縁側のある生活って?

皆さん、こんにちは!
前世は猫だったのか、というくらい日向ぼっこが大好きな主婦、ヤマダです!

さてさて、今日のテーマは縁側!

なのですが、皆さんのお宅には縁側、ありますか?

私の家には・・・・ありません!
けど、実家が昔ながらの日本家屋なので実家にはあって、そのせいか縁側に深い馴染みを感じています。

私の縁側にまつわる一番古い記憶は今から三十年以上前、曽祖父の記憶です。
当時、私の実家はほそぼそと田んぼをやっていたようで(家族が食べられる程度のお米を作っていたそう)父も母も日中は家にいませんでした。
そんなとき、まだ幼かった私の面倒を見てくれていたのが曽祖父なのです。
曽祖父は私が五つになる前に亡くなったので、あまり記憶が定かではないのですが、縁側に並んで座り、ミカンを食べていた記憶がぼんやりと残っています。
まだ幼くて上手に皮が剥けずそのまま食べてしまい、皮だけぺろりと出すと、曽祖父が口から皮を取ってくれて、新しいミカンを口に入れてくれる。
そんな記憶です。

残念ながらミカンの味は覚えていないけれど、お尻を温めてくれていた縁側の感触や白っぽい太陽の光なんかはいまだに記憶の中から消えていません。

というわけで、私にとって縁側はとっても特別。
そんな縁側の魅力や、現代家屋での縁側の持ち方などお話していきたいと思います!

縁側



1. 縁側とはなにか

縁側とはそもそもどういうものなのかからまずは考えてみましょう。
ということで困ったときの辞書頼み。

“和風住宅で、部屋の外周部に設け、廊下や出入り口として用いる細長い板敷き。雨戸やガラス戸と部屋との間に設けるものと、雨戸やガラス戸の外側に、通常庭に向かって設けるものがあり、後者は「濡(ぬ)れ縁」ともいう。”
出典:講談社 家とインテリアの用語がわかる辞典について

ふむふむ。なるほど。一口に縁側と呼んでいましたが、実は分類が細かくあるようですね。
私の実家にあったのは、家の中にあるタイプで、こうした家の延長にあるものを「入側縁(いりかわえん)」「広縁」というそうで、縁側とされるのはこちらのタイプが主流のよう。逆に家の外、ガラス戸の向こうにあるものは濡れ縁、あるいは落ち縁などと呼ぶことが多いようです。(一段下がったところにあるため)。
また濡れ縁の作り方でも呼び名があるようで、簀の子のような水はけのよい形状だと簀子縁と呼ぶとか。

縁側 2

私の世代だと縁側がある家に住んでいた人も多かったように思いますが、ここ数年、縁側がある家って減ってきていますよね。
理由としてはやっぱり縁側とは和風建築のものであり、現代では和風よりも洋風の住宅や集合住宅での生活が当たり前になってきているからでしょう。
また、そもそも面積が限られている日本の国土において、居室ともいえない微妙なポジションにある縁側に面積を割く、というのがあんまり一般的ではなくなっているからかもしれません。

ただ、縁側の素晴らしいところってまさにその「微妙なポジション」なんですよね。
部屋とはいえないけれど、完全に外じゃない。
部屋の中にいるけど、外の空気感も伝わる。

というわけで次項では縁側の魅力について考えていきましょう!

2. 縁側の魅力

時代劇などで見られる縁側は、客座敷にいる主君を、部下が縁側というか外廊下からお守りするために使われている、という印象が強いですが、庶民の生活における縁側は、生活を楽しむツールとしてのイメージが勝っているように感じます。
生活を楽しむためにある、というイメージが強い理由は、縁側に以下の魅力が備わっているからではないでしょうか。

① 外界の空気や光を柔らかく部屋に取り込める
② 人と人の距離を近づけられる

では一つずつみていきましょう。

① 外界の空気や光を柔らかく部屋に取り込める

日本は四季のある国。春夏秋冬それぞれの空気や光を楽しめるのが魅力です。そしてその空気や光を昔から日本人はとても大切にしています。
ただ、だからといって外には住めません。四季があるということは夏のうだるような暑さや冬の身を切るような寒さもあるということですから。

しかしそんな過酷な夏や冬だって、縁側を使えば上手に楽しめてしまうのです。

たとえば夏の暑い日の場合。
暑さはあまり家に入れたくありません。しかし、夏らしいまっすぐな光を目にしたいそんなとき。
居室の延長に縁側があったらどうでしょうか?
そのままだったら夏の暑い日差しが居室を焼いていたところを、縁側を介することで太陽光の直接の暑さも眩しさも和らいだ状態で室内へもたらされます。

反対に冬の場合。
冬はとにかく寒いです。特に窓の傍は凍りそうな冷気が部屋ににじり寄ってきます。
しかし居室の手前に縁側があると、夏の場合同様、冷気をワンクッションさせた状態で部屋に入れることとなるため、冷たさが和らぎます。
また、冬は太陽が低く、日差しが深く部屋に入りやすくなっています。そのため、縁側も程よく温められます。温められた縁側であれば、暖房がなくても快適に過ごせます。
これはかなり有り難いです。エコですしね。

サザエさんのお宅にも縁側があり、波平さんが庭をのんびり見たり、ネコのタマが丸くなってお昼寝していますが、ああいう穏やかな生活も縁側があれば可能、というわけですね。
外でも内でもないけれど、外出せずとも気軽に外気分が味わえる。

うん!縁側、やっぱりいい~!

