地方移住ブームに思うところ

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こんにちは。
コーラルの事務員で、新米シングルマザーのナカザワです。

今朝、通勤前にバタバタしながら横目でチラチラTVを見ていたら「地方移住」について放送していました。

地方移住…私は実は約8年前に家族で山梨県の山奥に移住して、大失敗して東京に戻ってきたのです。そんなこともあったので、最近の「地方移住ブーム」には複雑な思いがあります。

そもそもなぜ私たち家族が移住したのかと言いますと、私はもともと札幌市の郊外の生まれで程ほどの田舎ということもあり、東京に強い憧れを持っていました。中学生くらいの頃から、雑誌などに出ている東京の特集を見るたびにワクワクしながら、いつか都会に住んでみたいと夢見ていたものです。実際に生活して現実を見ると居心地の悪さを感じる方も多いかもしれませんが、私は東京生活に特に大きな不満を感じることもなく日々楽しく過ごしていました。

しかし、東京出身の(元)夫は逆に田舎に憧れを持っていたようです。いつか煩わしい人間関係から離れて田舎で農作業でもしたいなどと当初から語っていました。実際は人間関係が濃いのは田舎の方なのですが、東京出身の(元)夫にはわからないのも無理はありません。

そこまでは、「また夢みたいなことを語っている(笑)」と聞き流していたのですが、転機が来ました。東日本大震災がきっかけで、東京での生活に不安を感じたことと、当時小1だった長女が発達障害の疑いがあり、集団生活をうまく送れなかったということです。

そこで、具体的に地方移住について考えるようになったのですが、(元)夫は「どうせ行くならガチな田舎がいい!」、私は「都会まで通勤できる地方都市がいい」となかなかまとまらず月日は過ぎていきました。

そんな時に、ちょっと旅行がてら訪れたある町で、地元の人や小学校の保護者達が歓迎してくれ、子供たちも生き生きと楽しんでいる様子を見て移住を決めたのです。
(人口の少ない町で、ほぼ全員が顔見知りのような場所なので町名を出せなくてすみません)。

移住を決めてからは慌ただしい日々でした。
共働きでしたので、お互いの会社に伝えなければならないし、私たちは中古で購入したマンションに住んでいたのでその売却もあります。そこで、(元)夫と子供たちが先に移住して、私は半年ほど東京に残っていました。そのうちにマンションも売れて、私の仕事も一区切りしたので田舎の町で合流することになりました。

そこから7年間、その町で過ごすことになるのです。地方と言っても様々で、地域によって全く違うと思うので一概には言えませんが、都会の喧騒から離れ自然の中でスローライフというのはほぼ幻想なのではないでしょうか。

私達が田舎で過ごした7年間の間にも新しく移住した人、トラブルを抱えて出て行った人、すっかり田舎の暮らしになじんで大変ながらも楽しく過ごしている人、様々です。

その7年間が30年に感じられるほど、濃い日々を過ごしていた為、簡単には語れませんが地方移住に興味のある方に参考にしてもらえたらと思います。
(ただし、私たちが住んでいたのはガチの田舎なので地方都市に移住を考えている方には参考にならないかもしれません)

①仕事
リタイア後の移住であれば問題ないかもしれませんが、子育て世代の移住で一番気になるのが仕事問題ではないでしょうか。
去年からのコロナ禍でリモートワークも増えてきたとはいえ、田舎で一から仕事を探そうとうなると一苦労です。例えば、写真家や画家、プログラマーなど、特殊な才能やスキルのある方は住む場所にとらわれないかもしれませんが、私たちのようにごく普通のサラリーマンがいきなりポンと田舎へ行って家族が食べていけるだけの収入を得ることはかなり難しいです。
また、何年か住んでいると○○の□□さんとこで人手が足りないようだ、などと話を頂くこともありますが、タイミングもありますし、移住してすぐにそれなりの仕事を得るのはなかなか困難だと思います。
私達も実際は、半年くらい無職の期間がありました。
結局、希望の仕事は見つからず、私は片道1時間半かけて隣の隣の町まで通うことになりましたし、(元)夫は、派遣で工場に勤務することになりました。
わざわざ田舎まで来て、遠くまで通勤なんて田舎と都会の悪いとこ取りじゃん、と思いましたが、実際町内の仕事では食べていけないのです。
町内の子育て世代のファミリーは「町内で夫婦共働き」か、「夫は東京で働き週末は山梨で過ごし、妻が田舎で家事育児」というパターンが多かったです。

②住まい
山梨県は空き家率日本一だそうで、周囲は空き家だらけでした。私たちが借りていたのは、公民館?!並の広さの古民家、庭にも車が何台も停められるほどでしたが、家賃は1万円でした(笑)。部屋がいくつあったのかな…、1階がダイニングキッチン、居間、8畳くらいの玄関、6帖+6帖+8帖+8帖。2階は6帖+4帖半+30帖(昔は養蚕部屋だった)位の空間。何LDKか、よく分かりません。
ですが、空き家が沢山と言っても、相続などが複雑になっていることも多く、仏壇がそのままになっていたり等、すぐに貸せる家はごくわずかなのです。
どうせ使っていないんだから貸してくれたらいいのに、と言ってもそう簡単にはいきません。
移住促進をしている自治体なら、移住者用の住居などの用意もあり、家賃も安価なことが多いので問い合わせてみるのがいいと思います。

