回る回るよワンコは回る〜ワンコも回る回遊動線の話〜
皆さん、こんにちは!
転勤族の旦那さんとおじいさんチワワと暮らす主婦、ヤマダです!
今日は旦那さんの実家での話をしようと思います。
ある日、旦那さんの実家に旦那さんと私、ワンコで帰省したときのこと。
「ワンコ〜、お散歩に行くよ〜。・・・あれ?」
ワンコがいません。
私
「ねえねえ、あの子、どこ行った?」
旦那さん
「え? さっき縁側で日向ぼっこしてたじゃん。いないの?」
私
「(いないから聞いてるんだよ、さっさと答えろい(# ゚Д゚))いないんだよ・・・」
探しましたが、やっぱりワンコがいません。
まさか外に出ちゃったんじゃ・・・と青くなったときでした。
旦那さん
「いた! いたよ、こっちに」
居間の方から声がします。慌ててそちらに向かうと・・・いません。
私
「いないじゃん」
旦那さん
「お前来たら走ってそっちから出てっちゃった」
私
「なぬう?!Σ(゚д゚lll)ガーン」
指さされたドアはさっき私が入ってきたドアとは逆のドア。
この家の1階部分には、台所、居間、お義母さんの寝室、そしてトイレとお風呂、洗面所があるのですが、トイレ、お風呂、洗面所を除いたすべての部屋に2か所ドアがあり、そのドアをすべてくぐれば、ぐるぐると家の中を回転できるようになっていたのです。
つまり、ワンコは、私が居間に入って来る前にお義母さんの寝室に移動し、水回り前の廊下へ。私が追いかけてきたら廊下を抜けて台所に入り、隣接している居間へと移動していたのです!
さながら、プレイステーション2のホラーゲーム、SIRENにて、ゾンビと化した村人から身を隠すため、村人の死角へ死角へと移動する主人公のように・・・。(古い上にもしかしてマイナー・・・?)
あいつ、なんのつもりじゃい!!
結局、数分間の追いかけっこの末、なんとかワンコを捕まえることができましたが、まーその顔がものすごいにっこにこ。
どうやらこんな風にお部屋同士が繋がってくるくる回れるのが面白くて、追いかけっこ気分を満喫していただけのようです。
まったく・・・。
ただ、おじいさんチワワの気持ちを高揚させるワクワク感は確かにこの間取りにはあります。
なんていうか・・・見慣れた家なのに違う入口から入ることで毎回、新鮮な気持ちになれるというか。
このようなくるくる回れる、部屋と部屋同士をコンパクトに繋げられ、多様なアクセスが可能になる動線のことを、「回遊動線」というそうです。
回遊動線がある家の特徴として、昔からある日本家屋なんかはこの動線があったりします。反対に海外の住宅を見ると、一つひとつの部屋が独立しており、ドアも一か所にしかない作りが多く見受けられます。
畳に障子、襖の日本と違い、押し開き、引き開き扉の西洋では部屋に鍵をかけるのがごくごく当たり前で、セキュリティ意識も高いですから、あちこちから自在には入れてしまうような間取りは受けないのかもしれません。
しかし、主婦にとって回遊動線が確保された住宅はとても人気が高いと聞きます。
なぜ、人気が高いのでしょうか。
回遊動線が人気なわけ、回遊動線だからこその弱点を考えていきたいと思います!
1. 回遊動線が主婦に人気な理由
そもそもなぜ、回遊動線が確保された家が主婦に人気なのか、理由は以下が考えられます。
・主婦には時間がないから
・主婦は家の中をまんべんなく毎日駆け回っているから
この辺りは大きいと思います。
とにかく主婦は時間がありません。
私には子供はいませんが、お子さんのいるご家庭であればほんっとに時間はないと思います。
朝ご飯を作って、洗濯機を回して、子供を起こして、朝ごはんを食べさせて、洗濯物を干して、子供に出かける準備をさせて、子供を送り出して、朝食で使ったお皿を洗いつつ、夕飯用に炊飯器にお米をセットして、自分も仕事に行く準備をして、行く前に観葉植物に水をあげて、とかとかとか。
これを部屋の移動を軸に見てみましょう。
台所 → 洗濯ルーム → 子供部屋 → ダイニング → ベランダ → 子供部屋 → 玄関 →台所 → 寝室 → ベランダ・・・・・。
朝の短い時間でこれだけの移動です。
さすがに萎えます。
こうした悩みを解消する救世主に、回遊動線を取り入れた間取りはなり得るのです。
回遊動線を取り入れることで得られるメリットをまとめてみました!
① 家事の動線がスムーズになる
② 家の中で渋滞しない
③ 家族に声がかけやすい
④ 家の中でも新鮮な気持ちでいられる
順にご説明します!