縁側 3

② 人と人との距離を近づけられる

私の実家では、お客様は基本的に玄関から訪ねてきません。
畳一畳半はゆうにあるたたきを備えた立派な玄関があるのに、なぜか皆、仏間側の縁側から出入りしているのです。
確かに玄関から入ると居間に到達するのに、寒くて長い廊下を通らないといけません。縁側からなら直通で居間、仏間なので、便利なのはわかります。しかし、だからといってなんでみんなそろいもそろって縁側から来るねん、とずっと思っていました。
だって、居間でだらだら寝転がってポテチを食べていると、突然がらっと縁側のガラス戸が開けられ、

「おおい、柿たくさん採れたからおすそわけにきたよ~! ・・・昼間っからそんな恰好で女の子がお菓子食べて~。太るよ。ふふふ」

などと、柿をたんまり抱えた近所のおばさんに笑われるんですよ。
多感な年ごろの女子だった私にはきつかったのなんのって(笑)

けど、もちろん良いこともたくさんありました。
たとえば両親が外出していて妹と二人で留守番をしていたとき。突然妹の具合が悪くなって嘔吐してしまったのです。
おろおろして半泣きのところに偶然、ご近所さんがおすそわけを持って現れて、

「あら~!大変!まずはタオルタオル!それと着替えね!着替えさせたらお布団に連れて行きましょ!熱も測ろう!」

と、てきぱきと世話を焼いてくれ、本当に助かった記憶があります。

もちろん、昭和の田舎での話なので、都会にはそぐわないかもしれません。しかし、玄関と縁側を比べたとき、縁側の方が敷居は低かったように感じます。
私自身、私の実家と同じように縁側から出入りする習慣のあるお宅の方が気軽に遊びに行けた覚えがありますから。反対に玄関からきっちり入るおうちの場合は「あそぼー」というのにも緊張したような。

玄関が「ここから先は私の家です」と明言しているのに対し、縁側は「どうぞどうぞ。お入りくださ~い」と外部に向かって開かれているというイメージですね。

3. 縁側の弱点

良いところばかりを言ってもなんなので、弱点も挙げていくと・・・。

① 日差しが入り過ぎて建材が傷む
② セキュリティ上不安がある

まさに長所があってこその短所、といったところでしょうか。

① 日差しが入り過ぎて建材が傷む

実際、私の実家の縁側ですが、貼られた板の端が膨張してしまって少しひび割れが見られました。長時間温められるので、どうしても建材は傷みやすくなってしまうんですよね。
また、夏の暑い盛りは縁側側の窓の枠がとんでもない熱を持っていて、外から開けようとしたとたん、「熱!」となったことが何度かあります。

② セキュリティ上不安がある

私の子供時代のような、ご近所みんなでコミュニティを作っていたような時代であれば、縁側は素晴らしいスペース、とだけいえたかもしれません。
しかし令和の今、世の中は思った以上に物騒ですよね。
昔は良かった、なんて野暮なことは言いたくありませんが、昭和のころのようにただ近所の人と交流を楽しめた縁側が懐かしくもあります。
とはいえ、昔とまったく同じ形式の外からみて入りたくなるようなオープンな縁側は今の世にはそぐわないとやはり思います。
外部から見て、大きなガラスでのみ施錠された家なんて、「どうぞ存分に割ってお入りください!」と言っているのと同じですからね・・・。
そういう意味で、縁側はセキュリティに不安があると言わざるを得ません。

4. 現代家屋に縁側を持つなら?

そもそも和風建築が減ってきた今、縁側を持つことは不可能なのでしょうか?
そんなことはありません。
室内面積にもよりますが、購入した家や部屋をリノベーションして後から縁側を作った事例も存在しています。
また、縁側を作りたいけどリノベーションはちょっと、ということであれば、窓から見て、1メートル付近の床にフローリングカーペットやラグを敷いた上で、突っ張り棒やカーテンレールを天井部分に配してレースのカーテンを引いたりするだけでも、縁側空間を作ることができます。お昼寝用の椅子を置いたりするとかなり雰囲気が出て良いですよ♪

縁側 4

また、縁側というよりは濡れ縁になりますが、ウッドデッキをポーチやバルコニーに配した物件も多く人気が高いです。ちょっとしたベンチを置いてティータイムをするなど、お友達同士で交流もしやすい辺り、縁側に近いですね。集合住宅においてはベランダをDIYしてウッドデッキに改造している方も多く見られます。
濡れ縁のような日本的な色合いは少なくとも、濡れ縁で感じられたような、外部を身近に体感できる空間を演出してくれるからでしょうね。

縁側 5

そのほか、庭で夕涼みするときに使われる縁台(よくお団子屋さんにある長い椅子ありますよね。あれです)が普通に通販で売られていて、それをベランダやお庭に置いて濡れ縁のようにして楽しむというやり方もあります。

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