一戸建て購入に知っておきたい知識
住宅ローンを勉強しょう
自分のマネープランとライフプランに合っているものを選びましょう。
住宅ローンの種類と金利タイプについてご説明させて頂きます。
住宅ローンの種類
住宅ローンは、大きく「民間ローン」と「公的ローン」に分かれます。
民間ローンは、銀行が提供する住宅ローン(銀行ローン)と、民間金融機関が住宅金融支援機構と提携して扱う「フラット35」の二種類です。
公的ローンは「財形住宅融資」とも呼ばれ、国が提供する財形貯蓄制度の利用者を対象とした融資制度です。
「民間ローン」
条件に合わせて選択肢が豊富なのが、各銀行による住宅ローンです。
所定の条件を満たす場合、店頭金利より低い金利が適用されるものなど、魅力的な商品があります。
民間の住宅ローンは、各社で特徴的なサービスを実施しています。
例えば、手続きをすべてネット上で行うことで手数料などの諸費用を抑えたものや、自社や関連会社のサービスに連動してさまざまなメリットを受けられるものなどがあります。
銀行以外にも、住宅ローン専門会社や生命保険会社などが取り扱う民間融資もあります。
「公的融資」
財形貯蓄を行っている人が借りられる財形融資です。
財形融資は、勤務先で財形貯蓄を1年以上行っていて、残高が50万円以上ある人が利用できる融資制度です。
借入時の金利は1%前後(5年固定)で、財形貯蓄額の10倍(最高4,000万円)まで借り入れできます。
民間融資やフラット35と併せて利用することも可能です。
財形貯蓄を行っている人は勤務先に確認してみましょう。
都道府県や市町村が独自の融資制度を行っている場合もあります。
直接、自治体が融資を行うタイプのほかに、所定の金融機関での借り入れ利子を一定期間補給するタイプなど、内容も自治体によって異なります。
まずは、自宅や勤務先がある自治体に問い合わせてみましょう。
民間ローン | 民間ローン | 公的ローン | |
---|---|---|---|
銀行ローン | フラット35 | 財形住宅融資 | |
特徴 | 銀行・保険会社等が提供する住宅ローン。住宅ローン金利・金利タイプ・サービスとも金融機関により異なります。 | 民間金融機関と住宅金融支援機構が提携する住宅ローン。融資を受けるには、対象となる住宅が住宅金融支援機構の技術基準を満たしている必要。 | 職場に財形貯蓄制度がある場合に利用できる住宅ローン。 |
申込条件 | 金融機関により異なります。 | ①満70歳未満②日本国籍(永住許可、特別永住者含む)③年収に占める年間合計返済額割合が一定基準を満たしていること等 | 申請先により異なります。 |
金利タイプ | ①変動金利型②全期間固定型③固定金利選択型 | 全期間固定型 | 5年間固定金利→固定期間終了後5年ごとに金利見直し。 |
住宅ローン審査・融資条件 | ゆるやか | 銀行ローンより厳しい | 厳しい |
住宅ローン金利 | 公的ローン・フラット35より高い。 | 銀行ローンより低い公的ローンより高い。 | 低い。 |
当初金利決定日 | 融資実行日 | 融資実行日 | 融資申込日 |
融資金額 | 1億円以内※金融機関により異なります。 | 年収により異なります。 | 50万円以上4,000万円以内(10万円単位) |
借入期間 | 1~35年※金融機関により異なります。 | 35年(フラット20、フラット50もあり) | 5年以上35年以内(1年単位) |
保証料 | 金融機関により異なります。 | 無料 | 借入金額・借入期間・返済方式・保証機関により異なります。 |
繰上返済手数料 | 金融機関により異なります。 | 無料※100万円以上から | 一部繰上返済:10,800円全額繰上返済:16,200円 |
住宅ローンの金利タイプ
住宅ローンには、民間ローンと公的ローンだけでなく、金利タイプによる違いもあります。
もっとも大きな差は、借入時の金利が期間中ずっと継続する「固定金利」と半年に1度の頻度で見直される「変動金利」です。
また、借入当初の数年間は金利を固定し、固定期間終了後に、金利タイプを選ぶ「固定金利選択型」もあります。
固定金利をイメージしがちですが、固定期間終了後に選べる金利タイプは変動金利または借入時と同じ固定金利選択型であることが多く、変動金利の一つとして位置付けられています。
固定金利 | 固定金利 | 変動金利 | 変動金利 | |
---|---|---|---|---|
全期間固定型 | 段階金利型 | 固定金利選択型 | 変動金利型 | |
特徴 | 借入時の金利が期間中変わらない。 | 借入時の金利が一定期間経過後に一度だけ上がる。 | ①融資開始後の一定期間(3年、5年、10年など)金利が固定される。②固定期間後は変動金利型か固定金利選択型かを選択(金利はその時点での市場金利を適用)。 | ①半年ごとに金利が見直される。②返済額は5年間変化しない(※元金と利息の内訳は変更される)。 |
メリット | 返済額が一定のため資金計画が立てやすい。 | ①全期間固定型よりも金利が低い。②金利上昇が一度だけなので資金計画が立てやすい。 | ①固定期間は返済額が一定。②全期間固定型よりも金利が低い。 | ①他の金利タイプと比較すると金利が安い。②金利が下がれば返済額が減少する。 |
デメリット | ①変動金利と比較すると金利は高め。②金利が下がると変動金利よりも高い金利での支払いとなる。 | ①変動金利と比較すると金利は高め。②金利が下がると変動金利よりも高い金利での支払いとなる。 | 固定期間終了後に金利が上昇していると返済額が上昇する可能性がある。 | ①金利が上昇すると返済額がアップする。②返済計画が立てにくい。 |
固定金利と変動金利どちらが良いの?