③人間関係
これも移住先によってさまざまとは思いますが、断じて都会よりは人間関係が濃いでしょう。
それこそ都会では、隣人さえも顔も知らないか、知っていても会釈するのみということが多いのではないでしょうか。
都会では、職場の人、学校関係の人、趣味の人等分かれている場合がほとんどだと思いますが、田舎は人が少ないので限られた人数で全てが一緒という場合が多いと思います。たまたま隣人と気が合えばいいですが、ちょっと苦手だなと思っても逃げられません。職場も一緒、子供の行事も、消防も、地域の行事も常に一緒となるとこれは相当なストレスだと思います。
また、田舎の場合は公共交通機関が整っていない場合も多く、車移動が基本ですから、仕事帰りに同僚と飲みに行くということがとても難しいです。なので、飲むとしても近所の人となってしまうのです。
都会は冷たい、田舎は温かいというのも違うと思います。私が思うに、都会も田舎もいい人も悪い人は同じくらいいるということです。ただ、田舎では、悪い人と付き合わねばいいというのが通用しないだけだと思います。

④車
次は、田舎では欠かせない車についてです。
これも、車自体の金額もピンキリなので一概には言えませんが、印象としてはとにかくお金がかかります。
遠くまで通勤していた時は、ガソリン代も月2~3万、保険で数千円。しかも車は一人一台必須ですからいくら家賃が安くても車費のために働いてるのか?と思うほどでした。
車本体の費用を押さえようと、安い中古車にして当たりならいいですが、中には次から次へとトラブルばかりということもあります。私も、最初はとりあえず「足」でいいやとかなり安価な中古の軽自動車を買ったのですが、結局修理代の方が高くついたような気がします。
また、これも私の住んだ場所が特殊だったと思いますが、鹿やイノシシが車道に飛び出してくることもあり、私は幸い当たったことはありませんが数十万の修理費がかかったという話もちょくちょく聞いていました。小石が落ちていて、パンクしたり飛び石で車が傷つくということもありました。

⑤光熱費
これも、移住先によってさまざまかと思いますが、私が住んでいた町では水道代はかなり安かったです。年間12,000円とかで、使い放題でした。しかも、蛇口をひねれば南アルプスの天然水!!ただし、台風やらの影響を受けて水源がダメになったり、お盆の時期など人が集まるときなどは水道タンクが空になり断水になったことも。
ガスは、田舎ではプロパンガスがほとんどだと思いますが、これがとにかく高い!冬はガス代2万円超えたこともありました。同じ時期、東京では5千円位だったと思います。あとは、田舎では家が広すぎてエアコンが機能しないので、扇風機や灯油ストーブなど使用していた為、電気代も高かったです。

⑥お金の面ではどっちが得
トータルすると、お金の面ではやはり都会の方がお得だと思います。
都会の方がお金がかかると言えば、家賃位なのではないでしょうか?あとは、都会だと歩いているだけで、新製品情報や目に飛び込んできますから、つい余計な物を買ってしまうというのはあるかもしれません。実際私も、山梨に住んでいたころはスマホの新機種にも疎くなり、物欲も少なくなっていました。人間、目にしなければ欲しくならないものなのです。
あとは、子供の進学の面でも田舎は相当不利だと思います。私が住んでいた場所は、高校すらなかったためちょっとお話にならないですが、ある程度選択肢のある田舎だったとしても、子供の進路によっては都会に出なければならない場合もあります。田舎から子供を東京へ進学させたという方と何人か話しましたが、子供が複数いる場合、学費や下宿代等トータルしたら家一軒分という恐ろしい話も聞きました。

と、色々書いてきましたが単純に比較はできませんよね。どこに価値を置くかは人それぞれなので。私も田舎で相当苦労してヒイヒイ言って暮らしていましたが、移住したことをすべて後悔しているかと言えばそうとも思えないほど、キラキラした思い出も多いのです。

まず、満面の星。私は視力0.3の近視ですが、眼鏡をかけなくても天の川が見えるほどなんです。昔、札幌に住んでいたころ、屋根の上から見た星も綺麗でしたがその比ではありません。また、目の前が川だったので思い立ったらすぐに川遊びができます。東京にいたころは、川なんて意識したこともなかったですが、田舎にいると川の表情が毎日全く違うことに気づくんですよね。雨の次の日は濁りますし、春になると川がキラキラ光るのです。そして、河原での石探しも楽しかったです。石を砕くと、中に小さな小さな水晶が入っていたり。子供たちと、自然の中で遊んだことは、お金に代えられない宝だと思っています。

最後に。
私は地方移住で失敗したと書きましたが、最後には懐かしく楽しい思い出話になってしまいました。ただやっぱり、メディアで伝える夢みたいな移住話を目にすると、ちょっと危険だなって思ってしまうのです。これから移住を考える人には、いい話ばかりでなく実際に住んだ人に沢山話を聞いて、十二分に「デメリット」を理解してから、それでも前向きに考えられるようでないとお勧めは出来ません。

それでは、また気になる話題があれば書いてみたいと思います。
今後も、よろしくお願いします!

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