高低差のある土地はそんなに住みにくいのか

皆さん、こんにちは!
趣味はワンコと散歩の主婦、ヤマダです!

以前、「坂の上に住んでみた!」の記事にて、坂の上に住むことのメリット、デメリットなどをお話したことがあります。
その際、坂の上にはそこそこのデメリットはあるにせよ、メリットも多いことをお伝えしましたが、実際、住み始めて1年。坂の上に住むメリットの1つ、足腰の強化には成功しており、おかげさまでアスリートさながらのりんりんした筋肉が育ってきております。

ワンコも年は重ねておりますが、老犬にしては良い筋肉だとかかりつけのお医者様に褒められております(笑)

さてさて、そんな坂の多い街に暮らすようになり、気づいたことがあります。

この街、山のふもとに広がるせいか、斜めの土地に建てられた家がほんとに多い!

結構な斜面に日本古来の城みたいな石垣状の土台が作られ、その上に3階建てのすごい建物がそびえ立っていたり、1つの家でありながら、斜め上に伸びるように段々に作られた家が建てられていたりします。斜めに伸びた家は、まるで山を登るケーブルカーのようです。

日本は平地が少なく、山や丘のような高低差のある土地は全国土の約7割を占めるといわれています。
(参考:一般社団法人国土技術研究センター
http://www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary07 

となれば、高低差のある土地に住居を構えることも珍しくありません。

しかし、こうして眺めてみる限り、高低差ゆえに苦労も多いようにも・・・。

というわけで今日は、高低差のある土地に建つ住居は本当に住みにくいのか、について考えていきたいと思います。

高低差のある土地

1. 高低差のある土地の家のイメージ

高低差のある家のイメージといえば、

・家の中は段差がいっぱいで足腰にきそう
・平地の家より建築コストがかかりそう

などのマイナスイメージがつきまといます。

特に費用面については実際に平地よりかかることも多いようです。

なぜコストがかかるのか。

それは以下の2点ゆえといわれています。

① 整地に手間と時間がかかる
② 高低差のある土地に建物を建てるには平地よりも技術がいる

順に確認してみましょう。

① 整地に手間と時間がかかる
家を建てる場合、地面上に建材を組んで積み木のようにただ家を建てればいい、というわけではありませんよね。

しっかりとした地盤の上に建てられていなければ、地面上のちょっとした変化で家が沈没してしまうことも、倒壊してしまうこともあり得ます。

そうならないよう、土地を整備していくのですが、高低差のある土地の場合、斜めの土地にいきなり基礎は組めないので、以下の工事が必要になってきます。

・造成工事

そもそも高低差がある、といっても、自然発生的に段々の階段状の土地があるわけではありません。もともとあるのは傾斜がついた土地です。
その傾斜がついた土地を、家を安定して建てられるような平地にするためには、斜面に平地を切り出して作っていく工事が必要となります。
それが造成工事です。
ちなみに、平地でも土地に生えた木を伐採してならしたり、凹凸を埋めたりする工事を造成工事といいますが、傾斜のある土地の場合、工事が大規模になるため費用が余分にかかるケースが多いようです。

高低差のある土地2

・擁壁工事

高低差のある土地を利用する場合、建物の重さや雨水の浸水により、上の土地と下の土地の間の壁部分が崩れてくる危険が生まれます。そうならないよう、斜面にコンクリートや石などで壁を作り、補強しなければなりません。
そのための工事が擁壁工事となります。
よく高速道路や、山沿いの道を歩くとコンクリートブロックが斜めにそそり立っていますよね。あれが擁壁です。

高低差のある土地3

・地盤改良工事

切り出した土地が建物を支えられるくらい強ければ問題ないのですが、建物を支えるには強度が足りない場合、補強しなければなりません。
そのための工事が地盤改良工事になります。
土地全体を掘り返してコンクリートと混ぜて固める方法や、地盤に穴をあけ、コンクリートや鋼の柱を埋め込んで強度を上げるものがあり、求める強度によって工法は選択されます。

