今から貼っちゃマズいかな?
先日、マンションの売却相談をいただいたお客様宅へ訪問査定に行った時の事。
お客様(売主様):
「15年前に購入したけど、あまり金額が下がっていないから売却益がでるかなぁ?」
「売却にかかる税金が発生するかな?」
と、ご質問があり、
「じゃ、査定額の3000万円で売れた場合の譲渡益を計算してみましょう」
「建物の減価償却費を計算しますので購入した時の売買契約書見せてください」
と、査定現場ではよくある会話を交わしていたのですが、いざ売買契約書を見せてもらうと・・・、
収入印紙が貼っていない(ヤバいもの見ちゃった)!!!!!
詳しい話を伺うと、
15年前に購入した時に、不動産業者から「契約の時に収入印紙を持ってきてください。」という案内もなく、契約締結の際も「収入印紙を貼ってください。」とも言われなかったとのこと。
この話が本当かどうか?
売主様の記憶違いではないのか?
もしくは本当に不動産業者から収入印紙の説明が全くなかったのか。
今となっては当時収入印紙を貼らなかった経緯は定かではありませんが、不動産売買契約書は「課税文書」となりますので、印紙税法で定められている金額の収入印紙を貼らなければなりません。
今回の売主様は当時現金で購入していたこともあり、
・住宅ローン減税を受けなかったため税務署への確定申告も行う必要もなく
・金融機関に売買契約書を提示する必要もなく
ということで、どこからも指摘されることなく今に至る・・・、という感じです。
ただ、今回の売却で売却益が生じた場合は確定申告が必要となります。
その際に、購入時の売買契約書の提出を求められることになりますので、当時収入印紙を貼っていないことが発覚してしまいます。
売主様から「今から貼っちゃマズいかな?」と質問されましたが、
答えは「マズいです」と。
そもそも15年前に貼らなければならなかった印紙と、現在販売されている収入印紙はデザインが違いますので、今更貼ったところでバレバレです。
【収入印紙を貼っていない場合の罰則】
不動産売買契約書は課税文書となりますので所定の金額の収入印紙の貼付が印紙税法で義務付けられています。
これに反して収入印紙を貼らなかった場合は印紙税法違反となり、本来貼付するはずであった印紙税額の2倍に相当する金額が過怠税として徴収されます。
正規の印紙も貼って、なおかつ2倍の過怠税なので、要は3倍の費用が必要になってくるのです。
今回の売主様が購入当時貼るべき印紙は15,000円だったので、過怠税30,000円と印紙代15,000円の合計45,000円を負担しなければなりません。
ただし、上記の過怠税は税務調査などで発覚した場合の金額となります。
自主的に税務署に「15年前印紙貼り忘れちゃった」と申告すれば1.1倍で済むとされています。
今回は、売却した場合に売却益が発生して確定申告をすることになると思いますので、自主申告をお勧めしました。
今回のような事態になった原因は、当時売買契約に携わった不動産業者に問題があります。
当時は結構いい加減な不動産業者も多く(今もいい加減な業者はいますが・・・)、ひょっとしらた印紙を貼っていない契約書を保管している方は結構いるのではないかと思います。
今更正規の印紙を貼ってもごまかせませんので、もし該当する方がいらっしゃいましたら3倍のペナルティを受ける前に1.1倍のペナルティで収めることをお勧めいたします。
ちなみに収入印紙のデザインは【2018年7月1日】から新しいデザインのものが流通しています。