Top / QBlog / 2018-09-22

大切な住まいを守るための「火災保険」

マンションや一戸建てを買うとき、ほぼ99.9%の方が銀行などの住宅ローンを利用し購入されていますが、その時同時に加入を促されるものに火災保険があります。

火災保険

住宅ローン借り入れと同時に加入する火災保険は今では銀行窓口で一緒に入ることは強制されていませんが、その昔はほぼ強制的な側面がありました。

ただ、火災保険加入は、例えばマンションを仲介する不動産業者も火災保険の代理店になっている場合が多く、どの保険会社でもいいから加入条件とされるケースが見受けられます。

さて、みなさんはこの火災保険の内容を確認したことがありますか?
保険約款は冊子にもなる厚いものが多いので、ほぼ銀行担当者か、不動産業者の担当者に言われるがままに入っておられるのではないでしょうか。

という事で、今回は意外な火災保険の補償範囲について考えてみます。

対象は個人住宅用の火災保険です。

火災保険という事ですから、まず火災の場合には保険金が出ることはわかります。

実は、住まいに降りかかる危険は火災だけではありませんよね。

他にはどんなケースで保険金は出るのでしょう。

火災と一軒家

落雷:読んで字のごとし、雷が自宅の屋根に落ちて屋根に穴が開いた、さらに家電製品や電源が入っていたパソコンが壊れるなど。

破裂:スプレー缶やカセットコンロのボンベが破裂して家具や家電製品が壊れたなど。

爆発:ガス漏れに気づかずに点火してガス爆発を起こしてしまった。

風災・雹(ひょう)災・雪災:台風や雹(ひょう)、雪の重みなどによって建物や家財に被害を受けた。

水災:自宅近くの河川が氾濫、また裏の急斜面が土砂崩れを起こして建物・家財が流された。

落下・飛来・衝突:建物外部からの何らかの物体の落下、飛来(最近航空機から部品が落ちてくる事故を耳にします)、車の自宅建物への飛び込みで建物に被害を受けた。

漏水による水濡れ:給排水管からの水漏れで室内や家具などが水浸しになった。

暴力行為による損害:自宅近くで集団の暴力行為があり塀や垣が壊された。

盗難による盗取・損傷・汚損:泥棒に窓を壊されて侵入され、家具や家電製品を盗まれた。

その他突発的な破損・汚損:家具の配置換えでドアにぶつけて壊した、家電製品を落として壊れてしまった…

などなど。

心配し始めると夜も安心して眠れなくなりますが、上記の内、ご自分の住まいの損害にどこまで対応できる火災保険の契約をしているか、今一度確かめておきましょう。

一般的な火災保険では、火災・落雷・破裂・爆発・風災・雹災・雪災までが基本補償。
その他は選択可能な補償となっている場合が多くあります。(地震保険については別の機会に)

雷

洪水や土砂崩れの恐れがある場合。
これらは水災補償の対象になります。
水災を基本補償に組み込んでいる火災保険もありますが、逆にご自宅の近くに河川や急な斜面、崖などがない場合は不要かもしれませんね。

マイホームの浸水

なお、水漏れ(給排水管からの水漏れによる被害)は水災と区別されます。
水漏れは自宅の給排水設備に限らず、集合住宅などで上の階からの漏水や他の居室等が火災になったときの放水による水濡れなどに対応しています。

また、交通量の多い道路沿いや近くに高い建物や空港がある場合に、車が飛び込んできたり、落下物の飛来や泥棒の被害、なども火災保険の対象に含めることが出来ることをご存知でしたか。

「火災」以外の損害だと、保険の補償範囲と全く気付かずに自己負担で修理を完了し、気づいた時には数年たっていて保険金請求の期限を過ぎていることが多くあります。

基本的には保険金請求期限は、事故から3年。

火災保険証書

ですが、保険会社によっては異なる期限を設けている場合もあるので、一度約款での確認もしくは保険会社への問い合わせをして、ご自分の契約している火災保険の内容をしっかり把握しておくと、いざという時保険を生かすことが出来るでしょう。

さて、火災保険には「建物」「家財」の区別があります。

「建物」のみの火災保険には入っていても、「家財」に保険をかけていなかったとしたら、上記の例でいえば落雷の被害にあった際、いざ保険を使おうとしたときに、建物の損壊は補償対象でも「家財」であるテレビやパソコンなどの家電や家具は補償対象にはなりません。

自己負担で再度買わなくてはならない…という具合に、ほとんどの損害が「建物」だけではなく「家財」にも被害が及びます。

火災保険の契約方法には「建物」と「家財」と「その両方(建物・家財)」の3通りの契約方法があります。

通常、自己所有の一戸建て住宅の場合は「建物・家財」の両方、分譲マンション等の集合住宅は「建物(専有部分)・家財」のやはり両方、一方賃貸住居の場合は「家財」のみ(建物はオーナーの範疇ですので)、という契約方法が一般的です。

さて、今、あなたの加入されたお住いの住宅の火災保険はどんな付保内容になっていますか?

