再建築不可の一戸建て物件

先日、お客様から再建築不可欠の一戸建てのお問い合わせを受け、

物件の建築確認概要書などの資料を求められた。



早速、売主側業者に資料を求めたら、

『何が知りたいんですか?そもそもこの物件は再建築不可ですよ』

と言われ資料はそもそも無いと言われた。



私は、「えっ、本当にそう思っているのか⁉」

と耳を疑った。

再建築不可物件でも、それを建築するに際しての関係資料がある場合があるからだ。




ただ、多くの不動産屋は、少しでも成約に導きたいと言う思いが皆無なので、

こんな酷い回答レベルになってしまう

この業者の頭の中は、再建築不可の物件=建築確認がない(あるわけない)

という考えだったのだろうか。



不動産屋は、マジにもっと勉強すべきだ!



しかし、お客様は翌日役所に行って建築確認の概要書があることを確認して、

一つの宅地に3戸の建物が建っていて、

建築基準法に違法と知りつつ建築された物件ということがわかった。

お客様はどういう理由で再建築不可なのかを知りたかったのと、

どういう申請をして建てたのかが知りたかったわけだ。



再建築不可の物件とは、既に家が建っていても、一旦解体して更地にしてしまうと新たな家を建てられない不動産のことを言う。
再建築が不可の理由は、建築基準法上の道路に接道義務を果たせていないためになる。
建築基準法上の道路は、以下の道路などが該当すると、建築基準法第42条に規定されています。

実は、一口に建築基準法上の道路に接道義務を果たせていないといっても、

1. 全く接道のない袋地。
2. 道には2m以上接しているが、建築基準法上の道路でない場合。
3. 4m道路に接道してるが接道が2mない物件。
4. 一つの土地に2つ以上の建物がある。
5. 見た目は4m道路に接道しているように見えるが、公図をみると土地と道路との間に水路を挟んでいて、結果接道していない。

と色々なケースがある。

この中で、再建築が難しいと思われるのは、

1と4だ。

もちろん隣接する他人の土地を取得したり、

確認申請するのに土地を利用させてくれれば、

再建築出来るかもしれないが、可能性は低いだろう。




それに対して2、3、5は再建築出来る可能性がある場合がある。

2は43条但し書きといわれた(現在は43条第2項第2号)道路の場合がこれにあたる。

建築審査会の同意を得る必要があり、

一定の基準を満たしている必要はあるが、建築出来る可能性がある。




これについては平成30年に建築基準法の改正があり、

建築審査会の同意が不要とする認定制度(43条第2項第1号)も設けられ、

行政の考え方が再建築を認めて行こうという方向になってきている。

3は接道が1.8mの路地上敷地がこれにあたる。




自治体ごとに基準が異なるので、どこでも当てはまるわけではないが、

世田谷区などは、『43条第2項第2号に関する一括許可基準基準』のなかで、

1.8m以上接道、路地上部分が20m以下とはっきり明示している。




5の水路を挟んでいる場合も管理者の占用許可がとれるなど

一定の条件下で許可がとれると明記されている。

水路の有る道)



ただあくまでも、例外規定なので、何でも許可がとれるわけではないようだ。



再建築不可の物件は相場の半値くらいで買える場合もありますが、

許可がとれる可能性の高いものはそれなりの価格になるだろう。




ローンも使えないので現金で購入できて、

ある程度再建築できないリスクを飲み込める購入者には

魅力的な物件であるともいえる。


なお、再建築不可の物件は都市計画区域と準都市計画区域内だけにある。

最後に、もしよろしければこの機会に建築基準法第42条の条文を確認してほしい。

建築基準法上の道路とは(建築基準法第42条)

次の各号のいずれかに該当する幅員4メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。

一 道路法による道路
二 都市計画法、土地区画整理法、旧住宅地造成事業に関する法律、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法による道路
三 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道
四 道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの
五 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの
2 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(同項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満で崖地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該崖地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。
3 特定行政庁は、土地の状況に因りやむを得ない場合においては、前項の規定にかかわらず、同項に規定する中心線からの水平距離については二メートル未満一・三五メートル以上の範囲内において、同項に規定するがけ地等の境界線からの水平距離については四メートル未満二・七メートル以上の範囲内において、別にその水平距離を指定することができる。
4 第一項の区域内の幅員六メートル未満の道(第一号又は第二号に該当する道にあつては、幅員四メートル以上のものに限る。)で、特定行政庁が次の各号の一に該当すると認めて指定したものは、同項の規定にかかわらず、同項の道路とみなす。
一 周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認められる道
二 地区計画等に定められた道の配置及び規模又はその区域に即して築造される道
三 第一項の区域が指定された際現に道路とされていた道
5 前項第三号に該当すると認めて特定行政庁が指定した幅員四メートル未満の道については、第二項の規定にかかわらず、第一項の区域が指定された際道路の境界線とみなされていた線をその道路の境界線とみなす。
6 特定行政庁は、第二項の規定により幅員一・八メートル未満の道を指定する場合又は第三項の規定により別に水平距離を指定する場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。

以上 建築基準法から第42条を抜粋(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201#485)

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