一戸建てと住宅診断(ホームインスペクション)

ホームインスペクション

2018年4月1日から住宅診断(ホームインスペクション)を宅建業者が売主様に斡旋することが宅建業法で決まりました。
売主様と買主様が安心して取引ができる市場環境の整備を図ることを目的としています。

売主様に建物状況調査の制度をご紹介して、売主様がインスペクション事業者の斡旋をご希望するかを確認します。
その他、ホームインスペクションをやったかどうかを重要事項説明書や契約書に記載するようになります。
インスペクションをやれば、建物のコンディションが分かるので安心して売却活動ができます。

どんな検査をするの?

1.外壁

基本は目視で外壁を検査してもらいましょう。
打診棒やクラックスケールを用いて、外壁の浮きやクラック(ひび割れ)の大きさなど、外壁だけでなく屋根の検査をしてもらいましょう。

2.基礎の中の鉄筋

基礎の中の鉄筋の状態を調べます。
鉄筋のかぶり厚さが法定基準を満たしているか、鉄筋の間隔が図面通りかを調べます。
この検査は目視では検査できない検査項目で、特殊機材を用いて行いますのでオプションが一般的です。

3.建物の傾き

床、壁など、建物の傾きをレーザーレベルを検査してもらいましょう。
計測結果は数値であらわし、許容範囲を超えていた場合、修繕のアドバイスなどを教えてくれます。
数値化してある許容範囲をビー玉や目視で判断するのは困難です。

4.建具やサッシ

室内の建具やサッシの検査は単に動作確認をするのではなく、長く使えるように調整されているか検査してもらいましょう。

5.換気の確認

キッチンの換気扇や24時間換気などの換気設備は、動作確認だけでなく、異音などがないかなども検査してもらいましょう。
換気設備のすべてを検査します。

6.給排水

水道の検査では、水の出の勢いなどを検査してもらいましょう。
排水の検査は漏水を中心に検査をします。

8.バルコニー

バルコニーでは、防水の状況、床面の排水勾配や手すりや外壁の状態等も検査してもらいましょう。

9.床下

床束や給排水、コンクリートの状態を点検口から目視で確認します。
床下に潜って点検口からでは目視確認できない場所を確認する床下オプションなどもあり、確認できる範囲や項目が大きく増えるそうです。
また、木材が湿っているとシロアリや腐朽の被害がでる可能性が高くなるので木材含水率計で木材の水分含水率を計ります。

10.天井裏や屋根裏

雨漏りの確認や構造金物の状態を確認します。
屋根裏に潜って検査する屋根裏オプションでは、構造の状態がより広範囲で確認ができます。
また、屋根裏でも木材の含水率も計測します。

その他、次のような検査をします。

検査箇所内容
屋外
 基礎ひび割れ、著しい欠損、鉄筋の露出、浮き、剥がれ、蟻道
 外壁ひび割れ、欠損、浮き、剥がれ、チョーキング、隙間、腐食、白華
 シーリング材ひび割れ、剥がれ
 屋根ひび割れ、欠損、剥がれ、変色やコケの発生、腐食、隙間、ずれ、錆び、浮き、雨漏り
 雨樋破損、著しい変色、つまり、はずれ、ひび
 軒裏ひび割れ、欠損、ひび割れを伴う浮き、剥がれ、雨漏り、腐食
 バルコニー防水層の破断、支持部分の欠損・腐食、床の沈み・欠損・腐食等、手すりのぐらつき・腐食等
 サッシ周囲の大きな隙間、面格子ぐらつき・サビ・腐食、転落防止用手すり(窓手摺りなど)のぐらつき・支持部分の腐食等
 シャッター・雨戸・網戸動作不良
 外部階段構造体や支持部の欠損、取り付け部の破損、踏面の腐食・破損、転落防止用手すりのぐらつき・支持部分の腐食等
室内
 壁・柱・梁・壁面仕上げの剥れ・腐食・カビ・欠損・浮き・剥れ・ひび割れ
 床剥れ・腐食・カビ・染み・めくれ・変色・著しい磨耗・ひび割れ・浮き
 天井壁紙等剥れ・亀裂・腐食・カビ・ひび割れ・欠損
 階段著しい沈み・きしみ・踏み面の傾き
 建具(室内ドア等)動作不良・反り・変形
床下
 土台・床組構造耐力上支障があると思われる部材や接合部の割れ・腐朽・発錆・木材含有水分率
 基礎立ち上がり部分(屋内・屋外)のひび割れ・鉄筋の露出を伴う欠損、耐圧盤のひび割れ・鉄筋の露出を伴う欠損、防湿処置・腐食を伴う著しい隙間等
 束緩み・浮き・腐食・浮き
 災害履歴漏水や火災等の跡、蟻害等の跡
小屋裏・天井裏
 小屋裏・各階間の天井裏梁・桁など構造耐力上支障があると思われる部材や接合部の割れ・金物の不足や緩み・腐朽・発錆(鉄骨造)・木材含有水分率(木造の場合)
 換気ダクト接続不良・欠損
 災害履歴漏水や火災等の跡、蟻害等の跡
設備
 キッチン著しい給水量不足、床上の漏水、封水の吸引・噴出し
 洗面著しい給水量不足、床上の漏水
 浴室著しい給水量不足、漏水
 トイレ著しい給水量不足、床上の漏水
 給湯機・電気温水器周辺の漏水・製造年
 最終枡(敷地内)著しい堆積物・内部の隙間 換気設備の動作不良、火災報知器設置他


費用はいくらかかるの?

基本コースで5~6万円(税別)が相場です。この他オプションを組み合わせると有効です。

オプション内容

検査箇所費用内容
屋根裏詳細調査1万5千円~2万円(税別)屋根裏に上がり移動して確認できる範囲で目視調査します。点検口からは見えない範囲のシロアリ被害や雨漏り、構造の不具合などの有無をより広い範囲で調べます。
床下詳細調査2万円~3万5千円(税別)床下に潜って移動して確認できる範囲で目視調査します。床下に潜ると、床下の見える範囲が大きく変わるので、基礎、シロアリ、土台などの床下のリスクが大きく軽減出来ます。
鉄筋探査機9千円~3万円(税別)鉄筋探知機を使い基礎コンクリート内部の鉄筋の状態を検査します。設計図面通りの鉄筋間隔に施工されているかがわかり手抜き工事がないか確認できます。基礎の耐久性に大きな影響が出る「かぶり厚さ」の確認でき、建築基準法で決まっている基準かどうかも確認できます。


まとめ

購入前に、物件の正しい情報を把握できるのが住宅診断(ホームインスペクション)のメリットです。
建物の状態や耐震性が分かることで、どんなリフォームをすべきか、そのためにいくら必要なのかが明らかになります。
思わぬ不具合が判明する場合もありますが、適切なメンテナンスをすれば、そのまま住める場合がほとんどです。
「ホームインスペクション済み」という付加価値は、安心、安全という観点から購入者だけではなく売主側のメリットにもなります。
是非、この機会に住宅診断(ホームインスペクション)を行ってみては如何でしょうか。

ご参考になりましたでしょうか。
次回は、一戸建てと保証サービスの仕組み・注意点(既存住宅売買瑕疵保険)です。