現状有姿売買に安心を付保し高額売却成約が可能に!

現状有姿売買ってご存知ですか?。

2016年、とうとう中古マンション取引件数が新築マンション取引件数を超えました。

昨年(2016年)1年間の首都圏の中古マンションの成約件数(3万7,189件、前年比6.9%増)が過去最高記録を更新し、新築マンションの昨年1年間の供給量(3万5,772戸、前年比11.6%減)を初めて上回ったのです。

この状況はこれからのマンション取引状況を物語っていて、一時的なことではないと言えるでしょう。

中古マンションを含めた中古住宅の売買において一番購入者が気にされること、そのことが中古マンション流通総数より新築マンション取引総数より少ない原因となっていました。

購入者が一番気にされることとは、中古住宅購入後のフォローにあると言えます。

通常、中古住宅の売買は現状有姿売買となっています。これは売主は物件を修理やリフォームをせずにそのまま買主に引き渡すという意味です。

日本では中古住宅取引の約6割が現状有姿での引き渡しと言われています。

現状有姿引き渡しにすると、売主が引き渡し後に一切の責任を取ってくれないと考えられがちですが、実はここに大きな間違いがあります。

現状有姿引き渡しは、一定の期間、通常一般的には備わっているにもかかわらず本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わっていないこと(これを瑕疵と言います)について売主の責任があるということです。

このことについて中古住宅売買の活性化という側面からもっと具体的に説明して、どうすれば中古住宅がもっと高く売れるのかを見てみたいと思います。

さて、中古住宅売買には当然売主と買主がいます。

売主からみた現状有姿売買と買主からみた現状有姿売買とはいったいどういった問題を内在することになっているのでしょう。

売主からみた現状有姿

もし、売主も知らなかった雨漏りが、引渡し後に発見された場合、誰が修繕の費用を負担するのでしょうか?。

特段の取り決めがない場合、買主は雨漏りを発見してから1年以内であれば売主に損害賠償を請求することができます。

これを売主の瑕疵担保責任といいます。

もし引渡し後10年が経ってから買主が雨漏りを発見した場合でも、発見してから1年以内であれば損害賠償を請求することができることとなっています。

でも、これでは売主にとって大変不利な条件です。極端に言えば25年後でも損害賠償を請求される可能性があるからです。

今の日本の戸建住宅では築20年~25年経過した建物はその価値が無いともいわれているのに、ほぼ価値がない建物に出た雨漏りまでも売主が責任を負うというのはとても考えられるものではありません。

そこで通常の中古住宅取引売買では、引渡し後一定の期間(よく3カ月以内としています)に雨漏りが発見されたら、買主は売主へ修繕をしてもらえるよう請求できるという売買契約にしている現状が有ります。

売主が引渡し後、いっさいの土地建物の欠陥についての責任を負いたくないと思い、現状有姿で引渡すと契約書に明記しても、実は上記のように売主が知らなかった欠陥(瑕疵)については損害賠償を免れないことになるのです。

現状有姿とは、既に判明している状態のものを、そのまま引き渡すということを意味します。
そのため、売主が知らない隠れた欠陥(瑕疵は知っている場合には適用されません)については現状有姿は適用されないこととなります。

このため、売主は物件引き渡し後3カ月間安心して過ごすことができないこととなってしまいます。
実は買主も3カ月間に欠陥の有無をいろいろ判断しないといけないため、煩わしい期間ともなっています。
売主にとっての3カ月間は長く感じるのですが、買主にとっての3カ月という時間はアッというまであり、この期間では瑕疵の有無はなかなか判断しづらいとも言えるのです。

また、売主がもし瑕疵の責任負担を免れたいとした場合、実は、民法では、売買契約書に瑕疵担保責任を負わない(瑕疵担保免責)と明確にすれば、売主が知らない隠れた欠陥(瑕疵)が発見されても買主に損害賠償を負うことはなくなるという契約とすることもできます。

