廊下に思いを馳せる
皆さん、こんにちは!
転勤族の旦那さんとおじいさんチワワと暮らす主婦、ヤマダです!
さて、今日のテーマは廊下!
みなさんのお宅には廊下はありますか?
我が家は・・・今はないですね。昔はある家に住んだこともありました。
そう考えてみて気づきます。最近の住宅には驚くほど廊下がありません。
モデルルーム巡りをしていても廊下を排した間取りが目立つように感じます。
廊下で区切られていないと広々としていて過ごしやすい快適空間が演出できるのかも、とは思うのですが、私はちょっとだけ寂しさも感じてしまいます。
私にとって廊下は、子どものころも大人になってからもちょっと遊び場のような感覚のある設備でした。
子どものころ、実家の日本家屋には廊下がありました。
台所を背にして右手側、方角としては南側に居室、左手側、北側にトイレとお風呂が配された廊下でした。
この廊下は家のちょうど中心くらいにあって、幅も広く、私と妹が遊び回る場所としてはうってつけでした。
私は女子のわりには男の子みたいな遊びが好きでしたから、廊下でミニカーを走らせたり、瓶を並べて野球ボールで倒す簡易ボーリングなんかをしていました。
ときにはラジカセを持ち込んで、ラジオDJごっこをすることもありました。
先日実家に帰ったときにその音源が発掘されましたが、あり得ない材料で作る料理について熱弁していて、爆笑半面、お蔵入り必至の代物でもありました(笑)
また大人になってからは、犬と暮らしておりますので、長くストレートな廊下のある家に住んだときは、わんこにボールを投げてあげてわんこが取って来る、みたいな遊びを日常的にしていました。運動不足解消にもなって廊下が重宝したことを覚えています。
と、私にとっては思い入れたっぷりですが、最近は少なくなりつつある住宅における廊下について、そもそも廊下ってどうして少なくなってきたのか、廊下がある家にメリットはないのか、など、考えていきたいと思います!
1. 廊下ってそもそもなんなの?
廊下は廊下やろうが!
と突っ込まれるかも(笑)
けど何事もまず始まりを知りたくなるのがヤマダです。って知らんがなって言われそう。まあ、そう言わずにお付き合いください。
ってことで、廊下ってそもそもどういうものなのか辞書で調べてみたところ、部屋と部屋を繋ぐアクセス手段と出てきました。まあ、予想通りですね。
ただ、昔から廊下が今の形だったかというとそうでもなくて、中世、つまり江戸時代に入る前くらいまでは廊下は「廊」と呼ばれ、屋内ではなく、建物と建物を繋ぐ通路としての意味で使われていたようです。今でいう渡り廊下に近い感覚ですね。
(写真は厳島神社です。こうした棟と棟を繋ぐものが廊ということですね)
じゃあ、「廊」が「廊下」になったのはなぜか?その辺りの詳しい状況はわからないのですが、屋根の下、などの意味から廊に下がついて廊下になったのでは、という説もありました。
このことからわかるのは、廊下はやっぱりあくまで通路としての役割しか求められていなかったということですね。
ちなみに一口に廊下と言っても種類があって、特に屋内における廊下の種類には以下の二種類があるようです。
片廊下
中廊下
片廊下とは、廊下に対して片側が壁や窓で、反対側に部屋や設備があるタイプの廊下。
中廊下とは、廊下の両側に部屋や設備があるタイプの廊下。(写真は中廊下ですね)
私の実家にあったのは中廊下ってやつだったのか!と初めて名前を知りました(笑)
2. 廊下がなくなっていく理由
さてさて、形態は違えど、私たちの生活に古くから廊下は存在し、「廊」の字も文献に残るほど住宅設備の一つとして根付いていたはずの廊下。
それがなぜ、今、少なくなる、あるいは完全に住宅の中から消えようとしているのか。
理由は廊下があることによるデメリットにあると思われます。
ということで、廊下があることによって生じるデメリットを挙げてみましょう。
① 廊下があることでスペースが余分にかかる
② 廊下は採光が難しい
③ 廊下があることで余計なコストがかかる
一つずつみてみましょう。
① 廊下があることでスペースが余分にかかる
もともと日本は島国で山が多いです。ゆえに人が住めるようになっている土地、いわゆる可住地の面積は全国土の30%と言われています。しかも都市部になればなるほど、人も多く集まりますから、住める面積は狭くなりますよね。
