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囲い込みの実態、【レインズ登録義務違反の実際】巧妙な不動産業者の「売却物件の囲い込み」の手口とは?

更新日2021-10-07 (木) 12:42:10 公開日2017年1月19日

マンション売却時や、一戸建て売却時の売主を欺く行為、不動産業者の囲い込みの実態とその手口をご存知でしょうか⁉
この囲い込みは、レインズ登録義務違反という重い制裁を受ける行為にもかかわらず、どうどうと行っている不動産会社の実際を解説しながら、如何にあなたが不動産業者に騙され、餌食にされているかを知っていただきましょう。

★もくじ★【レインズ登録義務違反】巧妙になった「売却物件の囲い込み」の手口とは⁉


不動産業者と囲い込み

不動産業者って、自身の儲けのためならそこまでやるのかというくらい、悪質な行為「レインズ登録義務違反」をして売主様を裏切ってしまいます。

マンションを売るときや、一戸建てを売るとき売主様から売却の依頼を受けた不動産業者は、自らの販売活動と併せて、物件情報を国土交通大臣が指定した不動産流通機構(レインズ)に登録して、広く買主を募るように義務付けられています。
理由は、不動産は社会資本と言われ生活基盤となるという考え方から、全国約12万社ある不動産会社に売却情報を拡散し、少しでも広く買い手を探し、売主様、買主様が不利益を被らないとようにという思惑からなのです。

ところがこの義務を悪質なる手口で翻弄し、売主様、買主様の利益を阻害する動きが所狭しと活発化しているのです。その活発に動いている状況として「売却情報の囲い込み」があります。

売却情報の囲い込みはレインズ登録義務違反なのですが、しかしそんな事関係ないとばかりの不動産業者の所業はあまりにも悪質なる行為なのです。

ここでは、この囲い込みを防ぐために改定されたレインズの登録制度と、そのレインズ改定をものともしない不動産業者の最新囲い込みの手口を公開します。

益々磨きをかける不動産業者の囲い込みの手口は、あなたのマンション売却時や、一戸建て売却時に大きな利益損失となることを知り、囲い込みに合わないよう不動産業者を監視するしかありません。

レインズのシステム改良

一戸建てやマンションなど不動産を売却するとき、ほとんどの売主は買主を自分で見つけることはできず、不動産業者に購入者を探してほしいと依頼契約(これを宅地建物取引業法で媒介契約といいます)して、依頼を受けた不動産業者は売却物件としてマーケットで売り出します。

この時、不動産業者はレインズという不動産売買情報システムに物件情報を登録したりして購入者を探します。
このレインズへの登録は、媒介契約の3種類(一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約)の中でも専属専任媒介契約と専任媒介契約は登録を義務付けられていて、一定の期間の間に必ず登録しなければならなくなっています。
登録しなければ「レインズ登録義務違反」となり厳しく罰せられるのです。

なお一般媒介契約は登録は義務付けられていません。

☛媒介契約の種類と内容はこちら


何故、このように決まっているかというと、不動産という物件の売買は一番高価なものであり、情報を広く一般的に公開する事で売買に不公平さを無くす事を期待した結果として、宅地建物取引業法で決まっているのですが、このレインズを利用した囲い込みは、不動産会社しか閲覧できない現状を利用し、消費者である売主買主に不利益になるように導くという悪質な手口が横行していました。

この悪質な囲い込み「レインズ登録義務違反」を無くすための打開策として、レインズは新しく取引状況の登録制度を導入し、売主から確認できるようにする改良が2016年1月より始まりました。

具体的には、売買の取引状況を下記の3種類の進捗状況管理(ステータス管理)で管理運営することとなったのです。

レインズで公開中

これは、他社からの購入希望者紹介を受け付けます。

紹介とは購入申込みだけではなく、物件の詳細を回答したり現地案内を受諾したりと、情報を外部に提供する行為が含まれます。

レインズに「公開中」の物件は、原則として紹介を拒否できません。

しかし「取引状況の補足」で拒否理由に該当するものがある場合は、上記の行為を拒否できるものとされています。

例えば、売主の都合で現地案内の日時指定がされている場合などは、内覧希望者が売主の指定外の現地案内を希望するときについて断る事が可能となります。
これを堂々と利用し、売主様に了解を取らないまま、売主様の意向という理由を勝手につけて囲い込みをしているのです。
もはや確信犯なのです。

「レインズ登録義務違反」は、今も昔もどうどうと大手不動産業者を核としてこの「レインズ登録義務違反」を行っています。

書面による購入申し込みあり

他社から購入申込みが有った事を意味しまます。

よってこの時には他の紹介を拒否できます。
購入申し込みとは書面だけではなく最近の傾向を反映し電子メール等での申込みも含まれます。

レインズ登録画面が「書面による購入申込みあり」に変更されると、当該の購入申込みが破棄されるまで「公開中」に戻りませんが、売主の意向によっては他の購入者や内覧者の紹介を受け付けることも可能です。