例えば、住宅ローン返済などに困った売主で既に返済滞納がある物件を売却する場合(任意売却といいます。)にはこの瑕疵担保免責となる売買となります。

では次に、売主が故意に事実を告げない場合(すでに雨漏りが有ることを知っていたのに、雨漏りはないと契約時に買主に申告した場合)の売却はどうなるのでしょうか?。

この場合は瑕疵担保免責としても、損害賠償を請求されることになります。

瑕疵とは隠れた欠陥という意味ですので、売主が欠陥を知っていた場合は瑕疵ではありません。

売主は、不具合がわかっている部分については、しっかりと買主に申告しておかないと、損害賠償を請求されることになりかねません。

不具合があることをしっかりと申告していれば、買主は欠陥の中身がわかった上で購入していることになりますので、後から損害賠償を請求されることはなくなります。

しかし、ここで問題なのですが、この知っている物件の欠陥をちゃんと告知したら物件は高く売れるのでしょうか?

また、もし過去に雨漏りが有り、そのとき修理修繕して今現在発見されていないとしたらどうでしょう?

おそらくその欠陥の度合いにもよりますが、おおよそ考えられることは誰も買う人はいないか、買っても買い叩かれる可能性があります。
せっかく修理修繕してそのことを買主に告知したのに買いたたかれてしまっては売主としては納得できないものです。
では、少しでも高く売るためにはどうしたらいいでしょう?

この問題クリアをすること方法はあります。
それは、購入者が一番気にされることとをクリアすること、もっと具体的に言えば中古住宅購入後の物件へのフォローがあり、なにか修理修繕が必要なことが起こった場合、それを解決できるよう保全がされていればいいのです。

このクリアにはインスペクションの実施と瑕疵担保保険付保がとても有効となります。
また売却開始前にインスペクションを実施し、建物に瑕疵が無いことを把握することで売主にとってもできればとても有利に販売活動が進められます。
当然、インスペクションでは完全に欠陥を発見できるわけではありません。これに瑕疵担保保険付保をセットにすることで安心の担保と出来るのです。
売主の物件引き渡し後の安心は、このインスペクションと瑕疵保険がセットで売却に付加できればかなうこととなります。

買主からみた現状有姿

売主を信じ買った物件がもし欠陥がある物件だった時のことを考えると買主としてはどうしても買うことなどできません。
新築の場合、売主が不動産開発業者の場合がほとんどであり、この場合は物件になにか問題が出たら売主責任で修理修繕がされるようになっていますが、中古物件にはこんなことは普通ありません。
これが中古物件を安心して購入しづらくしている理由の1つとなっています。
ただ、物件に欠陥あるとき売主がちゃんと修理修繕等の対応してくれれば購入することも可能ではないでしょうか。

問題は、売主も一般の人であり買主も一般の人であることです。

買主は欠陥住宅を買いたいのではなく、普通に考えて通常一般的には備わっている本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わった物件を買いたいのです。

しかし、この普通に考えて通常一般的には備わっている本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わった物件という状態を誰が説明できるのでしょう。

今までの一般の人同士の売買では、この普通のことが備わっていないことがリスクとなり売買がスムーズに成り立って来なかったとも言えるのですから。

また、もし現状有姿引き渡しの文言が売買契約書にある場合だけでも、物件引き渡し後の欠陥があっても修繕費用を売主に請求できないことと考え、もし請求できると知ってもその手続きがなかなか面倒なことであるばかりに中古住宅の売買は活発に行われてこなかったともいえます。

買主のこのような不安を解消する目的でできた制度がインスペクションや既存住宅瑕疵担保保険などの保険です。

このインスペクションや既存住宅瑕疵担保保険を付保するなど、買主のリスクを低減する方法で、今まで中古物件を買いづらくしている上記理由などへの不安解消も可能となってきています。
もし売主がこの制度を利用していなくても買主からこの制度利用を購入の条件として検討してみることも検討してもいいのではないでしょうか。

中古住宅売買の活性化は物件の安全担保が鍵

中古住宅を安全安心に買えるようにシステム構築できれば、中古住宅売買の活性化にもつながり、ひいては中古物件の価値上昇になると言えます。
インスペクションや既存住宅瑕疵担保保険付保を義務化するなど、物件引き渡しの売主買主の保護システムをもっと売買に取り入れることで現状有姿売買でも高額売却成約が可能になると言えるのではないでしょうか。