衝撃的だけどあたり前なニュース
神奈川県でアパート空き家率が35%に急上昇
今、賃貸で不気味に多くなっているもの、それは空き家です。
実は先にもこの空き家問題について取り上げさせていただきましたが、それからまた一段と深刻になっています。
空き家で使用できないものは国や地方自治体で解体時に補助金が出られたりしていて、
解体し売却すれば良いわけですから皆さんあまり気にされていないように思います。
一定の要件を満たせば、売却時3000万円の税金控除も受けることができるという時限立法もありますから。
しかし、問題は賃貸用のアパートです。
この賃貸用アパートが昨年の夏以降から空いているお部屋が急に増えてきたことに皆さんは気づいておられますか。
上記グラフの調査会社発表によれば、昨年の夏以降、空き家が一気に急上昇しています。
さて、昨日、テレビ東京の人気番組WBSワールドビジネスサテライトで「神奈川県のアパートの空き家率が35.5%に急上昇」放映していました。
既に3軒に1軒が空き家という現象が起きています。
実は、東京でも、埼玉でも、千葉でも昨年の夏以降からアパートの空き部屋が急に増えてきたんです。
どうして、こんなに空き部屋が急上昇しているのでしょうか?
これには平成27年1月実施された相続税の増税(相続税がかからない基礎控除額が大きく引き下げられた)がとても関係しています。
この相続税の増税で、今まで相続税がかからない層にも相続税がかかるようになりました。
結果「相続税対策は賃貸経営が一番」というアパート建築業者の甘言でアパートを建築した大家さんがたくさん登場したのです。
不動産会社も建設会社と組み、相続税対策のためには土地の有効活用のためにアパート建設が一番と言い、
また地主さんも一緒に相続税対策、節税対策でアパートを建てた人が急激に増えたたのです。
これには追い風もありました。アベノミクスによる史上最低金利、マイナス金利です。
マンションと違いアパートは工期も短いので、また一斉に相続税対策が起こった影響は一気にやってきました。
現状は賃貸市場で競争が激化し、家賃下落に歯止めがかからなくなり始めています。
首都圏は相続税増税とアベノミクスによる市場最低金利、マイナス金利により新築賃貸物件がどんどん建っています。
しかし、入居者はどんどん減っています。人口は減っているのですから入居者がいないのです。
それでもまだ首都圏は地方からの人口流入があるおかげで問題は深刻化していない状況があります。
しかし、賃貸現場では、新築物件が5年前に建てた賃貸より安くしても満室にならず、結果家賃を下げるという悪循環が起こってます。
入居してもらうために、礼金、敷金、仲介手数料、更新料ゼロ、さらに数ヶ月のフリーレントなどなど施策が目白押しです。
それでも空き家は空き家のままです。しかも、新築物件はこれからも供給され続けられるのですのですからたまりません。
需要と供給が一気に逆転してしまった状況が今有るのです。
「節税対策」という安易な言葉だけで、アパート経営に乗り出すことはとても危険な行為です。
しかも10年後、20年後はもっと大変なことになることが分かっていても金融機関のアパートへの融資の増加しているようです。
マイナス金利になって、金融機関の収益は悪化しているのに融資窓口は広がっていません。
企業で融資できるところには既にめい一杯の融資をしていても融資をすることができません。
この状況に金融機関はアパートローンで打開策を図ったのです。
アパートローンは住宅ローンよりも金利が高く収益性の良い貸し出しです。
金融機関からみてもメリットある融資を増やしやすくなっているのです。
空き家が埋まらなかったら、それを建てた大家さんはどうなるのでしょう。
もしかして破たんの道へまっしぐらな状況だけは避けたいものですね。
この状況、賃貸だけじゃなく売買にも当てはまると言えるのではないでしょうか。
次回は売買状況についてみてみたいと思います。