① 家事の動線がスムーズになる
先ほどご説明した通り、主婦にとって動線は命です。
朝ごはんを作りながら洗濯機を回し、子供部屋へ向かって子供を起こしたりします。なので、廊下が途中で行き止まりになっていたり、決まった方向にしか抜けられないようになっていると、いちいち回り道をしないといけないということになるのです。
たとえば、台所の隣に洗濯ルームはあるけれど、子供部屋に行くには、洗濯ルームで洗濯機を回してからもう一度台所に戻って、さらに居間を通り抜けてからでないと行けない、というような、ひょろ長い上に動線が直線的な間取りでは、移動分の時間が多くかかります。
しかし、洗濯ルーム側、台所側、双方から子供部屋に抜けられるような、多方向の動線が確保できる間取りであればどうでしょう。移動時間は確実に短縮になります。
主婦にとって重要な時短が、回遊動線では可能になる、ということですね。
② 家の中で渋滞しない
公道でもそうですが、同じ方向でありながら違う目的地へ向かっている場合、目的地までのルートが限られているとどうしても、
「どこ行くのか知らないが、さっさと行けよ〜。後ろ詰まってるんだよ〜」のように、渋滞が起きることがありますよね。
さすがに住宅内で公道レベルの渋滞は起きませんが、それでも、狭い廊下を洗濯物を抱えた母親と、学校へ行こうと玄関へ向かう子供がかち合い、すれ違う際に、
「狭い・・・」
と感じることもあると思います。
しかし、回遊動線が確保された間取りであれば、一方のルートが塞がっていても、他方のルートから目的の部屋へ向かえるので、家の中での狭さも実感しにくくなり、渋滞も起きにくくなります。
欧米の家と違って、狭い土地に多くの設備を詰め込まざるを得ない日本の住宅において、狭さを感じさせない工夫は重要です。
その点、回遊動線を用いた間取りは住人に狭さを実感させないので、日本の住宅に適した間取りといえそうですね。
③ 家族に声をかけやすい
回遊動線はくるくると回れる動線と申しました。
つまり、動線を繋ぐと円を描けるということですね。
円には中心点があり、中心点から各拠点は移動距離が短くなります。
距離が短ければ、それだけ移動も楽になるため、それぞれの拠点にいる家族とのコミュニケーションも密に取れます。
たとえば、リビングを中心に子供部屋、水回りなどができている家の場合、リビングから洗面所にいるお父さんのところにも、子供部屋にいるお子さんのところにも、リビング経由で短い時間で行くことができます。
これが、リビングが部屋の一番手前にあり、奥に向かって伸びた一本の廊下に沿って洗面所、子供部屋、寝室などが配置されている間取りであると、手前にある洗面所には早く行けても、子供部屋に行くには少々時間がかかります。
「家の中だし、そんなちょっとのタイムロスに目くじら立てなくても・・・。取ろうと思ったらコミュニケーションなんてなんとでも取れるじゃん」
と、うちの旦那さんあたりなら言うでしょう。
が、それは甘い!
家事を手伝わない君にわかるものか!!!(←いかん、つい日頃の恨みつらみが・・・失礼しました)
主婦は時間がないのです。ちょっとの時間で全部済ませなければ回らないのです。
家事負担が増えれば、それだけ心のゆとりも減ります。自然、コミュニケーションに傾ける情熱も減ります。毎日の作業でいっぱいいっぱいですから・・・。
しかし、回遊動線ならば、家事をしながらでも家族への声かけが可能になります。
ありがとう、も、ごめんね、もきっちり伝えられます。
高齢者や小さなお子さんのいるご家庭であれば、ちょっと目を離した隙に思わぬ家庭内事故に見舞われる、という話も珍しくありません。
その点、回遊動線が用いられた住宅なら、短い距離で移動ができるのでこまめに様子を確認できます。
安全な住まいを求めるなら、回遊動線は押さえておきたいポイントのようです。
④ 家の中でも新鮮な気持ちでいられる
冒頭でお話したワンコとのエピソードがまさにこれかもしれません(笑)
特定のルートしか想定できない動線であればこんな遊びはなかなかできませんからね。
ちなみに、義実家での追いかけっこはワンコだけではなく、親戚の子供にも人気で、親戚が集まるときなどはよく、どたどたと鬼ごっこをしています。
遊園地でもそうですが、回るもの、回れる場所ってなんだかワクワクするんですよね(笑)
また、それ以外にも回遊動線を用いることで、心理的効果が生まれるのでは、と私は考えています。
たとえば、目的の部屋へ向かう際、最短ルートで目的の部屋に到着し、素早く家事を済ますことができると、
「私、超てきぱきこなせてない?!」
と自分自身の家事の達成度が高く感じられるようになる、というように。
ルート短縮できたのは間取りのおかげでも、そのルートを使いこなしているのは自分なわけなので、自己肯定感も上がります。
