広々LDKが人気だけど?

みなさん、こんにちは!
毒舌夫とおじいさんチワワと暮らす主婦、ヤマダです!

実は先日、私の両親が我が家にやってきました。
昔からなにをするにも突然行動する父らしく、我が家から300kmはゆうに離れている場所から車ではるばるの突撃です。

日曜だったのですがあまりのことに驚きました。

「ごめんね、お父さんが行くって聞かなくて」

すまなそうに言いながらも、引っ越したあとの我が家にやってくるのが初めてだった母も、なぜかルンルン気分(笑)

まあ、別に家族ですし、私のだらしなさを存分に知っている両親ですから別に構わないのですが(笑)にしても突然すぎるだろ、父ちゃん!

と、まあ、そんなこんなで急にやってきた両親。
以前の家にも遊びにきたことがある父から「ウサギ小屋みたいな家だな!」となかなかに辛い一言を浴びせられたので、今回は一体どんな言葉が返ってくるかと思いきや・・・・。

「ふむ。まあまあ広くていいんじゃないの?」

↑なぜに上から目線なんだ!親父!

とちょっとイラッとしつつ、ウサギ小屋と言われるよりはましか、と思ったのも束の間・・・。

「にしてもなあ。せっかく引っ越したんだから今はやりの居間と台所がぜーんぶ一続きになった広い部屋にすれば良かったのに」

・・・・。相変わらず一言多い親父です(笑)

でも、実は私もそう思っていたのです。
夫の仕事の関係で、あまり物件を吟味する時間もなくばたばたと決めてしまったのですが、私の現在住む家は結構古く、間取りも3DK。つまりリビングがないのです。

3部屋あるうちの1部屋をリビングみたいにして使っている感じ。
築年数も古い建物ですから、間取りも細かく部屋を区切った形で、ちょっと閉塞的。
ただ、私の実家は昔ながらの日本家屋。

台所とダイニングはまあくっついているけれど、現在の私の家と同様に細かく扉で区切られているので、開放感は乏しいです。
しかし、その生活に慣れている父からまさか「全部一続きになった広い部屋にすればいいのに」なんて発言があるとは思っていなかったのでちょっと驚きました。

「お父さんでもそういう開放的な家の方がいいとか言うんだね」

しみじみ言った私に父は、ふん、と鼻を鳴らしこうのたまいました。

「全部一続きになっていれば、母さんにお茶頼むのも簡単だろうが」

・・・・いやいや!お父さん、お茶くらい自分で淹れなさいよ!
お母さんもにこにこしてないでなんとか言いなさいよ!

とまあ、我が家のわちゃわちゃはともかく、この会話でふと思ったのです。
そういえばなんでLDKが一般的になったのかと。
またLDKにすることでどんな利点があるのか、またLDKだからこその弱点はなにかあるのか、など。

ということで!
今や住まいの常識と言っても良い間取り、LDKについて今日は調べてみようと思います!

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1. 昔からこんな広々LDKだったわけではない

今やスタンダードな間取りであり、お部屋やお家を買う、建てるなら必須といってもいいくらい、広々LDKは当たり前になってきましたよね。

いつの間にやら人気が沸騰していて、新しいおうちだと当たり前のように広がる広々LDK。
でも疑問なのですよね。
一体いつから、広々LDKプラスお部屋の間取りが流行し始めたのか。

ということでざっくり間取りの歴史を調べてみることにしました。

西洋建築が入ってくる前。明治より前は、ご存知の通り、室内に水道などありませんから、土間の続きに台所があり、トイレは外。また、地主から住む場所を借りて住む小作農のお百姓さんが多い時代でしたので、間取りも今のように広くなく、炊事場つきの土間プラス一部屋、のような形が主流でした。
ただ、地主のように一軒家を持つことができる人は、現代に通じる間取りに住んでいたようで、水道がないので土間と炊事場が続きになっているところ以外は、普通にいくつかの個室があるお宅に住んでいたようです。日当たりの良い縁側のついたお座敷は来客用に使っていたとか。この辺りはリビングのさきがけにも思えますね。
その後、水道が引かれるようになってくると屋内にトイレが作られたり、台所が土間スタイルではなくなったりと少しずつ間取りにも進化が見られます。
が、間取りの観点から言うとこのあたりまでは意外と変化が緩やかです。
なぜなら基本的に生活スタイルがあまり変わらなかったから。
大家族の世帯が多かったり、ご近所づきあいが重要視されたり、といった人同士の繋がりが密なためか、間取りにおいても「ここはだれだれの部屋!」のような区切りがあまりなく使われていたよう。よく昔の映画で見ると、家族みんなで川の字に寝ていたりしますよね。あの状態で家が使われていたため、部屋一つひとつに役割のようなものはあまりなかったようです。

