Top / QBlog / 2018-09-25

新築マンションの売れ行き。これはまずくないかの巻

2018年9月の今、新築マンションが驚くほど売れていないってみなさんはご存知ですか?

分譲事業主や販売会社はあの手この手を使って「売れてる感」を演出していますが、実は全くと言っていいくらい売れていません。

この新築マンションの市況悪化は、既に2017年初頭から始まっていました。

「上げ下げマンション大調査」というキャッチフレーズで『週刊ダイヤモンド』2月4日号の第1特集が」されていますが、この特集の中でも新築マンションがいかに売れていないかが書かれています。

さて、皆さんご存知だとは思いますが、2017年初めから続く住宅ローンは日銀のマイナス金利政策もあり史上最低水準にあります。

しかし、その住宅ローン金利が続いているにもかかわらず、新築マンションの販売は一向に振るわない状況なのです。

これは販売広告にも如実に表れ始めてきました。

「先着順受付中」って募集形態が多くなっているんです。

もしよかったら、ヤフー不動産で新築マンション広告を見てみてください。

「先着順受付中」がやたらに多いことに気が付くはずですから。

実は、今、新築マンション市場に異変が起こっています。

2016年に新築マンションの供給戸数を中古マンションの成約件数が初めて上回りました。

まさに中古時代の到来といえます。

って、これ鵜呑みにしたら、あなたは大変です。

中古マンションが売れ始めているんではなく、新築マンションが売れないから逆転したんですから。

しかも、現状はもっと良くありません。

新築マンションの売主は、アベノミクスでバブってる不動産デべですよ。

もし、このデべがこの先新築マンションを何かしらの手段で成約する方法を考えないとも言えません。

例えば、水面下の大幅な値引き、引越代出します、モデルルームの家具付き
などなど。
これ全て現実的な値引きですね。

中古の売主さんにはこんなことできますか?

さて話を変えますが、新築マンションはいずれ中古マンション市場に出てきます。

新築マンションは。それ1棟なら新築時「花」なんですね。

空き地に急に咲いた花と言えるでしょう。

花ですから、咲いた当時は急にその地域が華やかになります。

しかし、花は手入れをしなければ枯れてしまいます。

また、手入れを丹念にしても、どうしても花は最後小さくなり枯れてしまいます。

しかし、多年草の花はなかなか枯れません。

その地に根付き、繁殖します。

この多年草の花はマンションと言えるのです。

その「花」は集まれば「緑の砂漠」と化します。

この緑の砂漠が今、アメリカ(USA)でとても大きな問題となっています。

その緑の砂漠こそ『葛』。

ここでちょっと話を変えますが、皆さんは葛(くず)という植物をご存知ですか?

葛は7世紀から8世紀の古来より日本では「秋の七草」としてその名を連ねていたほどの歴史のある草花、多年草です。

多年草とは簡単に言えば年を越す草のことですが、すなわち、葛は一度根を張ると長年にわたりその土地に繁栄する草花となります。

葛はツルを地面に張りめぐらせて生長するもので、生長先にあるありとあらゆる物にグルグルと巻きつきながら育っていきます。

葛は表面のツルにばかり目がいきがちです。

しかし、実は地中に埋まる「根」の方がツルよりも太さを持ち、まるで木のような質感へと変化します。

この「根」の部分を利用した和菓子で、根の部分のでんぷんを抽出して作る葛餅(くずもち)はポピュラーなのでご存知でしょう。

また葛根(かっこん)」は同じく葛の根を乾燥させた漢方薬で、自然由来の生薬では抜群の効き目があることで有名です。

ただ、葛という植物。アメリカではまさにモンスター。

その驚異的な繁殖力はアメリカの生態系を崩壊させて街まで飲み込む勢いなのです。

まさに「侵略」と表現するしかない葛の繁殖をマンションと置き換えることができるのではないでしょうか。

中古マンションの売主さんへ、ぜひ、これから先の「緑の砂漠」を見てほしいんです。

砂漠は、少しずつすこしずつ広がっています。

地球のあちこちで砂漠が少しずつ少しずつ広がっているように。

葛=緑の砂漠=マンションは人が生活するのに便利な性質を持ち合わせた、見方によっては優秀な存在です。

しかしマンションが隠し持っていた落とし穴、それはなかなか解体できないことでしょう。

そのため「そこまで実害があるのだろうか」と考えてしまう方もたくさんいらっしゃるのではないですか?

実際に、高度経済成長期、庶民の憧れだった団地。

東京・ひばりが丘団地を、当時の皇太子ご夫妻(今上天皇皇后両陛下)が訪問されるなど、空前の団地ブームが到来しました。

1970年代前半の人たちも団地を絶賛して、その存在を好意的に受け入れていました。

ただ、今日、残念ながらそう上手くはなかった事情が存在します。

団地の建造には重大な落とし穴がぽっかりと口を開けて待っていたのです。

その落とし穴こそ、空き家となった部屋が目立たないことです。

一戸建てなら、そこに住んでいないこと=空き家であることがすぐわかるでしょう。

もし一戸建ての空き家なら解体し更地にもできます。

しかし、団地はそうはいきません。

団地の呼び方を変えたものがマンションです。

とても近い将来、マンションもこの団地の現状と変わらないこととなってしまうでしょう。

マンションの空き家問題は、葛の根と同じなのです。

なかなか見えないからこそ、その存在がクローズアップされたときは、もう対処できないほどの大問題となります。

今、新築マンションはなかなか売れていません。

その新築マンションが中古マンション化して、さらに急激に進行する高齢化と人口減を背景とした空き家が問題化したとき、その時はもうそこまで来ています。