住宅ローンを検討している人が一度は悩むポイントです。
固定金利は、金利の変動がなく安定しているぶん金利は高めになります。
一方の変動金利は、低金利が魅力的な反面、金利上昇のリスクがあります。
固定金利と変動金利の金利差は「将来的なリスクの差」と言えます。
リスクを取っても良い人
借入額が少なめ
資金に余裕がある(万一返済額が増えても家計が破綻する心配が少ない)
収入の見通しが明るい(安定収入、勤務先の業績等)
返済期間が短い
リスクを取らない方が良い人
借入額が多め
資金に余裕がない(返済額が上昇した場合、家計破綻もありえる)
継続的な収入アップや勤務先の業績に不安。転職を控えている等
返済期間が長い
一般的に、金利が上昇しつつある局面では、全期間固定型が安心です。
ただし、全期間固定型では金利が高くて必要な資金を借りることができない場合は、全期間固定型よりも金利が低い固定金利選択型を選んだり、返済期間を短めに設定する等、借り入れと返済のプランを工夫しましょう。
全期間固定型の金利は、銀行ローンよりもフラット35のほうが有利なケースが多いですが、銀行ローンが低金利を競い合っている固定金利選択型も金利水準は低めとなっています。
特に、5年・10年など固定期間が短めの固定金利選択型は変動金利型に並ぶ金利水準となっています。
そのため、固定金利選択型で無理のない返済が可能ならば、フラット35よりも低金利で住宅ローンを組める場合も少なくありません。
フラット35・固定金利選択型とも、実際の金利やサービスは金融機関によって様々です。
中には、フラット35ではない全期間固定型でフラット35並みの金利を提供している銀行もあります。
固定金利か変動金利か迷った場合は、まず家計がどれくらいのリスクに耐えられるか検証した上で、各社の住宅ローンを比較しつつ、少しでも有利な金利の住宅ローンを選択しましょう。
一戸建て購入に係る費用
一戸建ての購入には、土地や建物の価格以外にもいろいろな費用がかかります。
物件価格や工事費用だけでなく、土地・建物などの所有手続きや住宅ローンの契約手続き等、それぞれの段階で発生する費用の全体を理解しておきましょう。
一戸建て購入費用の考え方
総費用 = 物件の価格(土地+建物) + 諸費用 = 頭金 + 住宅ローン
一戸建ての購入の費用の中で、もっとも分かりにくいのが「諸費用」です。
一般的な諸費用の目安は、物件価格(住宅の建築費用や購入費用)の10%程度です。
つまり、5,000万円の一戸建てを購入する場合であれば約500万円の諸費用が必要になります。
これらの費用は、住宅ローンに含められるケースも増えていますが、印紙代や手付金など現金での支払いが必要になる費用も多いため注意しましょう。
入居後の生活も考慮して、すべての資金を住宅ローンの頭金等に使ってしまわないようにしましょう。
購入後に生じる費用(住宅ローン返済、各種税金等)についても、忘れずに家計に算入しておく必要があります。
一戸建ての購入費用の内訳は
一戸建ての購入費用(総費用)は、大きく分けて、物件に係る費用と、住宅取得手続きに係る費用、住宅ローン手続きに係る費用、入居前後に係る費用の4つに分かれます。
物件に係る費用
種類 | 支払先 | 支払時期 | 備考 |
---|---|---|---|
土地建物 | 売主 | 物件引渡時 | 契約時に手付金(物件価格の5~10%程度)を支払います。相場 物件により異なります。 |
消費税 | 税務署 | 上記支払いに付随 | 土地に対しては非課税。個人間売買は非課税となります。相場 建物・工事費等の8%。2015年10月より10%。 |
物件取得の手続きに係る費用
種類 | 支払先 | 支払時期 | 備考 |
---|---|---|---|
印紙税(売買契約) | 契約書に貼付税務署 | 売買契約時 | 不動産売買契約に関連して作成された文書に係る税金です。契約金額により一定税率。相場 2千円~6万円程度です。 |
司法書士報酬 | 司法書士 | 登記申請依頼時 | 不動産の権利登記を依頼する司法書士に支払う報酬です。不動産会社や建築会社を通じての依頼が一般的です。相場 物件価額・司法書士事務所により異なります。 |
不動産取得税 | 都道府県税務所 | 物件取得後一定期間後 | 土地・建物の取得時に、都道府県に一度だけ納める税金です。相場 評価額の4%。時限的に3%の軽減措置があります。 |