これらの工事が通常の整地とは別に必要になってくるとすれば、やはり高低差のある土地に家を建てるというのはなかなか大変なことといえそうですね。

② 高低差のある土地に建物を建てるには平地よりも技術がいる

高低差がある土地の場合、土地に合わせて家も設計、建築しなければなりません。
同じ間取りの住宅を量産するやり方が高低差のある土地ではやりにくい、ということになります。
そうなってくると、高低差を利用した家の建築に長けた業者を探さなければならなくなるので、業者選びに難航するという例も少なくないようです。

高低差のある土地は平地よりも安価で売り出されているケースが多いですが、土地の安さだけで購入を決めると痛い目を見てしまうかもしれませんね・・・。



2. 高低差があるからこそのメリット

と、デメリットばかりが続きましたが、現在住んでいる街の状態を見回す限り、高低差のある土地には大変さ以上の魅力がある!と私は感じています。

どんなメリットかというと・・・。

① 見晴らしや日当たりに恵まれやすい
② 他とは違うユニークな家になりやすい

1つずつみてみましょう!

① 見晴らしや日当たりに恵まれやすい

傾斜のある土地の場合、平面と違って少しずつ建物の高さがずれていきます。
映画館や劇場を想像していただけるとわかりやすいかもしれません。
前の人の頭が邪魔にならないよう、椅子の高さが調節されているおかげで視界は良好ですよね。
(ま、まあ、目の前の席にコック帽の料理人が座らない限り・・・)

ようは高低差を利用して建った家の場合、斜面の下部に高層住宅が建築されない限り、日当たりや見晴らしを邪魔される心配がない、ということですね。

これはかなり有り難い話ですよね!

ちなみに私の住まう街は山のふもとから段々に家が建っている区域もあるのですが、その区域ではまだまだ自然も多く、青々とした木々がそこかしこに見られます。

そうした木々をテラスや窓から見られるように設計されたのではないかと思われる家も見受けられます。
そう考えてみると、高低差のある土地に建てられた家は、平地に建てられた家よりも、景色に恵まれているといえそうです。

また、見晴らしがよいということは、自分の家の窓と同じ高さには他家の窓ができにくいということです。
つまり、不用意に覗かれる心配は少なくなります。
他者にわずらわされず静かに生活するには、もってこいの場所ではないでしょうか。

注意点があるとすれば、道路よりも下に家が作られる場合です。この場合だと、1階部分からは見晴らしや日当たりが望めないこともあります。
ただ、その分、外界から隔絶された雰囲気は強く味わえるので、書斎やアトリエを設けるのに適しているといえそうですね。

高低差のある土地4

② 他とは違うユニークな家になりやすい

ワンコと散歩をしていて、山の方の散歩コースへ進むと思います。
あんまり見かけないようなユニークな家が多いな、と。

一体、どんなアイディアの元、建てられているのか。

ということで、高低差を利用するとどんなデザインが可能になるのか、調べてみました!

パターン1 フロア差を利用して、テラスにする

マンションでいうところのペントハウスのような作り方が高低差のある土地に建った家では可能になります。

ペントハウスとは、マンションの最上階、フロアまるまる使った部屋です。中でもよく見かける間取りとして、フロアの一部が大きめのテラスとなっているものがあります。
テラスがある場合、テラスの床部分は下階の天井部分ということになりますが、高低差のある土地であればそれと同じ作り方が可能になります。

たとえば、土地の低い方にガレージと玄関を設置し、高い方にリビングやキッチンなどを作ります。このガレージの屋根にテラスを設け、リビングから出られるようにする形です。
下階の屋根部分を利用した設備が高低差のある土地であれば作りやすい、ということですね。
また、なかなか広さを確保しにくい斜面の土地であれば、庭代わりに屋根を利用するというのは実に有効な使い方といえそうです。