もし「家財」保険に入っていない場合は、一度おうちの中を見回して「家財」保険の必要性を検討しましょう。

もっとも、物を持たない主義のミニマリストの方などは、「家の中を見回しても保険をかけるほどの家財はないわね~」という方もおられるかもしれませんが…

あ、おうちの中だけではいけません。

話は戻りますが、通常火災保険にはおうちのほかに「建物」には門・塀・垣・車庫等が含まれますし、「家財」にはおうちの中の家具や家電製品だけではなく、敷地内にある125cc以下の原動機付自転車(俗にいう原付バイク)や自転車も含まれます。

これらはついうっかり見過ごしてしまいがちです。

家の敷地に車が飛び込んできて、門・塀・垣・車庫に損害を与えた。

とか、

敷地内に保管していた原付バイクや自転車が盗まれた。

さらに、

自宅に空き巣が入っておよそ10万円貯めていた貯金箱が盗まれた。

など、

一見「火災保険」に結びつかない事件・事故が実は補償の対象となることがあるのです。

今挙げた例はいずれも犯罪行為となりますので、必ず警察に届け出て受理された証明があれば保険金請求の手続きが可能です。

ちなみに原付バイクや自転車の保険に盗難補償がついていない場合もあります。

ただし、火災保険の盗難補償は「敷地内」で盗難被害にあった場合が対象です。

また、125ccを超える自動二輪車や自動車の盗難や損壊は、自動車保険の対象となり火災保険の対象外です。

なお、高価なものは保険契約の際に申告しておかないと補償されないものもあるので注意が必要です。

例えば、貴金属や宝石その他の美術品等で、一個または一組の価額が30万円を超えるものなどが挙げられます。

また、犯罪行為とは異なりますが、「破損・汚損」という補償があります。

気分転換や家族構成の変化などにより部屋の模様替えの際、家具をぶつけて扉を壊したり、家電製品を落として破損させたりなど、家庭内の言ってみれば「ついうっかり」でも「ありがちな」事故を補償する内容です。

ただし、「不測かつ突発的な事故」の場合に限ります。

経年劣化で壊れてしまった家電などはもちろん補償対象外です。

そのほかにも全く火災保険とはかけ離れているようでも、特約として付けられる補償もいくつかあります。

外出先で持ち物を破損した場合に補償される「携行品損害特約」。

この特約は「家財」が保険の対象に含まれている場合に付帯することが可能です。

外出先でスーツをひっかけて破損してしまった時なども対象になる場合があるそうです。

それから、飼い犬が他人に噛みついてけがをさせてしまった場合や、お子さんが自転車運転中に他人にけがをさせた結果、賠償責任が生じたときに補償される「個人賠償責任特約」なども検討する価値があるかもしれませんね。

ちなみにこの「個人賠償責任特約」は「自動車保険」にも付帯できますが、重複して補償されるわけではないので、いずれかの保険に付帯していれば、片方は不要な保険料を支払っていることになるので(わずかの保険料とはいえ無駄です)確認してみてください。

火災保険には「火災」に限らず、大切なご自宅や家財などに対して、様々な事故の場合も補償される可能性がある、とても便利な保険だということをわかっていただけたでしょうか。

疑問を解決

さらに、自動車保険と違って保険事故が起こって保険金が支払われても、保険料が高くなることはありませんので、「これは火災保険の範疇かも…」と思った時には、迷わず保険会社に問い合わせましょう。

ただ、これほど便利な保険を悪用しようとするリフォーム業者などが横行しているのは困ったものです。

例えば、「この修理は火災保険が利用できますよ。手続きはしてあげますから。」と言って保険金を受け取って実際の修理はいつまでたっても着手せず、電話もつながらなくなる。

とか、

保険金が下りる前に「手付金」を払って、あとから保険会社からは「補償の対象ではありませんので保険金のお支払いはできません」

と、言われ

「手付金」だけだまし取られるなど。

本来の修理代金よりも水増しした保険金請求をして、法外な保険金をだまし取ろうなど、最悪の場合は「保険金詐欺」の片棒を担がされることも。

保険対象になるかどうかは、必ず保険会社に相談し、信頼できる業者に見積もりを依頼するなど、ごく普通の対応で、支払った保険金相応の補償を受けることが出来るはずです。

大切なご自宅、いざという時の為の火災保険ですので、しっかり保険対象を把握して、過不足ない契約で住まいの安心を。

今日は火災保険を見てきました。

ちょっとした意識とお金と労力で私たちの損害をカバーできる可能性のあるもの、それが火災保険です。

今一度、あなたの加入している火災保険の内容を確認してみることをお勧めします。

コーラル・保険担当
石井雄二



コメント