しかし、それが変わり始めるのは戦後。
戦争という悲しい出来事により多くの方が家を失ったことが、間取りにも変化をもたらすこととなります。
戦後まもなくは国民各々が自力で小屋を建てて住んだり、地方へ疎開したりしてなんとか住む場所を確保していました。が、それでも住居不足は否めません。そこで政府が主体になって集合住宅の拡充を開始し、生まれたのが団地です(団地については「マンション、団地、アパートの違いって?」にてお話しておりますのでよろしければご覧くださいね)。
団地にはとある間取りが多く採用されました。
「公営51C型」という間取りです。
51ってなに?というとこの間取りが提唱されたのが1951年のため51、Cというのは広さを表す記号です。AとBもありましたが、Cはその中でももっとも小さく、12坪だそう。51年に生まれた小さい面積対応の間取りということのようですね。
ではどんな間取りかというと、かなり現代の住宅に近く、というか、今でも多く生き残っているのではと感じさせる間取りでした。この当時はまだ生まれていないLDK表記で言うなら、〇DKという形です。(ただお風呂はついてなかった模様)。
この間取りにおいて重要視されているのは、「食寝分離」「就寝分離」という考え方です。最大の特徴はキッチンと食事を取るダイニングが一体になっていること。これによりこれまでは食事を取る場所も寝る場所も一部屋ですべて行っていたことを別の部屋で行うことが可能になりました。
「ご飯食べ終わったな!さあ寝るぞ!机片付けて布団敷いて!」とお父さんが号令をかけることがなくなったわけです。
また、個室が増えたことにより、子どもと親が別々の部屋で眠るようになりました。これまでのように川の字で眠る家族も大幅に減ったのもこの時期です。

LDK 2

その後、公営51C型にはなかった浴室がついた間取りを経て、富裕層向けのマンションが誕生。1970年代になってくると富裕層ではない世帯でもマンションを買う時代になってきます。
なお、リビングと台所が一体化したLDKは、このマンションの誕生辺りから生まれてきたよう。

いや〜・・・。間取りに着目して歴史を見たことがなかったけれど、かなり激しい変化ですね。



2. LDKが好まれる理由

しかし気になるのは、どうしてマンションが誕生した辺りからLDKの間取りが出て来るようになったのか。その辺り、LDKのメリットを考えつつ、調べてみたいと思います。

そもそもリビングとダイニング、キッチンが一続きになるとどんなメリットがあるのか。
考えてみました。

① 開放感がある
② 多目的に使える
③ 家人がなにをしているのかすぐ見え、コミュニケーションが取りやすくなる
④ 家事動線がスムーズになる

では一つずつみてみましょう。

① 開放感がある

前述の間取りの歴史からみてもわかるように、現代の間取りに比べ、1970年以前の主流の間取りは部屋が細かく区切られています。台所と居間が別々の空間として独立するために壁と扉があるためです。
そこに生まれたLDK。壁や扉によって6畳ずつの2部屋だったものが、壁や扉を取り去って12畳になります。当然ですが、それだけで空間は広く、見通しもよくなります。
当然、開放感は抜群に良くなりますよね。
特に日本は土地が限られた島国。都心になればなるほど住まいを建てられる面積も狭くなります。その狭い中で少しでも開放感を感じて快適に過ごすならば、一日のうちで一番滞在時間が長い部屋を広々と設計するのがベストですものね。
日本ならではの土地事情もLDKが誕生した背景にはあったのかも。

② 多目的に使える

LDKについて考えるとき、ふっと私の頭に浮かぶのは「体育館」。
体育館ってすごい施設だと思いませんか? バスケットボールもバレーボールも同時進行でできる。ステージがついているタイプならステージ上で演劇の練習もできる。
LDKはそれに近い気がします。
一続きになった一角、キッチンスペースではお母さんが、いや今時はお父さんでもいいな、料理を作っています。
リビングのテレビ前のソファーではお父さんが、いや、これもお母さんでもいいな、が新聞を読みながらコーヒーを飲んでいます。
その傍らでお姉ちゃんがテレビでドラマを見ています。
キッチンにほど近いダイニングテーブルではお兄ちゃんが宿題をし、リビングの片隅に設置されたワーキングデスクでは弟がパソコンゲームをしています。
壁や扉に隔たれない一つの空間の中で、家族がそれぞれに好きなことをできる。
それはLDKのような広さがなければ、実現しない楽しみ方だと思います。

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③ 家人がなにをしているのかすぐ見え、コミュニケーションが取りやすくなる