通常の平地の家では屋根を利用しようという発想には至りませんが、屋根が視界に入りやすい高低差がある土地だからこそ、このような発想が生まれるのかもしれません。

高低差のある土地5

パターン2 高低差を利用してライフ拠点を分ける

敷地の高低差を利用して、二世帯住宅にする、というデザインもあります。
アップダウン少なく過ごせる下階を親世帯が、傾斜を上がる必要のある上階部分に子世帯が、というように高低差で生活拠点を分ける造りです。
確かにこうすれば、足腰の悪い高齢者にも負担が少なく済みますし、高低差によってつかず離れずの関係が作りやすいですよね。

そう考えてみると、たとえば、共働きで活動時間が逆になるような夫婦でもこのやり方はありかもしれません。
高低差によって物理的に離れることで生活音が届きにくくなり、余分な気遣いも少なくて済むからです。

我が家もお休み前は旦那さんが夜更かししてうるさくてかなわないので、高低差のある家、熱望してしまいます。

高低差のある土地6

パターン3 高低差を利用してステップフロアにする

ステップフロアとは、階段でいうところの踊り場のように、階と階の間にもう1つ作られたフロアのことです。1階同様、2階の床が1階の天井となるフロアです。

高低差のある土地ですと、下階から上階へ向かう段差がどうしても多くなります。その段差を、ステップフロアを階段途中に作ることで苦にさせないようにできるわけです。

確かに長い階段をひいひい言って上るより、ステップフロアが間に挟まっている方が、階段を上る際のリズムも良さそうに感じます。

ステップフロアの利用方法としては、子供部屋にしたり、収納庫にしたり、書斎にしたり、とさまざまな利用が可能です。

私だったらおそらく書斎にします(笑)

パターン4 メゾネットタイプの集合住宅にも

高低差のある土地、というとなんとなく一軒家のイメージが強かったのですが、高低差を利用して建てられた集合住宅もあります。

以前、とある企業で事務をしていた際、社員寮として借りられる部屋を探す仕事をしていたことがあり、そのときに出会った物件で高低差がある物件がいくつかありました。

賃貸用の集合住宅ですと、一部屋当たりの面積もそこまで取れません。それゆえ、高低差があると集合住宅として使うのはなかなか難しいように感じていたのですが、内見した物件にはさまざまな工夫が施されていました。

見ていてすごいな!と思ったのが以下の工夫です。

・1階を玄関と専用駐輪スペースにして、完全メゾネットタイプにする
・段差が生まれる部分をデスク状にして書斎にする
・収納スペースとして高低差を利用

一人暮らしだと玄関を開けたらすぐ居室、みたいな味気ない間取りにどうしたってなってしまいやすいものです。が、メゾネットだったり、階段途中に書斎や収納スペースが設けてあったりすると、部屋自体にメリハリが出て、暮らしている方もなんだか張りが出ます。

特にメゾネットは賃貸にせよ、分譲にせよ、大変人気が高い様式です。
そのメゾネットをともすればマイナスポイントになりそうな高低差を利用して作り出すなんてなんと素晴らしい!とちょっと感動したのを覚えています。

そう考えてみると、蜂の巣のように同じ間取りになりやすい集合住宅こそ、高低差のある土地に建て、他にはない付加価値を部屋に持たせる方が、借り手も買い手もつきやすいのかもしれません。



3. 終わりに

新型コロナウィルスの影響から、都心ではなく、都心に出やすい土地でありつつも人が密集しない街への移住がここ最近、見られるようになってきています。
出社を義務化せず、リモートワークでの業務へと移行し始めている企業が多くなったことにより、「職場へのアクセス」よりも「健康的に暮らす」が重要視されるようになってきたということなのでしょうね。

また、コロナ禍では家にいる時間が増えたことから、いかにメリハリのある生活を送るか、も大切になってきています。
そういった意味で考えると、高低差を利用して建てられた家は、リモートワークにも適した家といえるかもしれません。メゾネットやステップフロアも導入しやすいため、仕事モードとプライベートモードのメリハリをつけやすいですからね。

それにしても、どんな土地であれ、考え方によって活かす方法があるんですね。
ますます不動産に対する興味が沸いてきたように思います!

ということで!
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の記事でまたお目にかかれれば幸いです!

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