仲介手数料 | 不動産会社 | 売買契約時物件引渡時 | 仲介物件の場合に発生する不動産会社への手数料です。相場 売買価格×3%+6万円(税別)が上限。 |
住宅ローン手続きに係る費用
種類 | 支払先 | 支払時期 | 備考 |
---|---|---|---|
印紙税(住宅ローン契約) | 契約書に貼付税務署 | 住宅ローン契約締結時 | 住宅ローン契約について作成された文書にかかる税金です。契約金額により一定税率。相場 2千円~6万円程度です。 |
融資手数料事務手数料 | 借入先の金融機関 | 住宅ローン借入時 | 住宅ローンを組む金融機関に支払う手数料です。相場 金融機関ごとに異なります。通常3万~10万円程度、または借入額の1~3%程度です。 |
火災保険料地震保険料 | 損害保険会社 | 住宅ローン借入時 | ローン担保となる住宅の火災・地震等の被害に備えるための保険です。借入先の金融機関・不動産会社・建築会社等の指定の火災保険でなくとも可能です。相場 損害保険会社により異なります。 |
団体信用生命保険料 | 生命保険会社 | 住宅ローン借入時 | ローン契約者が死亡・高度障害となった場合にローン残高を相殺する目的でかけられる生命保険です。民間金融機関では加入必須です。相場 金融機関により異なります。金利に上乗せされるか、あらかじめ含まれている場合が多いです。 |
登録免許税(抵当権設定登記) | 法務局 | 登記申請時 | 住宅ローンの抵当権設定を登記する時に納める税金です。相場 借入額の0.1%または0.4%です。 |
司法書士報酬(抵当権設定) | 司法書士 | 登記申請依頼時 | 住宅ローンの抵当権設定登記を依頼する司法書士に支払う報酬です。相場 物件価額・司法書士事務所により異なります。通常10万円前後です。 |
フラット35物件検査手数料 | 検査機関 | 検査申請時 | フラット35利用時の物件適合検査および適合証明書発行にかかる手数料です。相場 中古一戸建て4~6万円台となります。 |
入居前後に係る費用
種類 | 支払先 | 支払時期 | 備考 |
---|---|---|---|
引越代 | 引越業者 | 引越時 | 新居への引越しに係る費用です。相場 引越業者・利用プラン・荷物量・移動距離・引越時期などにより異なります。 |
粗大ゴミ処分費用 | ゴミ処分業者地方自治体 | ゴミ処分時 | 引越の前後に不要物を処分する際にかかる費用です。相場 処分品の種類・量・自治体の規定等により異なります。目安は1品あたり200円~2,500円前後です。 |
電話移設・プロバイダ移転費用 | 電話会社プロバイダ | 引越時 | 引越に伴う電話移設工事費用、プロバイダ移転費用です。プロバイダ移転は引越前の申込みの方がスムーズです。相場 NTT東日本の場合2千円~1万円程度です。プロバイダ移転費用は業者により異なりますが無料対応のところもあります。 |
耐久消費財購入費 | 購入元 | 購入時 | 家電・家具・照明器具・カーテン・雑貨等の購入費用です。カーテンや棚の取り付け、エアコン等の設置は建設業者・引越業者等に依頼するとスムーズです。相場 品物により異なります。設置費用は必要な場合もあれば不要な場合もあります。 |
住宅ローン返済 | 借入先の金融機関 | 毎月+ボーナス返済 | 借り入れの翌月から支払いがスタートするのが一般的です。相場 借入額・返済期間・金利・金利タイプ等により異なります。月収の25%以内に収めるのが良いと言われています。 |
固定資産税 | 市町村 | 毎年 | 土地・住宅の取得後に毎年発生する税金です。相場 評価額に市町村ごとの一定の税率をかけて算出されます。 |
都市計画税 | 市町村 | 毎年 | 市街化区域内の土地・建物の所有者が納める税金です。相場 評価額に市町村ごとの一定の税率をかけて算出されます。 |
リフォーム修繕費用 | リフォーム業者 | リフォーム・修繕時 | 給湯設備の交換、水回りや屋根・外壁の劣化等に伴う修繕や、家族構成の変化に伴うリフォーム等の費用です。相場 リフォームの種類・修繕箇所等により異なります。 |
ご参考になりましたでしょうか。
次回は、一戸建てと住宅診断(ホームインスペクション)です。