前項の「多目的に使える」に通じますが、へだたりがないので家人がどこでなにをしているのかが一目瞭然なのもLDKの良いところです。
第一に「ご飯だよ〜」が労力なく言える。(←そこ?!)
いやいや、ここ意外と大事だと思います!うちの旦那様は書斎に閉じこもってなかなか出て来ずご飯のときの声掛けが大変なので・・・。
その点、リビングの一角にワークスペースがあれば、頑張って呼ばなくてもご飯の気配を感じておのずと出てきてくれる。それどころかこちらの大変さを読み取ってお手伝いをしてくれるかも!これは大いなるメリットです。

LDK 4

またキッチンとダイニングが近接していれば、料理を運ぶのも簡単にできますから、小さなお子さんにお手伝いを頼む場合も心配が軽減されます。
「転ばないかな」「零さないかな」などとそこまで心配せずにお手伝いを頼めるのはありがたいです。

第二に、やっぱり会話が増えますよね。別々のことをそれぞれがしていたとしても、同じ空間の中にいれば自然と声をかけやすくなる。これはとても重要だと思います。
特に今は家族それぞれが外に世界を持っている時代です。外で戦ってきた一人ひとりが集まって外で経験したことを自然な形で話しあってまた外の世界へ出かけていける。心のメンテナンスの手助けがLDKを導入することでできるようになるのは大いなるメリットだと感じます。

④ 家事動線がスムーズになる
先ほどのお手伝いの話にも共通しますが、やはり壁や扉で区切られず一続きになっていると動きやすいんですよね。
料理を運ぶこともそう、掃除をするにしてもそう。
掃除は特にそうかもしれません。部屋が細かくわかれていると都度部屋を移動しながら掃除しなければならず、肉体的にも精神的にも疲れを感じてしまうけれど、一続きだと終わりが見えやすくてやる気にも繋がるというか。
また、最近はロボット掃除機をお持ちのお宅も多いと思いますが、ロボット掃除機は一続きになった部屋でこそ威力を発揮します。LDKのようにフラットに繋がった間取りであれば段差に阻まれ、停止を余儀なくされることも少ないですからね。

また来客があった際、お茶を用意してお客様のところに持っていく際も、リビングが併設されていれば会話をしながら準備ができて、お客様を退屈させずに済みます。
うちみたいに分離型だと、台所に私がお茶を準備に行っている間、友人は実に暇そうにテレビを見ていますからね・・・。LDKは客人にも優しくていいな、とこんなとき思います。

と、ここまでメリットを見て感じたのは、現代の生活スタイルにLDKはよりそってくれているな、ということです。

西洋建築が入ってくるまで、家族は一間で常に一緒にいました。この暮らし方のメリットは、家族間での見守りが意識せずともできたこと、デメリットはプライバシーがなかったことです。
しかしその後、個を重んじる時代がやってきます。過去のプライバシーを持てない時代は終わりを告げ、個人を重んじる時代が始まったわけです。そしてプライバシーを大切にする考え方は現代も続いています。
個が重んじられるのは素晴らしいことです。今後も継続していかなければならない大切な考え方でしょう。ですが、個を大切にすることで失われたものもあります。それが大家族が当たり前の時代にはあった、家族がお互いに相手を見守りケアができる関係でした。大家族であれば意識せずともできることが、核家族化が進み、一つ屋根に住む家族の人数が減ることによって、一人ひとりをきちんと見守り繋がることが難しくもなってきたのです。
間取りの変化はそうした家族の形に対応した形で進化をしてきたのですね。

LDKとは。家族がナチュラルに繋がっていくためのキューピットのような間取り、と言い換えてもいいかもしれません。

私、ちょっと臭すぎますかね(笑)

もちろん、LDKにだって弱点があります。たとえば、

・一間続きなので音や臭いを防げない
・プライベート空間を確保しにくい
・LDKを広く取ることを考えすぎて他の個室の面積が少なくなることも
実際のところ、主流派LDKですが、分離型、つまりキッチンとリビングが別部屋のタイプの間取りを選ばれるかたもいるようです。
「集中して料理したい」
「臭いが部屋の中から消えないのが嫌」
「料理の音がうるさくて集中できない」
などなどの理由で。

分離型を選ぶ方の意見を聞いていると、すべての間取りがすべての家族にマッチするわけではない、というのがよくわかります。
なので、お部屋を買う、建てる場合は自分たちが何に重きを置くのかをよくよく考えて選ぶことが大切だなあと強く思います。

ただ、うちの父のように「おい、お茶」が言いやすいから一続きがいい、なんていうのはあまりにもナンセンス。もはや時代は誰かになにかをしてもらう時代から、なにかがほしいなら自分で動く時代に来ているんですもの!
うちの父にはちょっと教育が必要です(笑)

ということで!本日はLDKが生まれるまでの歴史や、LDKのメリットなどに着目してきました。
今後も不動産のなぜ?どうして?にスポットを当て考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

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