バブル崩壊の前兆「不動産市場の“『の』の字現象”」が顕著に2016年(平成28年)4月22日』

平成27年11月、17カ月連続で上昇が続いていた東京23区全域の中古マンション値上がりがピタリと止まりました。
統計の取り方によってはまだ今年1月まで上昇していたというものもありますが。
中でも局地バブルが発生した都心3区(中央区、港区、千代田区)はとうとう下落に転じています。

近著に「新築マンションは買ってはいけない!!」(洋泉社)がある住宅ジャーナリストの榊淳司氏は言っておらえます。

「私がかねて指摘してきた、不動産市場の“『の』の字現象”が顕著になってきました。
東京の山手線内と城南、湾岸エリアの局地的バブルが、川崎市の武蔵小杉周辺、横浜のみなとみらい地区まで波及し、
これが八王子→多摩→高尾を通過すると、埼玉の大宮、越谷付近をグルッと回り、最後は千葉県にたどりついてドーンとバブルがはじけるという理屈です。
点をつなぐとちょうど『の』の字になります。平成バブルとまったく同じ現象が起きましたが、今は大宮あたりまでバブルが波及しています。
崩壊まで秒読み段階に入りました。」と。

この現象、もう千葉県松戸市まで辿り着いて来ました。
今まで内覧会してもチラシ配布しても反響無かった物件が徐々に反響を取りだしたかと思った矢先、成約になったんです。
私の知人の不動産鑑定士の先生はこの松戸市に不動産を所有していますが、この好機を逃すまいと早急に売却に動かれています。
さすがに専門化の動きは的確で早いです。

さて、高尾の新築マンションが完売したという報道が有ったのが3月21日。

今は4月22日、ちょうど1ヶ月前のこととなります。
東日本不動産流通機構の発表でもこの“『の』の字現象”ははっきりと起こっています。

月例マーケットウオッチ(平成28年4月11日東日本不動産流通機構発表)
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/mw_201603_summary.pdf

さて、このままでは4月28日の黒田日銀総裁の定例報告が有ります。
そこでどのような会見があるのか?
いずれにしても今回の会見は初のマイナス金利政策後の会見なので興味津津です。

しかもその後5月18日に2016年1-3月期のGDP速報値が発表になります。第2次速報が6月8日。
今の状況から、これはマイナスになりそうな気配が濃厚です。
安倍首相は言っておられました。
大災害が起こるかでもしたら増税は延期せざる負えないと。
そして今回の熊本地震。
ということで「こんな状況で消費税10%はないよな」という空気が生まれます。

それを受けて「消費税無期延期を世に問う」という大義名分を掲げて6月1日一気に衆議院解散でしょうか。
その後の展開が楽しみになって来ました。

昨年の首都圏の新築マンションは不動産経済研究所の発表で40449戸、対前年比9.9%減。今年の予測は43000戸ということになっています。

確か、2015年の不動産経済研究所の供給予測は45000戸でした。
不動産経済研究所はマンションデベロッパー各社にアンケート調査してその数字を出しているはず。
そして、新築マンションの販売計画というのは1年から2年先までは、各社ともにほぼ確定しているものです。
なのに、予測の1割減ということは、わざと出していないということです。
平成26年はかなり調子よく売れていた、にもかかわらずです。

それがどういうことかと考えると、予定通り出さなかったのではなく「出せなかった」ということだと考えられます。
その原因は、「出しても売れないだろう」と考えたから。
「消費税増税は延期になるからその後時期を診て売り出そう」など悠長なことを考えていいた訳ではないはずです。
多分、価格が高くなりすぎて成約出来ないだろうと考えたのだと思います。

しかし、消費税無期延期となった場合、新築マンション市場は一気に出て飽和状態になるのではと考えられます。
その場合、果たして今の中古マンション市場はどうなっていることでしょう。
こう考えると、今が最後のマンション売却の時期なのかもしれません。
動くなら迅速に。
もう不動産のプロ達はとっくに動いています。