不動産売却と告知義務・どこまで説明すればいい?

既存住宅売買瑕疵保険

住宅購入は人生の中で最も大きい買い物ではないでしょうか。
その購入した住宅にもし欠陥があったらもう大変なことですね。
売却時にもこの住宅の欠陥は大きく影響してきます。
ここでは、住宅の欠陥=瑕疵について考えてみます。


新築住宅と中古(既存)住宅の瑕疵(欠陥)について

新築住宅については2000年4月に施行された住宅の品質確保 の促進等に関する法律(品確法)によって、引渡しから10年間の基本構造部分(基礎や柱、梁など建物を支えている部分と、屋根や窓など雨水の浸入を防いでいる部分のこと)の瑕疵担保責任が定められています。
品確法では10年間の瑕疵担保責任をすべての新築住宅に義務づけていますが、中古住宅については宅地建物取引業法の規定によって不動産会社が売主の場合にのみ引渡しから2年以上の特約を認めているだけです。
個人が売主の中古住宅については現状明確な規定はなく、十分な瑕疵担保責任を問えないケースが多いことが中古住宅の売買に大きく影響していました。

通常、中古住宅を購入する際には、充分時間をかけて物件をチェックしているはずですが、それでも通常の注意ではわからないような欠陥が隠れている場合があります。
例えば、排水管の詰まりで漏水が購入後4ヶ月目で分かった物件などの場合ですね。

そこで、売買する住宅に隠れた瑕疵があった場合に、売主が買主に対して負う責任のことを瑕疵担保責任といい、多くの中古住宅の取引において、この瑕疵担保責任の取決めをして売買契約をしています。

例えば、


 ・売主の瑕疵担保責任を免除する。
 ・瑕疵担保責任の期間を引渡しから1~3ヶ月とする。
 ・売主が不動産会社の場合は、引渡しから2年とする。  


などといった取り決めが多いです。


売主の瑕疵担保責任を免除するという取り決めでは、買主にとって不利であることは言うまでもないですね。
購入後に配管からの漏水などが発見されても、売主に対して責任を求めることができません。
そのため、中古住宅の購入者にとって瑕疵への対応が不安材料のひとつとなっていました。

そこで国が推進する形で登場した制度が、任意の中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度として既存住宅売買瑕疵(かし)保険です。
この既存住宅売買瑕疵(かし)保険は検査した中古住宅に引渡しから1年または5年保証を付ける任意の制度です。



既存住宅売買瑕疵(かし)保険

既存住宅売買のかし保険(個人間売買タイプ)のポイント

※既存住宅売買かし保険は、「売主が宅建業者の場合」と「売主が宅建業者以外(個人間売買)の場合」の商品があります。

※構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分などで、保険期間は5年間または1年間です。

※万が一、引渡しを受けた建物の保険対象部分に瑕疵が見つかった場合は、その補修費用をまかなうことができます。


既存住宅売買瑕疵(かし)保険は検査した中古住宅に引渡しから1年または5年保証を付ける任意の制度です。既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入するためには、住宅の基本的な性能について、専門の建築士(検査機関)による検査に合格することが必要です。
売買する中古住宅を検査機関が検査し、保険法人(住宅瑕疵担保責任保険法人)が保険を付けることで、引渡しから1年間や5年間の瑕疵担保責任を実現しようというものです。
対象となる中古住宅は1981年施行の新耐震基準を満たしていることが前提となります。

この既存住宅売買瑕疵保険には、売主が個人の場合(個人間売買タイプ)と売主が不動産会社(宅建業者販売タイプ)の2種類があります。

どちらも瑕疵の補修費用などを保険金でまかなう仕組みは変わりませんがが、個人間売買タイプでは検査機関が、宅建業者販売タイプでは不動産会社が瑕疵担保責任を負う形になります。

なお、保険の対象となる部分は新築と同じく構造耐力上必要な部分と雨水の浸入を防止する部分のほか、保険法人によっては特約などで給排水管や電気設備を対象としているケースもあります。
保険金の支払い対象となるのは補修費用のほか調査費用や転居・仮住まい費用などで、不動産業者が倒産などで買主に直接支払われる場合は必要な費用が全額カバーされることになります。


