リモートワークの今、大名の住まいに学ぶ

皆さん、こんにちは!
実は大河ドラマと時代劇が大好きな主婦、ヤマダです!

さて、皆さんは戦国時代や江戸時代の大名や武将ってどこに住んでいたかご存知ですか?

「城じゃないかな?」

「城の天守で寝起きしてたんじゃない?」

と言う声が聞こえてきそう!

実は私はそう思っていました!

が、どうやら違うらしく、日本の城のてっぺん、天守と呼ばれる部分で寝起きしていたのは、織田信長くらいで、他の武将はあまり城で生活していなかったようです。

じゃあ、一体、大名や武将はどこで暮らしていたのか。
その生活はどんなものだったのか。

ということで今日は、戦国時代、江戸時代の大名、武将たちの住まいについて調べつつ、そこから現代の住まいに取り入れられることはないのかを考えてみたいと思います!

大名の住まい



1. 大名、武将は天守に住んではいなかった

冒頭でお話しました通り、天守と呼ばれる城の最上部には大名、武将は通常住んでいませんでした。

まあ、それも頷けます。

だって現存する城の中で最高である姫路城で天守までの高さが31.5メートル、一番天守までの高さが低めの城と言われている備中松山城だって10メートル以上はあります。

(↓の写真は姫路城です)

大名の住まい2

当時はエレベーターだってありません。1階あたりの高さを2.5メートルと考えても30メートル以上上に上がるとなると、12階とか、そんな高さです。
さすがに毎日上がったり下りたりできませんものね。膝に来そうで(笑)
しかも昔の城って攻めにくいように階段の高さを高くしていたり、とんでもない角度、ほとんど梯子状態にしている城もあるので(長野の松本城が有名ですね)、年を取れば取るほど暮らしにくそうです。いや、子どもなら楽しんで住めるのかな?

(↓の写真は松本城です)

大名の住まい3

ちなみに本来城は攻められたときのことを考え、迷路のように曲がりくねった形で部屋が配されていたり、階段の場所が隠されていたり、はたまた直進しにくいように柱を何本も行く手に張り巡らせたりするものです。
しかし、織田信長が建て、現在は焼失している安土城はそうした仕掛けがあまりなかったといわれています。城までの道も本来なら、大群で押し寄せてこられないよう、狭い道にするのがセオリーであることに対し、安土城は広く開けた通りを配していたそう。
また、内装も現存するちょっと殺風景な他の城とは全然違って、金をメインカラーとした絢爛豪華な内装となっており、高価な絵が多数飾られていた、ともいわれています。
こうしたことからも、戦い目的ではなく、誰かを招く、あるいは自分の体を置く拠点として天守を捉えていたことが窺えます。

ただまあ、これは信長が特殊であったということのようで、通常の天守の使い方は、住宅としては使わず物置とか、有事の際、戦で籠城するときに使うというのが主な用途だったとか。

じゃあ、大名や武将はどこに住んでいたのか。

というと、御殿という別棟を建てて暮らしていました。

埼玉県の川越市に川越城本丸御殿が現存していますが、実は御殿ってあんまり残っていないのでこの川越市の御殿はかなり貴重です。

実際、私も行ってみたのですが、とにかく大きい!
畳を敷き詰めた広々としたお部屋が襖で仕切られながらいくつも連なっていましたし、庭に面した縁側からは、水の流れを模した砂の紋も美しい枯山水の庭が一望できました。
実際にこの縁側に座ってみたのですが、ここが実に居心地が良い!
陽光が燦燦と指しているので、床板が程よく温められ、座っているだけで眠気が押し寄せてきます。バスを待つ間のちょっとの時間、と思って腰掛けたのに、なかなか立ち上がる気が起きなくて、結局バスを一本見送ってしまったほどに(笑)

住人でもない私がここまでくつろいでしまうくらいですから、大名にとっても御殿は住みやすいものだったんでしょうね。

大名の住まい4

で、その御殿なのですが、調べてみると用途別に大きく3つのエリアに分かれていることがわかりました。

・表御殿
主に城主が政務を行う館として使っていたようです。
部下との会議、遠方からの来客との謁見、はたまた年末、年始など年中行事を執り行う場所としても使われていました。
対外的に使用する表御殿は豪華に作られるのが一般的で、襖や天井に煌びやかな装飾が施されていたそう。
たとえば、名古屋城の本丸御殿では、襖に大きな虎の絵が描かれており、「虎の間」などと呼ばれていました。この虎の絵で来訪者を威嚇していたともいわれています。
玄関は家の顔、とよくいわれますが、油断をすると命にかかわった時代だからこそ、入り口となる表御殿のこしらえによって、立場や強さの差を印象づけようと考えていたのでしょうね。

・中奥
中奥は城主が普段寝起きしていた場所になります。なので、居間や寝室となる部屋、また城主を守るために部下が控えている次の間という警備部屋などがあったそう。
公的な会議や来客対応以外の日常的な仕事や、側近との簡単な打ち合わせなどは中奥で行われていたようです。
半オフィシャル、半プライベートといったところでしょうか。

・奥
城主と城主の家族、傍仕えの女中のみが生活するスペースであり、完全なプライベートエリアになります。なので、仕事はここでは行いません。
中奥同様、居間や寝間があり、ここで城主は家族団らんを楽しんでいました。
家族は表に出ず、奥から城主を支えていた、という感じなのでしょうか。
ちなみに、江戸城で女同士がしのぎを削っていたあの有名な「大奥」はこの奥御殿のことを指します。

と、ここまで調べてきて、私はふと思いだしたことがあります。

それは、この公的エリアとプライベートを分けた作り、なにかと似ているな、と。



2. アメリカの家と近い

はい! なにに近いのかな〜と考えていて思いだしました。

以前「こだわりは国それぞれ」という記事を書かせていただいたのですが、その中に出てきたアメリカの住宅の作り方と考え方が近い!

