相続による不動産売却は必ず相続登記が必要です。

日本では、相続財産の約50%が土地や建物の不動産です。

その不動産の所有者が亡くなり(この場合の亡き所有者を被相続人と言います。)相続が開始されると、相続人(相続する人)に不動産の所有権は移転するのが通例です。
通例というのは、異例もあり、それはもしかすると相続人全員が相続放棄することも考えられることもあるからです。この場合、所有権は裁判所の管轄で売却されることになります。

通常、相続が発生した場合、相続する不動産を相続人自身の名義に変えるには、「相続登記」の手続きをしなければなりません。

実際には、相続登記を完了しないまま(亡くなった方の名義のまま)、固定資産税等の各種税金を払い続けている相続人も少なくありません。
なぜそんなことが起こってしまうかというと、相続による不動産の名義変更は、その遅滞によって罰則が科せられることが無いからですが、しかし、これは後々大きな問題になることが有ります。
考えられる問題として、相続人が死亡し、さらにその地位が移ってしまうい相続人の数が増えてしまうことが考えられます。
実際、この問題って多いんです。
不動産などの財産が有り、また相続人も数人いる場合などは通常、相続人全員で遺産分割協議してその書面(遺産分割協議書)を作成します。
私が過去に遭遇した事例では、日野市のこととなりますが、被相続人が亡くなり、相続登記しないまま数年たち、その間に相続人も亡くなってしまい、その相続人はニューヨークやパリ、シンガポールに移住されていて、意思確認もなかなかできず、遺産分割協議書作成もままならず、とうとう売却を諦めてしまった土地がありました。
このようなことが有るので、相続人が数人いる場合で、相続人中の1人の単独とする場合でも必ず、 相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。

もし、仮に相続人の地位移転というような状況が起こり、その結果、遺産分割協議が纏まらずトラブルになるという事例もたくさんあります。

不動産をもし売却する場合、遺産分割協議が完了しないままでは売却はできません。
また不動産の名義を相続人名義へ変更することすらできないのでご注意が必要です。

『相続登記は別にしなくても罰せられるわけじゃないし、いつでもいいや』などと思われる相続人もいらっしゃると思いますが、
これが一番のトラブルの元であり、トラブルになってからは解決しづらく費用も余分に係るのできちんと相続登記はするべきです。
相続が起こった場合、なかなかお気持ちも解決つかないかもしれませんが、ただしトラブルになってからでは遅いのでできる限りお早目の名義変更手続をお勧めいたします。

もし迷ったら、遺産分割協議書もその後の相続登記も、また相続時の税金関係も相続人ご自身で行うにはなかなか面倒で、ほとんどの方は専門家である税理士や司法書士に依頼した方がいいでしょう。