Top / 2018年(平成30年)のマンション売買市況について

マンション市況とマンション市場、マンション価格の関係を徹底解説

更新日2020-06-01 (月) 10:48:00 公開日2018年4月1日

ここでは、2019年(平成31年)迄のマンション売買市況と、2020年(令和2年)以降のマンション売買市況とを、レインズから発表されているマンション市場のデータを見ながら、これからのマンション価格がどうなるかを予測し、あなたのマンション売却に生かしていただきたいと思い解説します。

★目 次【マンション市況とマンション市場、マンション価格の関係を徹底解説】★


市況とは、株式や商品などの市場での取引(売買)の状況を言います。
従って、マンション市況とは、マンション市場での取引(売買)の状況を言う訳です。
マンション市況が良いとか、悪いとか言うときは、マンション市場の取引(売買)状況が良いとか悪いとかを言っているわけです。

不動産業界で用いられる「市場」という言葉は、イチバではなく「シジョウ」と読みます。
マンションの売り手と買い手が出会って取引が行われる場所のことなのです。
たとえば、マンションを売ろうとする人が、買いたい人を見つけるのは大変ですが、売買の注文が集まる「市場」に参加すると相手が見つかり、売りと買いが合意することで売買が成立する場所を市場と言うわけです。
市場では、売りたい人が多ければマンション価格は下がり、買いたい人が多ければ上がります。
つまり、「マンション市場」とはマンションの“買い手”と“売り手”を結びつけ、それぞれの動きから妥当な価格を見つけ、取引を継続的に維持する「場所」と言えます。
日本では「マーケット(market)」と置き換えて用いることも少なくありません。

マンション市況は『新築』と『中古』の2つある

まずマンション市況は、新築のマンション市況と、中古のマンション市況が有ります。
その違いは、売主の違いだけでなく、マンション市場形成の違いにもあります。
ここでは中古のマンション市況は、あなたがマンションを売るとき、どう影響するのか⁉を中心に解説していきますが、新築マンションの市況をも比較検証しなければ中古マンション市況を解説するのに片手落ちになってしまいます。
新築マンションの市況は、中古マンション市況に大きな影響を与えるものなのです。
その結果、密接に関係しているマンション市場にも大きな変化をもたらします。
マンション市場もまた、新築マンション市場と中古マンション市場の2つが有り、それぞれがマンション市況を形成しているのです。

ポイント マンション市場の状況=マンション市況
     マンション市場もマンション市況も『新築』と『中古』の2つがある!


マンション市況、マンション市場とマンション価格の関係

「マンション価格」を、よくマンションの相場はいくらか⁉という事で置き換えることが有ります。
この相場とは、市場で取引されるおおよその価格のことであり、マンション市場で自由なる売買によって決まるマンションの値段・価格を言っています。
このマンション市場には、価格の形成を通じてさまざまなアンバランスを調整し、最適に導く機能があるとされています。
そうやって調整されたマンション市場での取引(売買)の状況(マンション市況)が、市況が良いとか悪いとか言われているわけです。

マンション価格は、マンション市場によるさまざまなアンバランスを調整し、最適に導く機能の結果としての価格と言うわけです。

マンション価格の形成要因

マンション価格は、マンション市場により調整された結果としての価格と先に言いましたが、この調整する要因はいったいどのようなものなのでしょう。
マンションについてみれば、その要因とは大きく分ければ、2つあり、ひとつは制約や規制がその要因となり、もうひとつは競合するマンションの存在になると言えるでしょう。
制約や規制は、日本のように統制された政治の下では、故意に操作することできますが、しかし、競合するマンションの存在は故意に操作できるものではないでしょう。

マンション価格は、この2つの大きな要因により決まりそうです。
では、もし制約や規制が故意に操作されないとき(2019年は故意に操作された年です)、マンション価格は競合により決まることになりますが、その競合にはどんなものが考えられるのでしょうか⁉

マンション価格に影響を及ぼす『制約や規制』

マンション価格が大きく変動する前に、必ず起こることがあります。
それは、制約や規制が廃止されたり新規発効されることです。
2019年は、消費税が8%から10%へ増税されました。
この増税により、商品としての新築マンションや、不動産会社が買取転売のため所有している中古リノベーションマンションの価格は大きな影響を受けました。
土地には消費税はかかりません。しかし、建物には消費税が掛かる為、建物価格部分の割合が高いマンションはその分、大きな影響を受けることになり、この影響がマンション価格に悪影響となることが必至なのです。

