賃貸住宅管理業登録制度について

「かぼちゃの馬車事件」
をご存知でしょうか。
今までは、賃貸物件の管理については宅建業に該当しなかったため、特に免許を受けなくても賃貸管理を業とすることができました。
ところが近年、サブリースや管理委託契約において、業者と貸主がトラブルになるケースが増加していて、賃貸住宅管理業についても、宅建士のような資格者を置くべきではないかという流れがありました。

そのため、2011年に国土交通省の告示により「賃貸住宅管理業登録制度」が創立さて、登録事業者の事務所ごとに1名以上の賃貸不動産経営管理士の設置が義務化されました。
しかしながら、「賃貸住宅管理業登録制度」は任意登録制だったために、登録する業者は非常に少なかったのです。

このような状況において、2020年法改正が行われ、賃貸住宅管理業は、任意登録制度から義務化されることになりました。

「賃貸住宅管理業法」とは、どんな制度なのでしょうか。
賃貸住宅管理業法とは、良好な住居環境の確保を図るため「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」として、令和2年6月12日に可決成立した法律です。
この法律は、以下の二つの柱により構成されています。
①サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に関わる措置
②賃貸借契約に関わる管理業者の登録制度に関する内容

始めに、①のサブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に関わる措置について、説明していきます。
この制度により、サブリース契約に関連するトラブルを未然に防止するため、全てのサブリース業者の勧誘時や契約締結時に一定の規制が課されるようになりました。
(サブリースが1戸のみであっても、規制の対象となります)
そして、この規制はサブリース業者と組んで勧誘を行う者(勧誘者)に対しても規制がかかります。勧誘者とは、例えば建設会社はハウスメーカーなどが含まれます。
この規制に対し、サブリース業者や勧誘者に違反があった場合には厳しい措置が課され、業務停止命令などが下される場合もあるのです。
サブリースに関して、主に3点の規制があります。
・不当な勧誘行為の禁止
 サブリース業者や勧誘者によるマスターリース契約の勧誘時に、相手の契約判断に影響を与える事項について故意に事実を伝えなかったり、不実を伝える行為(家賃の減額リスクなど)の禁止。
・誇大広告等の禁止
 自社ホームページや営業資料などを利用して、不当勧誘行為として該当する内容を提示し宣伝する事の禁止。
・マスターリース契約締結前の重要事項説明
 サブリース業者は、この規制に従ってマスターリース契約締結時にオーナーに対し、家賃、契約期間・家賃見直しの機関などの内容を記載した書面を重要事項説明書として交付して、説明しなければなりません。
(契約締結時の重要事項の説明は、以前は任意の制度となっていましたが、2020年の法改正により法律化されました)。

それでは②の賃貸借契約に関わる管理業者の登録制度に関する内容について、ご説明いたします。
②の制度については、これまで任意であった賃貸住宅管理業の登録制度を創設したものになります。
この規制は、賃貸住宅における良好な住居環境の確保とともに、業界の健全な発展・育成を図ることが目的となっています。オーナーの委託を受けて、賃貸住宅の維持保全や金銭の管理を行う賃貸借契約事業者に対して、国土交通大臣の登録を義務づける制度とされています。
この制度により、管理戸数が200戸以上の業者は賃貸住宅管理業者としての登録が義務とされます。
また、登録した業者は以下の4つの取り決めに従わなければなりません。
1.業務管理者の事務所ごとの配置
2.管理受託締結前の重要事項の説明義務
3.家賃などの財産の分別管理
4.契約の相手方に業務の実施状況など定期報告業務

以上、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」についてご説明しまいた。
施工後、対象となる業者は順次国に登録をしていくことになり、2022年6月には完全施行となります。
猶予期間終了後、管理工数が200戸以上の業者で、登録が出来ていない場合は無免許営業として厳しい処罰の対象となります。

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