その場合は「取引状況の補足」にその旨が明示されるようになっています。

売主都合で一時紹介停止中

売主に意向を確認した上で、他社への紹介を一時停止します。

停止理由や停止期間など詳細な内容は、「取引状況の補足」に明示するルールです。

完全に紹介を拒否できますが、この取引状況に変更するためには、必ず売主の意向を確認しなくてはなりません。
紹介を一時停止する売主の都合が解消されれば、それを受けて「公開中」に変更されます。

売主から取引状況が確認可能に

レインズは不動産会社しか利用できなかったため、今回の変更が無かったときは取引状況を登録項目に追加しても、売主から任意に確認する方法がありませんでした。

そこで、レインズはこの状況を改善し、売主も自分の売却中物件についてのみ取引状況を確認できる専用画面を設けることで、意図しない取引状況による囲い込みをチェックできるようしました。

確認には、媒介締結した不動産業者からレインズの登録証明書に記載された個別のID・パスワードが取得する必要が有ります。

実際はこの個別のID・パスワードは依頼者へ教える義務が不動産会社に有り、実際に売却依頼してレインズに登録してもらった人は、その依頼者にみレインズの登録がどうなっているかを確認することが可能となっています。

尚、レインズへの登録義務があるのは専属専任媒介・専任媒介だけなので、一般媒介で契約した場合は不動産業者のレインズへの登録義務がないためレインズには登録されないものとなります。

インフルエンザ(コロナ禍が怖い)ので延期してくださいって?

不動産屋さんの悪行として知れ渡った売却物件の囲い込みが、レインズのステイタス管理(売却進行管理)で防止されているかというと、全く囲い込みは続いています。
「レインズ登録義務違反」は横行したままなのです。

悪行高い不動産屋は、ステイタス管理なんぞお構いなしに今も手段を変え言葉を変え、どうどうと物件囲い込みをしています。

その手口はとても巧妙になってきていますね。
さて、どんな巧妙な手口で囲い込みは続いてるか見てみましょう。

最近よくある内覧出来ない理由で多いものでは、内覧希望者側不動産業者に、内覧前日の夜とか当日の朝一で、「売主様からお子様がインフルエンザで延期してくださいと言われています。」とか「売主様が急に仕事になってしまって対応できないから延期してください」とか、「家族内で調整が上手くいっていないから延期してください」とか、ま~、その理由は様々です。

おそらくは反対に、売主様には内覧希望者がインフルエンザで延期してくださいと言われていますから延期とか、内覧希望者が急に仕事になってしまって予定を延期してとか、何かしらの理由で延期してくださいって言っていることが多いです。

不動産屋さんは囲い込みの為だったら、あの手この手を使って囲い込みを続けているんです。
特に、この手を考え付く不動産屋さんって、先年問題になった囲い込み常習犯の不動産屋さんが続けています。
コーラルではセカンドオピニオンサービスで、何故売れていないのかを現状調査し売主様にその結果をお伝えしていますが、この内覧延期理由を内覧前日夜とか内覧当日朝とかに言われて延期になったという調査結果はとても多くなってきています。

この手法で囲い込まれたら調査しようがないので、とておも巧妙で悪辣な手口です。

実は、これ以上の囲い込み手口を最近発見しました。
この場でお伝えするとその手の業者に利用されてしまうのでコメントするのは控えさせていただきますが、もしどうしても知りたいという方は、コーラルまでお問い合わせください。

取引状況の変更はリアルタイムではない

取引状況や取引状況の補足は、実際の取引状況に応じて随時変更されていきます。
ただし、取引状況の変更は、原則として売主に確認した上で、変更原因が発生してから2営業日以内とされており、リアルタイムに反映されるものではありません。

取引状況は、媒介契約等で事前に売主から承諾を得ておくことで、毎回売主へ確認しなくても変更することも可能です。
これは、取引状況が変わったにもかかわらず、売主と連絡が取れずにレインズ上で取引状況の変更が間に合わなくなるのを防ぐためです。

その場合でも、「売主都合で一時紹介停止中」への変更は、売主の意向を確認せずに行う事はできません。

その代わり、取引状況の補足に取引状況の変更日を明示する事で、タイムラグが起こりやすいシステム運用に対応しています。
このため、売主向けの確認画面で取引状況が変更されていなくても、2日後くらいに再確認すれば変更されていることとなります。

以上が、今回のレインズの囲い込み防止策としての改善となります。

しかし、この変更にもかかわらず囲い込み「レインズ登録義務違反」防止に本当に有効かどうかはなはだ疑問となりそうです。
事実、最近の囲い込みはとても巧妙になってきています。
不動産業者って私が言うのも変ですが、「えっ、こんなこと考えつくんだっ、うまく考えつくもんだなぁ・・・・・」って言うことを平気で考えつきます。

以下ではその巧妙になったいくつかの手口についてみてみましょう。

取引状況を利用した囲い込み「レインズ登録義務違反」

取引状況の3つのステータスのうち、「売主都合で一時紹介停止中」は売主に覚えがなければすぐにバレてしまいます。
さすがに「売主都合で一時紹介停止中」を利用して、完全に他社を遮断する囲い込みはしないと思われます。
しかし、「公開中」と「書面による購入申込みあり」はどうでしょうか?

