Top / QBlog / 2018-08-11

レコメンアート展!vol.0



今月、今日から、「レコメンアート展!」と称して、東京・横浜を中心としたオススメのアートの展覧会を紹介していきたいと思います!

東京駅の天井画①

序章

その前に、序章としてこのコーナーの意図や内容をみなさんに伝えてたいと思い、今回はvol.0というタイトルで書かせていただきます。

さて、さっそくですがこのコーナーの主なコンセプトとしては、展覧会の紹介を通して、知られざるアートスポットをみなさんに知っていただくことです。

小さい頃から美術に親しみのある人や、普段美術が好きで常にアンテナを張り巡らせている人はお気付きかもしれませんが、今や全国的にアートスポットは増えつつあります。(その分、入れ替わりも早いですが・・・)


特に、美術館やギャラリーさらには最近増えてきたオルタナティブスペースも含めると、アートスポットの数は東京だけで1000箇所を優に超えます!
(ちなみに「ギャラリー」や「オルタナティブスペース」という言葉は、あまり馴染みがないかもしれませんので、番外編として後日書けたらと思います。)

そんな膨大な情報を、個人で見つけるのはあまりにも大変だと思いますし、なにより時間がかかります。

また、それが原因でアートへの興味が遠のいてしまうのは、あまりにも勿体無く悲しい・・・!!

ラテアート

突然ですが、ここで最近印象に残ったエピソードを聞いてください。





エピソード

私の友人に絵描きをしている方がいまして、最近あった西日本豪雨災害に遭い、被災してしまったのですが、つい先日こんなことを言っていました。



「災害によって自粛ムードが溢れるなか、自分も予定していた展覧会を中止しようと思いましたが、悩んだ結果予定通りに開催することにした。すると、同じく被災した方が見に来てくれて「ありがとう」と言われた。自分だけのために開いた展覧会だと思っていたが、実際はそうじゃなかったのかもしれない。だから、展覧会をやってよかったと思った。」

アートは日常において生活の必需品ではなく、あくまでも嗜好品です。

アートが好きな筆者でさえ、やっぱりそう思います。

大阪市立美術館

某有名な大阪市長が打ち出した「文化補助金を削減する」という案の一件では、アートの存在意義というものが浮き彫りになり、多くの文化人が市長を批判するなかで「本当にアートは世の中に必要なのか?」という問いに改めて向き合った文化人も多かったのではないでしょうか。

筆者もそのうちの一人であり、この問題をずっと考えてきました。

そして今回、先ほどの友人の言葉を聞き、初めて答えが見つかったような気がしています。


そう、「アートは必要である」と。


災害というすべてを失ってしまう出来事のなかで必要とされるものこそ、真の意味で人間が生きていくために必要なものではないでしょうか。その中にアートが入っているなんて、我ながらアートの可能性・・いえ、人の心の可能性に感動してしまいました。

人はアートを鑑賞するとき、「こういう考えもあるんだ」という発見だったり、「私と同じ気持ちだ」という共感を持ったりすることがあります。

また単純に「きれい」「うつくしい」と心が奪われることもあります。

そういった自分の中に浮かんださまざまな感情に没頭しているうちに、少なくともその間だけは、嫌なことや辛いことを忘れさせてくれるのかもしれない、と思いました。

アートの持つパワー



そして、アートにはもうひとつ、とても大切なパワーがあります。


アイデア



SNSの普及と発達によって、何をするにも監視されている世の中、そして加速していく他人への批判ブーム。

そこには「こうでないといけない」というレールのようなものが存在していて、少しでもそのレールから外れれば総叩きに合うという流れがあります。


アートにはそうしたレールを取っ払ってしまう力があるのです。


というのも、そもそものアートにはレールが存在し得ないからです。

むしろそれをもってしまえば、その時点でアートは意味を失ってしまいます。


つまり、どういうことかというと、「誰かが作品に触れ、それぞれに何かを感じ、その感情に浸ること」が大切なので、例えば「この作品を見てこう思わないといけない」というレールに法ってしまうと成立しなくなってしまうんですね。

とても聞きやすい言葉で言って仕舞えば「みんな違って、みんないい」という状態を、アートは推進しているということです。



ゴッホ、ピカソ、ダヴィンチ、モネ・・・どれも画風が全く違いますね。


書く題材も人物だったり風景だったりして、ずいぶんと異なります。


しかし、それぞれがアートという枠組みの中できちんと評価されています。

というより、むしろ人と違うから評価されたというべきでしょう。

もしかすると、現在の他人を批判するブームが心地よいと感じている人もいるかもしれません。


事実、日本の犯罪は減っているみたいなので、良いことなのかもしれません。


ですが、ひとつの危険な可能性として、長い目で見たときに、批判が怖くて何もできない、自分で何も考えられない人が増えることが考えられます。

そうすると、この国はオリジナリティや発想力、ひらめきの欠如から、新しい文化が全く生まれない国になってしまうかもしれません。


発想力やひらめきって、生産性と深く結びついているって知っていましたか?


日本の発明品であるカップラーメンは、1958年に安藤百福さんという方によって開発されました。

麺を長期化保存できるよう、どうやって乾燥させるかに頭を悩ませた彼の目の前には、奥さんが晩御飯に出した熱々の天ぷら。

それを目にした彼は、天ぷらからヒントを得て、麺を高温の油で揚げることを思いつき、やがてカップラーメンの発明にいたったと言われています。

湧き出るアイデア

そのひらめきのおかげで、今でこそ巨大市場に成長したインスタントラーメンという新市場を開拓したのです。


なんだか壮大な話になってしまいましたが、アートがどれほど人を豊かにさせるかが、少しは分かってもらえたでしょうか。

小さな人の感情から、大きな国の未来のことまで、アートには可能性がたくさん秘められています。


この記事を書くことで、単純に巷のアートスポットを知ってもらうだけでなく、「アートってよくわからない・・」「どうやって楽しめばいいのかわからない・・」という方たちに、アートをより身近なものとして捉えてもらって、世の中がもっと豊かになればうれしい。



と、いうわけで!


次回からは、いよいよ「レコメンアート展!vol.1」として、この夏東京の新宿で開催されている「イサム・ノグチ−彫刻から身体・庭へ−」展を紹介したいと思います。


どうぞお楽しみに!

都市という壮大なアート



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