マイホームなどで利用されているマンションをわたしたちが売る場合、この消費税はかかりません。ただし、新築マンションやリノベーションマンションの価格に大きな影響が有るという事は、自然と中古マンションにも波及してくると予測でき、やはり中古マンション価格も大きな影響を受けることになるのです。

過去にもマンション市場が思わしくない状況へ変わろうとして、マンション市況が悪化しようとしたとき、政府や日銀は数々の制約や規制を廃止したり新規発効したりして、この悪化を食い止めてきました。
但し、それらの効力も消費税増税と言う大規制の前には無力になる可能性が有ります。

事実、消費税増税後の2019年10月のマンション市場は、マンション成約数もマンション成約数前年対比率もすべてが大幅な落ち込みを記録しています。

マンション価格に影響を及ぼす「直接的な競合」と「間接的な競合」

マンション価格が大きく変動するとき、実は「直接的な競合」と「間接的な競合」の存在が考えられます。
以下では、まず中古マンションの「直接的な競合」と「間接的な競合」についてみてみましょう。

①「直接的な競合」とは

まず、「直接的な競合」についてですが、これは所有者のあなたが一番解るのではないでしょうか。
あなたの売る、または売ろうとしているマンションに類似する、売り出すと絶対に買い手がどちらも内覧するだろうというマンションが直接的な競合になります。

類似するとは、同じマンション内に在る他のお部屋だったり、または同じ駅を利用する駅までの距離も似ている、同じような間取の他のマンションのお部屋だったりなことが有ります。

比較し注意すべきは、「駅からの距離及びアクセス手段と所要時間」、「専有面積」、「築年数」、「所在階」です。
これら要素が類似したマンションが直接的な競合となり、必ずライバル物件となります。
ライバル物件はあなたがマンションを売る時、全く無いと言うよりは、1~2件ほどあった方が良い場合が有ります。
それは、互いに買い手に物件アピールすることで、購入意欲が上がることが人間心理で分かっていて、その結果、どちらかが成約することが多いからです。
もし、先にライバル物件が成約した場合、それを買い逸した人の購入意欲も刺激することも分っています。

この競合するライバル物件が多くなればなるほど、販売活動は難しい局面が多くなり、時にこれらライバル物件が価格変更をした場合、あなたの売るマンションも価格の変更を余儀なくされるでしょう。

但し、問題は、タワーマンションなどにみられる同じマンション内で、売り物件が同時に多く出ている時です。
このときは、成約価格は低く誘導され、しかも成約までの時間もとてもかかる場合が多いのです。

このように「直接的な競合」なるマンションが少ない場合、あなたのマンションは有利に販売活動ができ、しかも成約価格は良いものになる可能性が有ります。
但し、売り物件が多い場合は販売環境が悪く、どうしても他のマンションと比較検討され成約価格は低いものとなるでしょう。

②「間接的な競合」とは

下記のグラフをご覧ください。
この図は、レインズから発表されているデータをグラフ化したものです。
このグラフから読み取れる市場の変化が間接的な競合になります。
直接にはあなたのマンションの競合とはならないものの、但しマンション市場における販売中マンションの在庫数、および成約数の増減は、あなたのマンション販売の時に応援となり、時に妨げとなる場合が有ります。

アベノミクス始まり後から2019年3月までは、間接的に競合するマンションの在庫数、および成約数が増えたことが追い風となり、マンション市場はとても良い環境となっていました。
良い風が吹き、その風に乗って市場が動き、また良い風が吹くと言う好循環を生んでいたのです。

ただし、この風はいつまでも同じ方向には吹いてくれないのです。
バブル崩壊やリーマンショック時のマンション市況の悪化は、良い風が止まり、凪になり、逆風が吹き始めたことで起こったのです。
一旦逆風が吹き始めると、その勢いはすさまじいものです。
この時には悪い風が吹き、その風に乗って市場が動き、更に悪い風が吹くと言う悪循環を生みます。