あんしん既存住宅個人間売買瑕疵保険




【一般社団法人 不動産流通経営協会】調査・発表

■ 「既存住宅のみ」、「主に既存住宅」を探した既存住宅購入者の割合が年々増加。

住宅購入にあたって探した住宅についてみると、「既存住宅のみ」もしくは「主に既存住宅」を探した既存住宅購入者の割合は年々増加し、今年度は 46.6%を占めている。また、新築住宅購入者のうち既存住宅も探した購入者注1)の割合は 49.9%(対前年度比 2.0 ポイント減)となっている。
既存住宅購入者の購入理由は、「希望エリアの物件だったから」(60.9%)、「手頃な価格だったから」(52.1%)、「良質な物件だったから」(42.4%)が上位 3 位を占めている。
(注 1)「主に新築住宅」、「新築・既存にはこだわらなかった」、「主に既存住宅」の何れかを回答した新築住宅購入者を指す。

■ 既存住宅購入者における不動産会社等による住宅保証の利用率は 40.3% 。

■ 既存住宅の購入にあたっての建物検査注2)の実施率は 46.2% 。

既存住宅購入者における不動産会社等による住宅保証の利用状況をみると、住宅保証の利用率は40.3%となっており、うち建物保証の利用が 31.5%を占めている。建て方別にみると、既存戸建てで
は建物保証を利用した購入者が 41.8%を占めており、既存マンションでは「建物保証のみ利用」と「住宅設備保証のみ利用」の割合が同程度となっている。また、不動産会社等による住宅保証が今回の住宅購入に多少なりとも影響したとの回答は、住宅保証利用者の 75.7%を占めている。
既存住宅購入者における「既存住宅売買かし保険(国が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人が提供する保険)」の利用率は 8.0%であったが、利用者について「既存住宅売買かし保険」が今回の住宅購入に与えた
影響度をみると、多少なりとも影響したとの回答は 70.0%を占めている。
不動産会社等による住宅保証もしくは「既存住宅売買かし保険」を利用する際に実施された検査以外におこなわれた民間の建物検査(ホーム・インスペクション)注3)の実施率は、「既に売主がおこな
っていた」が 7.9%、「売主に依頼しておこなってもらった」が 3.8%、合計 11.7%となっている。
既存住宅の購入にあたって何らかの建物検査注2)を行った購入者は、既存住宅購入者の 46.2%を占めており、特に既存戸建て購入者では 53.5 %となっている。
(注 2)不動産会社等による建物保証及び「既存住宅売買かし保険」の利用にあたって実施された検査、ならびにそれ以外におこなった民間の建物検査(ホーム・インスペクション)。
(注 3)不動産会社が提供する無償のインスペクションサービス(主に買主側の購入申込前に実施)がおこなわれた場合を含む。

■ リフォーム実施率は 59.8%、購入時にリフォーム済みの既存住宅は 14.5%。

■ 既存戸建てでは築年数が古くなるほどリフォーム費用が高額化。

住宅購入前後のリフォーム実施率注4)は、59.8%となっている。「リフォーム済み住宅注3)」は 14.5%(売主が不動産会社の場合:7.9%、個人売主の場合:6.6%)、「自らリフォームした」は 47.3%となっており、既存住宅購入者の半数近くが購入後に買主自らリフォームを実施している。
リフォーム費用についてみると、戸建ての場合、築年数が古くなるにつれ 300 万円以上の比較的高額なリフォームの割合が高くなり、築 20 年超では 54.6%を占める。また、既存マンションの場合も
築 20 年を超えると 300 万円以上のリフォーム工事が 44.4%を占める。
(注 4)リフォーム実施率とは、「リフォーム済み住宅」を購入もしくは「自らリフォームした」購入者の割合であり、重複回答を除く。
なお、「リフォーム済み住宅」とは、売主が販売(売り出し)にあたって、リフォームを施したものを指す。

