目されている概念。“
引用:コトバンク ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について
https://kotobank.jp/word/%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC-7472

調べてみて納得しました。
バリアフリーでは「高齢者や障碍者にとって」という一文が辞書に記載されているように、誰のために、が限定されているのですね。
対してユニバーサルデザインとは、対象が定められていない。「すべての人」にとって使いやすいよう作られたものとされています。

近いけれどこの二つの考え方は明確に違います。

たとえば、常々思っていたことがあります。
商業施設などで車椅子の方が階段を利用せずに上り下りできるよう備え付けられたスロープ。これって確かにバリアフリーの考え方からすれば、段差がなくなって自力で上がれる素晴らしいものだと思うのです。
しかし、場所によっては、確かにフリーにはなっているけれど、あまりにも遠回りではないのか?なんて思う設置の仕方がされた場所もあって。
階段と同じ角度では車椅子での走行は危険があるために、緩やかかつ長めにスロープが作られているのかもしれませんが、それにしても遠回り過ぎる。杖を使って歩行をされる方にとっても階段より危険が少ないとはいえ、距離が長かったら疲れてしまいそうな。
その点、ユニバーサルデザインだと、階段自体をなくそうという考え方をしたりするんですよね。
階段をなくし、広くゆったりとしたスロープだけを設置する、という形です。
確かに、この設置方法であればすべての方に平等ですよね。

人の体の状態や、住む方の好みや状況によって家を変化させていくことも大切だと思います。
しかし、あらかじめすべての人にとって優しい作りを目指すというのもまた、重要なことなのではないでしょうか。

ユニバーサルデザイン6

ということで!本日は住まいにおけるユニバーサルデザインについて考えてみました。
次回の記事もお読みいただければ幸いです!






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