アベノミクスで始まった良い風は、いつかは止まります。

その時に、ただ1戸売るマンションが増えただけでは、競合とはならない遠いマンションでも、しかしその総数が多くなると買い手が選べるマンションの数が多くなり買い手の選択肢は増え、結果、売却時の競合になることが有るのです。

実は、この間接的な競合戸数が多くなればなるほどマンション市況は悪くなる傾向が有り、2019年以降はこの間接的な競合戸数が多くなりつつあり、2020年に入って益々増加傾向にあるのです。

中古マンション成約件数(2018年12月まで)

買いたい人が増え、成約件数が増えると、マンションを売る人も増えます。
それは、買いたい人の総数が増えることにより成約価格が徐々に上がるからにあります。
上下グラフでは、この関係が数値で表されています。

中古マンション販売新規登録件数2018年12月まで

以下のグラフは、2019年3月末までの4半期ベースで単価をグラフ化したものですが、3月末まではまだまだ成約数も新規に販売開始される人も増え続けているという現状が表れています。

中古マンションの推移2019年3月まで

下記のグラフをご覧ください。
マンション市場が活況である結果、販売開始されるマンションも成約したマンションも1㎡単価も成約価格もどんどん上昇しています。

中古マンション1㎡当たりの単価(2019年3月まで)


首都圏 中古マンションの成約単価)

不吉な予兆は既に始まっています。
下のグラフをご覧ください。
このグラフで表している不吉な兆候とは、成約価格が新規販売価格を越えていることにあります。
成約価格が新規販売価格を越えるということは、先行きマンション市場が悪くなるという前兆なのです。

中古マンション成約価格(2018年12月まで)

成約しているマンションも新規で売り出し開始するマンションも、その専有面積はそんなに変化が有りません。
但し、築年数では大きな変化が見られます。
この開き幅が徐々に広がっているにもかかわらず、しかし成約価格&新規販売開始する価格に逆転現象が起こったという事は、売り手が価格面で弱気になってきていることの表れでしかないのです。
このことは、これから先のマンション価格に大きく影響することは間違いないでしょう。
こうしたマンション市場の変化、特に間接的な競合の変化は、これから先のマンション市況を悪化させ、ひいてはあなたのマンション売却時の脅威になることになるのです。

中古マンション成約平均面積、販売中平均面積(2018年12月まで)


中古マンション成約、販売中の築年数(2018年12月まで)

2つの競合の未来予測

中古マンションの「直接的な競合」と「間接的な競合」について解説してきましたが、2019年7月の今、これから先は「直接的な競合」としてのマンションも、「間接的な競合」としてのマンション在庫も多くなることが予測できます。
しかし、買い手は少なくなるとの予測しかないのです。
一旦逆風が吹き始めると、その勢いはすさまじいものです。

従って、マンションを売る場合、早め早めの決断と、動きが必要になります。

マンション市況&マンション市場&マンション価格・まとめリンク

マンション市況、マンション市場、マンション価格について、いろんな角度から検証した記事をアップしています。もっと詳細を知りたい方は参考にしていただければと思います。

2019年のマンション市況について

 ☛ 2019年(平成31年度)のマンション売買市況について

2019年以降のマンション売却のタイミングについて

 ☛ マンションは今後7年後までに売却が絶対条件かも 


になります。

コーラルは、毎月最新のデータをグラフ化し皆様にお届けしています。
これからもコーラルの発表するマンション市況報告をどうぞよろしくお願いいたします。

マンション市況とマンション市場、マンション価格の関係・まとめ

以上、マンション市況を、マンション市場での取引(売買)の状況(レインズから発表されているデータ)を見ながら解説を進めてまいりました。
マンション市況の好、不況感を表すバロメーターとなる、マンションの売買取引数とマンション価格の高低は、数々の制約や規制がその要因ともなり得るという面と、また「直接的な競合」と「間接的な競合」が影響を及ぼす点がご理解いただけたのではないでしょうか。
これから先、この2つ、制約や規制が変わる時と、また「直接的な競合」と「間接的な競合」の変化が起こる時は足元に迫ってきています。
この変化を察知して、あなたのマンション売却に生かしていただきたいと思います。

2020年1月12日

コーラル株式会社
代表 井上正子

市場調査部 
大久保一馬