そうなるとその狭い面積の中でどう効率的かつ、住みやすい間取りにするかが住みやすい家を作るための肝になってきます。
どんな家にしたいか、そう考えたらやっぱり、できれば広々としたリビングや寝室がほしい、など居室における面積の希望が出てきやすいですよね。
しかし廊下がある間取りにしてしまうと廊下がなければリビングに回せたはずのスペースが、廊下ゆえに小さくなってしまう・・・。
スペース重視で考えたとき、単なる通路としての使用しか見込めない廊下は、どうしてもお荷物な存在になってしまうのです・・・。
② 廊下は採光が難しい
先ほど片廊下と中廊下、という廊下の種類についてお話しましたが、片廊下にせよ中廊下にせよ、ちょっと廊下は採光が難しい面があります。
そもそも廊下に採光を求める法律もないために、あえて明るくしようとしない限り暗くなりがちなんですよね。しかも片廊下ならまだ壁面に窓を設けることは可能でしょうが、中廊下となると両側に部屋や設備がひしめき合っている状態なので、やっぱり暗くなってしまう。
考えてみれば私の実家の廊下も昼間でもなんとなーく暗くて、うすら寒かったような。
③ 廊下があることで余計なコストがかかる
これは特に一軒家に多く言えることでしょうが、廊下ができるということは部屋を区切る建具が余計にかかるということ。建具も数が増えればコストがかさみます。
つまり安く家を建てたいと思うなら建具を減らすのが早い。ということは部屋と部屋を繋ぐ目的だけの廊下のために建具を余計に使うのはもったいない、ということにもなるわけですね・・・。
ちなみに、一軒家ではなく、集合住宅になってくると、一部屋あたりの面積は一軒家よりも制限がつくようになります。できるだけ広さを、明るさを、と考えていく過程で廊下が排され、現在多くみられるような、部屋と部屋の区切りがあまりないオープンな間取りが人気になっていったというわけなのですね。
3. 廊下にはデメリットばかりか?
と、ここまで廊下のデメリットばかりを挙げてきましたが、廊下があることでメリットとなることはないのでしょうか?
廊下のメリット、考えてみました!
① 動線がしっかり確保できる
② 臭いや音を遮断できる
③ プライバシーを守れる
一つずつみてみましょう!
① 動線がしっかり確保できる
もともと廊下の存在意義はなにか。
これは言うまでもなく、移動するための設備ですよね。つまり移動に適したルートを廊下は考えられて作られている場合がほとんどということになります。
たとえば我が家の実家の場合、各部屋からトイレに行くとき、ちゃんとそれを考えてどの部屋からも行きやすいよう廊下が設けられています。ある部屋だけトイレに行くのにものすごく難解なルートになる、とかそういうことは基本的にないはず。
まあ、増築を繰り返した家にはあったりしますが・・・。
そういう意味で、どこかへ行く際のアクセスが、廊下があった方がスムーズであることは確かです。
② 臭いや音を遮断できる
これはドアがあれば解決じゃないの?と思われるかもしれません。
いやいや、意外とそうでもないんです。
たとえば、今現在私が住んでいる家!ここには廊下がない。廊下がないということは、部屋と部屋がダイレクトに壁だけで仕切られている、ということになります。
集合住宅にある一部屋ですからキッチンとかがトイレが隣り合っていたりもするわけですよ。
するとどうなるか。
夕飯を張り切って作っている私の耳に旦那様がトイレで用を足す音がそれはもうばっちり響いてきちゃうわけです。
しかし生理現象ですから「音が!音が汚い!」とか言えないじゃないですか・・・。
別に音で料理が汚れるとかそういうことはないのですが、気分的にちょっと、ということはあります(笑)
また、そのキッチン自体の臭いが部屋が区切られていないと充満しやすいですよね。廊下を挟まず、ドアを開けてすぐ次の部屋、という間取りだと、ちょっとドアを開け閉めしただけで臭いが部屋に侵入してしまいます。
ぎょうざとか生姜焼きとか強烈ですね(笑)美味しいけど臭いが。
けれど廊下があるとワンクッション空間を挟むことになるので、臭いや音が届きにくくなります。もちろん皆無というわけでもありませんが、それでもドア一枚隔てるだけに比べたら雲泥の差と言ってもいいでしょう。
実際、実家では廊下で部屋と部屋が区切られていたために臭いや音に悩まされた経験がほとんどありません。廊下恐るべしです!