大名の住まい5

なにが近いのか。

それは公と私を明確に分けているところです。

アメリカの住宅は玄関ホールがとにかく大きく、かつ豪華に、訪問客が楽しんでくれるよう、写真などもふんだんに飾ります。
リビングも同様です。

住む人のためではなく、来てくれる人がくつろぎやすいよう、絵画を飾ったり、座り心地のよいソファーを配したリビングが作られます。
ちょっと信長の城を思い出しますね。

では家族はどこでくつろぐのか、というと、玄関や来客用リビングとは分けた奥にファミリールームという形で家族用のスペースを設けています。

これかなり、大名の御殿の考え方と近くありませんか?

もちろん、住宅の規模にもよりますし、すべてのアメリカの住宅がこの仕様になっているとは限りません。
ですが、お客様をお迎えしやすい家を、という思いは集合住宅でもあるようで、リビングがやたら大きかったり、バスルームやウォークインクローゼットが複数あったりといったところからそれが感じられます。
バスルームが複数あれば、ゲストに泊まりにきていただいても快適に過ごしてもらえますものね。
また、共有部分が充実している物件が多いのもアメリカの特徴のようです。
共有のバーベキュー場があったり、テニスコートがあったり、プールやジムがあったり、というように。
こんなに施設が充実していれば、家同士の行き来をしても娯楽に困ることはなさそうです。コミュニケーションを大切にするアメリカらしい物件ですね。

おもてなしの精神はあるものの、日本だとおもてなしの精神がにじみ出るような物件は、面積的にもコスト的にもなかなか難しい(笑)



3. 現代の日本で大名の邸宅やアメリカ要素を取り入れることは可能か

と、ここまで大名の御殿とアメリカの住宅には共通点も見えるのでは、といった主観でお話をさせていただきましたが、実際のところ、これらの考え方を現代の日本の我々の住宅に取り込むとどうなるでしょうか?

私はありだと考えます。

もちろん、城主と家族が中奥と奥に分かれて寝起きするというのは不自然なので却下したいですが、プライベートとオフィシャルなワークスペースを間取りで分けるというのはありなのではないかなあと、感じます。

なぜなら現在はコロナも流行していてリモートワークが定着してきた社会だからです。

家で仕事ができる、というのは一見すると、時間を自由に使えて良いことばかりにも感じます。
確かに移動時間がない分、家事や育児に割く時間は増えますし、家庭での有事の際も身軽に動けますからその部分ではメリットはあると思います。

ですが一方で、オンオフの切り替えを自宅の中ですべてこなさなければならないストレスから、離婚や家庭内暴力に発展してしまう事例も多くなってきています。

リモート会議をしている後ろで子どもがゲームをしていたり、ワンコが走り回っていたり、という状況も、始めのうちは新鮮で微笑ましいものであっても、こう長くなるとさすがに仕事の進捗に影響が出ることも考えられます。

大名の住まい6

だとしたらいっそ、郊外へ物件を求め、オフィシャルな部分とプライベートな部分をきちんと分離できるような広い住宅へ住み替えてみる、というのも一つの選択肢ではないでしょうか。

あるいは、都心から離れるのが難しければ、メゾネットタイプの自宅を検討し、上下に空間を分けて使用する、というのもありかもしれません。上の階は仕事用、下の階はプライベート用、といった感じに。

実際、おうち時間が増えた2020年、2021年は通勤時間よりも自宅時間を充実できる家が注目される傾向にあります。

家族で過ごす時間が増えたからこそ、家族団らんができ、なおかつ、一人ひとりのプライベートも守られるような、そんな高機能ハウスが求められるようになってきたのです。

そう考えてみると、大名の御殿は私などから見ると魅力的にも思えます。

使用用途がエリアによってはっきり分かれていますから、気持ちの切り替えがとにかくしやすいですものね。

身分や立場によって生まれたエリア分けですから、その考え方すべてを継承することは抵抗がありますが、仕事のときは仕事、プライベートのときはプライベートといった行動による分け方とするならば、現代にも大名の御殿的要素は取り入れてみても面白いかもしれません。



4. 終わりに

実は最近、ゲーム「信長の野望」を旦那さんとやっております。
といっても、初期も初期。プレーステーション版の最初のものです。
これがなかなか深い!
軍備ばかりに目を向けると国が荒れ、国民が飢え、結果国が貧しくなって自分の首を絞めたりしますし、城の守りをおろそかにするとすぐ門が壊されて敵が入ってきたりします。

こう考えてみると、城を構えていた城主たちが住むためだけを考えて城を作れなかったのも仕方ないことだなあ、などと感じます。

私たちはそうした外敵が襲ってくる心配は確かにありません。その意味では幸せですね。

ですが、一人では生きていけないのは城主たちと同じで、家族や仕事関係者との絆を大切にしながら生きていかなければなりません。

もちろん、心がけでどうにかなる部分ではあります。が、心がけだけでは辛いときだってあります。

そんな心がけだけではちょっと大変、を住まいが解消してくれることもあるのではないか、今回、この記事を書いていてそう感じました。

家族だからといってフルオープンするのではなく、メリハリがある暮らし方。

コロナがいまだ流行し続ける現代において、大名の御殿はそんなメリハリのある暮らし方をするための一つの方法を私たちに示してくれているのではないか、そんな風に思うのです。

皆さまはどのようにお感じになられましたでしょうか?

今回は私の主観が濃い記事となっておりますので、あくまで一つの意見として聞いていただければと思いますが、今後、家を買う、家を借りるといったお住まいのご検討をされている皆さまの参考に少しでもなれば幸いです。

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