家事をしてもなかなか褒められない。
↑ これが主婦にとっては辛くも悔しくもあるところ。
でもだからこそ、せめて自分は自分の家事を褒めてあげたい。
そんな気持ちを、回遊動線を利用した間取りなら応援してくれそうな気がします。
2. 回遊動線にも弱点がある
と、良いことばかり言ってきましたが、回遊動線にも実は弱点があります。
それは、
① 落ち着かない家になる場合もある
② ドアを設け過ぎて収納が減ることもある
です。
順番にみてみましょう。
① 落ち着かない家になる場合もある
回遊動線の場合、一方向ではなく、多方向から部屋へアクセスできるようになります。
動線が多数あり、ケースによって動線を選べるという意味では利点ですが、それによって人の気配が邪魔になるような部屋の場合はマイナスに働きます。
たとえば、子供部屋と書斎が隣り合っているとします。双方とも廊下側に出入り口がありますが、もう1つ、子供部屋と書斎を区切る壁にも出入り口があるとしましょう。
書斎でおちついて在宅勤務をしたいのに、子供部屋と繋がっているがために、子供たちが悪気なく書斎になだれ込んでくるようになります。
しかも、廊下に一度出てから書斎に入る、というより、ダイレクトに書斎に入れる状況は心理的にも垣根がかなり低くなります。「隣だしいっか〜!」みたいな感じですね。
もちろん、コミュニケーションは密になるので良い面もあります。
しかし、仕事をしているときだとそのフランクさが障害になることもあります。
このように、回遊動線も作る場所によって問題が起きる場合もあることは押さえておく必要があると思います。
③ ドアを設け過ぎて収納が減ることもある
回遊動線は最小限の距離で部屋同士を行き来できるようにする動線であるため、部屋と部屋の間の壁に扉を設けることがあります。
壁だったはずの場所に出入り口が作られる、ということは、本来壁だったら置けたはずの本棚や衣装ダンスなどが置けなくなる、ということになります。
一度開けてしまった扉を使わないことにして戸棚を置くこともできますが、開かずのドアを作るのはやはり気分が良いものじゃありませんよね。
風水的にも開いているものを塞いでしまうのはあまり良くない、と言いますし・・・。
ちなみに、先日うちの実家に久しぶりに帰省したら、台所から戸棚が1個処分され、その後ろにドアが出現していて大層驚きました。なんでも北側のお部屋から直接台所に出られるそのドアは、あまり使われておらず、なおかつそのドアがあると棚が置けなくて食器が入らないから仕方なく塞いでいたとのこと。
私の生まれる前からある家だったからか、そんなところにドアがあるなんてまったく知らなくて、本当にたまげました。風水的に大丈夫だったのか、検証はできていませんが気になるところ・・・。
とまあ、脱線してしまいましたが、このように回遊動線を作ったがために収納が減ることもあるのでご注意を!
3. 購入の際はシミュレーションが大事
ここまで回遊動線の良いところ、悪いところをみてきて、回遊動線を導入する前に考えておくべきことがわかってきました。
それは、
・その回遊動線を作ることで本当に移動時間は短縮できるのか
・家族の誰かが我慢するような間取りになっていないか
です。
回遊動線は、回れるような間取りを作ることで、さまざまな部屋や設備とのルートをスムーズ、かつコンパクトにできる素晴らしいものです。
しかし、回れるようにしておけば必ずしも移動がスムーズになる、というわけでもありません。
たとえば、すべての部屋を繋げて大きな円になるような、円周が長くなるような回遊動線だと、中心点を挟んで向かい側の部屋に行くには、大回りをしていかねばならなくなり、かえって移動に時間がかかってしまいます。それでは回遊動線の良さがいかされません。
一つひとつの設備がそこそこ近く、なおかつ移動距離も少なくなるような、小回りの利いた回遊動線が重要なのです。
また、前述の子供部屋と書斎の関係のように、各人のプライバシーが回遊動線によって侵されてしまっては、コミュニケーションが密になるどころか、家族間の空気がギスギスする原因となってしまう可能性もあります。
こうならないよう、回遊動線を設けるなら、
・どことどこが回れるようになっていれば便利になるのか
・各人のフィールドと家族の交流の場所はきちんと分けて考えられているか
を注意したいところですね!
ということで!
今回は回遊動線について考えていきました!
これからおうちを作りたいとお考えの方、または、中古マンションのリフォームをお考えの方、はたまた、なかなか売れないので売れるようにリフォームして売り出したいとお考えのオーナー様など、住まいについてお悩みの方の参考に少しでもなれば、幸いです。