既存住宅売買瑕疵保険と中古住宅の取得に係る減税について



既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書は、中古住宅の取得に係る減税などの適用に必要な「耐震基準を満たすことの証明書類」としてご利用いただけます。

瑕疵保険の優遇制度一覧

<対象となる税制特例一覧>
  「登録免許税」、 「不動産取得税」、 「住宅ローン減税」、
  「贈与税非課税措置等」、「すまい給付金」


<概要>

2013年度の税制改正により、中古住宅取得に係る減税等の適用に必要な「耐震基準の証明書(※1)」に、既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書が加わりました。

これにより、一戸建てなどの木造住宅は20年超、マンションなどの耐火住宅は25年超の住宅であっても、1982年(昭和57年)以後に新築された建築基準法の新耐震基準該当建築物のものであれば、引渡日(保険始期)が2013年4月1日以降の住宅に限り既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書があれば耐震基準の証明書類として、住宅ローン減税などの申請に利用できます。

(※1)「耐震基準の証明書類」は既存住宅売買瑕疵保険の保険付保証明書以外にもあります。
     (耐震基準適合証明書、建設性能評価書等)
     各発行主体又は国交省、国税庁、財務省などの
     ホームページなどでご確認下さい。

既存住宅販売瑕疵保険に加入していることを証する書類は、具体的には、住宅瑕疵担保責任保険法人が発行する既存住宅販売瑕疵保険の保険付保証明書または保険加入証明書(以下「保険付保証明書」といいます。)となります。

保険付保証明書とは、既存住宅販売瑕疵保険が締結されていることを証する書類です。



ビデオで見る既存住宅売買かし保険

一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページで既存住宅売買かし保険(個人間売買タイプ)の映像資料が公開されています。

一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページ



購入を検討している物件の売主が個人の場合は、まずはこのビデオをご覧ください。

すまい給付金

すまい給付金は消費税率引上げによる住宅取得者の負担をかなりの程度緩和するために創設した制度です。
住宅ローン減税は、支払っている所得税等から控除する仕組みであるため、収入が低いほどその効果が小さくなります。すまい給付金制度は、住宅ローン減税の拡充による負担軽減効果が十分に及ばない収入層に対して、住宅ローン減税とあわせて消費税率引上げによる負担の軽減をはかるものです。このため、収入によって給付額が変わる仕組みとなっています。

要点
※自らが居住する住宅購入時の消費税の負担で引上げ後の消費税率が適用される住宅を取得する場合、引上げによる負担を軽減するため現金を給付。
※平成26年4月から平成31年6月まで実施。
※すまい給付金を受け取るためには、給付申請書を作成し、確認書類を添付して申請することが必要。
※売主が個人の場合、消費税がかかりませんのですまい給付金の給付はありません。

詳細は下記すまい給付金のサイトでご確認ください。

すまい給付金のサイトへ 



瑕疵保険は万全か

コーラルでは、これから先の売買に積極的にこの既存住宅売買瑕疵保険を取り入れていきます。
しかし、瑕疵保険を付保したから万全というわけではありません。

瑕疵保険適用のための現場検査は「保険期間中に瑕疵が発生するかどうか」といった観点で検査が行われます。
瑕疵保険はあくまで売買物件引き渡し後1年や2年、最長5年の期間を保証してくれるものでしかありません。しかし、その期間でも一度も住んだことのない家を、限定された期間でも他保証期間が保証してくれているという安心感はあります。
このことはとても大きいことです。
但し、その保険が切れた後はどうでしょう?
実際には、3年後6年後などに建物の壊れが発見される可能性もあるでしょう。それが3年前や6年前に起因する瑕疵は保証外となってしまいます。
瑕疵保険は「保険」であり、万が一のための限られた範囲での備えにすぎないという認識を持っていただきたいということです。
瑕疵保険で売主様の安心は買えます。
しかし、告知義務違反も瑕疵と成り得えます。
保険である以上告知義務違反は保険の対象外になる場合もあります。
ここではその対象外で一番多い告知義務違反を軽く考えられないように是非お願いしたく思います。