重要事項説明書は、なぜ有るのか?
『重要事項説明について、思うこと』は色々ある。
晴海のマンション、ハルミテラスの契約が無事に終了した。
コーラルの場合、その多くの取引が大手不動産業者が買い手を紹介してくれるのでほぼ重要事項説明書は作成することは無いのだが、しかし今回は、地場の不動産会社からの購入者紹介だった為、重要事項説明の作成も自分で行った。
まあ~、説明項目の多さと記載すべき関係法令の多さに閉口してしまった。
重要事項説明(以下重説という)は、不動産は高額なもので、
なおかつ、取引をするにあたり専門的な知識が必要とされる。
また重説は、家を購入する人が、気をつけなければならないことを宅建士が説明することを義務付けられているものである。
これが義務付けられているのは、不動産屋は昔から都合の悪いことは言わず、
良いことしか言わない嘘つきであるということが前提になっている。
だから国が最低これだけは説明しなさいよという項目を定めたわけだ。
大まかにざっと分けると、下記に分けられだろう。
⚪物件そのものの説明と所有関係に関すること
⚪不動産のある土地に建築する場合の制限に関すること
⚪取引に潜むリスクに関すること(主に買い手保護の目的)
⚪問題発生した場合の取り決めに関すること
⚪取引に発生する支払いに関すること
⚪取引に関わる期限に関すること
⚪マンションの管理に関すること
細かく見ればもっと範囲は広いが、
その説明の根本は、基本的にはこのどこかに当てはまると思う。
初めのころは、本当に簡単な内容だったものが、
問題が生じたり、社会的に問題視されたりするたびに項目が増えて現在に至るわけです。
重説の項目が増えて細かくなっていくと、
本来は購入者のための説明であったはずのものが、その目的がぼやけてくる。
しまいには、
この説明はいったい何のためにしている説明なのかということや、
なぜ説明すべき項目にこれが加わったのかという、
背景がわからないということになっているのが現状ではないかと思う。
更に、本来はお客さんのための説明だったはずが、
業者が、お客様からのクレームから身を守るための説明になってしまっているなぁと感じる。
例えば、
『買主は現地の環境を確認して購入した』とか、
『将来⚪⚪になる可能性があります』
といった文言だ。
こういった文言を見ると、『ここまで言う必要あるの?』と思うと同時に、
ここまで言い出したら逆に書かれていないことは、
説明を受けていないというクレームを助長するのじゃないかという気になるのは、
私だけだろうか?
説明が細かく、長くなればなるほど本来の説明の趣旨や本質がぼやけるということは
間違いなく言えると思う。
大事なことは、
重説に書かれている文言を読むことではなく、
そこに書かれている重説の内容を何故、または、何のために説明しているのかを説明することだと思う。
しかも分かりやすく。
添付資料を揃えることが重要なのではなく、
添付資料の内容を説明する人間が内容を咀嚼して理解したうえで簡単な言葉で説明することだと思う。
以前、銀行系の仲介業者が重説を作成して、説明を私のお客さんが受けたときのことを良く思い出す。
銀行系の仲介業者の重説は細かさでは天下一品で、
添付資料だけで百科辞典のような分厚いファイルを用意して買主に渡すのだ。
長ーい説明を聞かされたお客さんはくたくたで、ほとんど聞いておらず、
早く終わらないかという顔をしている。
説明が終わって、
『何か質問ありますか』
という業者の問いに対して
買主さんが発した一言
『インターネットはどうなっていますか?』
それに対して業者が言った一言
『あとで調べて連絡します』
私『内心爆笑』
求められている説明が抜け落ちて、どうでも良い説明を長時間聞かされたと、
このお客さんは思ったことだろう。
それ以来、
私はこんなみっともない説明はしたくないと思い、
わかりやすく自分の言葉で説明できるようになりたいと思いました。
まだ今でも、
どれだけお客さんに伝わって理解してもらえただろうかと心配な日々を送っていますが。。。