③ プライバシーを守れる
音や臭いを遮断できる、に近いですが、自分の時間を持ちやすい、という意味でも廊下は一つの手助けをしてくれていると私は考えています。
わかりやすい例として、私の子どもの頃の話をしましょう。
実は私は学生時代、小説を書いておりまして。
しかし親には内緒にしておりました。見つかると「勉強しないでなにやってる!」とか言われそうでしたからね。
なので部屋にこもってこそこそと大学ノートに拙い物語を綴っていたわけです。が、なにせ私の実家は日本家屋。入口の扉が鍵なんてかからないただの襖なんですよね。
なのでいきなりがらっと開けられたら大変。
しかしここで廊下の出番です。居間のドアを開け、廊下を通ってこちらに近づいてくる足音・・・それが廊下だとよくわかる! 廊下ってそこそこ音が響きますからね。物も少ないし。つまり、廊下があると、大学ノートをばんと閉じて本棚に差し込むくらいの時間が容易に確保できるわけです。この時間があるかないかは大きい。
ドア一枚でリビングと繋がっているとなるとこうはいきませんからね。
・・・・ってなにを力説しているんだと思われそうですが(笑)
しかしこのように、廊下があることで、一人でじっくりなにかに打ち込みたいときなど、他者から干渉されない空間を守ることができます。
以前、「こだわりは国それぞれ」の記事でも書かせていただいたのですが、イギリスだと、各部屋がきっちりとドアや廊下で分かれていて、鍵も全部屋についているというのが当たり前だったりするんですよね。個人個人のスペースを大事にするために。
日本は和を重んじるところもあり、住まいで個を尊重できる形には建築様式が発展しておりませんが、イギリス式にならい、廊下を用いることで個を守るというのも一つの方法なのではないかと思います。
また、今はコロナ禍です。家庭内で感染が起きたときなど、動線を限定しやすい廊下がある家は感染対策に適しているのではないかと感じます。
今、私が住む家には廊下はありませんから、万一私が感染したらトイレに行くにも洗面所にいくにもキッチンを通らねばいけません。これはちょっとリスクが大きいと感じます。
しかし実家を見ると、廊下があるので、リビングやキッチンなど、家人が多く集まる場所を通らずともお手洗いや洗面所、浴室に行くことができます。完全に生活を分断できる、というわけですね。
コロナがいつまで続くのか、それは誰にもわかりません。
しかしこうした未曽有の危機に対しても対応できることを思うと、これから家を探す際は廊下があって生活空間を分けることも可能な家を選びたい、と私は感じています。
皆さまはいかがでしょうか。
4.終わりに
廊下の歴史を見てみると、棟と棟を繋ぐ渡殿(わたどの)と呼ばれる廊下以外に、大きな部屋をぐるりと囲むようにして巡らされた回廊もあったようです。
これは、もともとは日本特有の夏暑く、冬寒い気象変化を部屋に持ち込ませないためという意味もあったよう。
確かに縁側がワンクッションあるだけで、外の暑さ寒さが和らぐ感覚があります。あれと同じ感じだったのでしょうね。
ただなんとなく通るだけだった廊下もこうして成り立ちや、メリットを見て来るとなんだか愛着がわいてきます。
しかしそうはいっても廊下はやっぱりスペースの無駄、と思われるかもしれません。
ということで、最近は廊下を単なる通路に終わらせないという考え方もあるようです。
たとえば、ある漫画家の先生は、廊下に大きな本棚を設け、そこに自作や資料などを収納しているとか。確かにまっすぐな廊下であれば本棚を設置するのにも良さそうですね!
また、絵画などのアート作品を廊下に陳列するという方もいらっしゃるようです。
このように通路として使い、廊下のメリットを活かしつつも、それだけではない価値を廊下に持たせていくというのも面白いかもしれませんね。
さて!本日は廊下に着目してみました!
これからも住まいにおけるなぜなにや由来などいろいろ考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!