この状況を利用し物件の囲い込みをすることは事実上可能となります。

実際の手口を見てみると、取引状況の変更で生じるタイムラグを言い訳に、「公開中」のまま実際は購入申込みがあったと装う囲い込みが考えられ、実際これに該当するであろう行為が多少なりとも見受けられています。

レインズ上で取引状況が変更されるまでにはタイムラグがどうしてもあるので、購入申込みの有無はリアルタイムでわからないこととなりますので、この状況を上手く利用した囲い込みが起こり得ます。

しかし、まだまだこの手の囲い込みは可愛いくらいの行為が考えられていて、実際そのことが行われているから、不動産業者ってとても怖いものですね。

ではここからが最も確認困難な囲い込みの実態についてみてみましょう。

レインズに販売中というステータスが有ったとします。
そこで購入見込み者のいる不動産業者は売主側のレインズ登録業者に問い合わせをします。

この時、売主側の不動産業者は、購入申込みがなくても、レインズを経由しない商談が進行中だと伝えます。
こうするだけで、大抵の不動産会社は二番手以降なら紹介してもらおうと思わないであっさりとご紹介をあきらめます。

さらに「取引状況の補足」へ明示することで、売主の意向に合わない紹介希望は拒否することができます。

具体的には、売主の都合で現地案内の日時指定がされている場合のことですが、この状況を利用しなかなか内覧希望者と内覧日時の調整がつかないと言い訳することで囲い込みが出来てしまいます。

私たち不動産業者も、売主のプライバシーなど「取引状況の補足」欄に全てを明示しにくいので、紹介希望があったときに口頭で説明することも許されています。

口頭説明を悪用されると、売主が伝えてもいない理由で紹介を断ることも出来てしまいます。

これについてはどうしてもレインズ上で「取引状況の補足」に表示されないので厄介です。

このように、他社からの紹介希望を断る手口は複数残されており、悪徳な不動産会社は今も巧妙に囲い込みを続けています。

もっと困難なことが囲い込みを複雑化しています。

それは、物件内覧は内覧実施の日の前日までに調整することが普通ですが、物件内覧の日時の調整がなかなか売主とつかないと言い訳をして、その実、内覧希望者の内覧希望日の朝に、内覧ができるようになったから是非と言われる事です。

これは非常に困ります。

内覧希望者は既に他の物件の内覧を予定済みで変更ができず、時間の調整がつかなくなるからです。
実は今、この手の囲い込みが急増しています。

また、何とかして時間都合つけて、内覧終了しても、その後の対応がまた最近では変化してきています。
それは、内覧した後、内覧者が内覧した物件を購入したいと考えた場合、書面(購入取り纏め依頼書や買付証明書など)かメールで、

売主側の不動産業者に申し出するのですが、この時、売主側の不動産業者は販売価格満額でないと受け付けませんと言います。

中古住宅の場合、ほぼ間違いなく価格交渉が入りますが、販売価格満額ではないと受け付けないと言われてしまえば、もうどうしようもないという状況となってしまいます。

購入希望者が満額で購入希望を出しても、実はこの先にもハードルが待っています。

そのハードルとは、銀行の事前審査を通った方ではないと受け付けないと言うのです。

確かに、コーラルも事前審査を通った人としか売買契約は進めません。

しかし、この事前審査には通常書類用意から銀行への申し込みまで最短でも3日はかかります。
もし、忙しい購入申し込み者ならこの時間は1週間や10日はかかります。

その間は売主側の不動産業者は販売活動は続けるのが普通です。(この場合はコーラルも販売活動は続けます。)
そして、その間に売主側不動産業者は自社問い合わせの購入者を受付し、この方が満額回答でなくてもそちらを優先することなど平気で行ってしまうのです。
もうこうなったら囲い込みではないためどうしようもないとしか言いようが有りません。

書面による購入申込みありでの囲い込み「レインズ登録義務違反」

「書面による購入申込みあり」では、他社への紹介を拒否できる代わりに、取引状況の変更を売主からも確認できるため発覚しやすいです。

しかしながら、本当は購入申込みがないのに、購入申込みを装うことはできます。売主から購入申込書を求められても、偽造するくらいは簡単にできてしまいます。

もし、売主が偽造の購入申込書でその気になってしまったときは、時間を置き、さも住宅ローンの事前審査が通過しなかったように偽装することなど簡単にできてしまい、購入希望者から断ってきたとすればそれで終わりです。

こんな状況をする業者がいるから驚きです。

レインズ登録義務違反への対策として

これまで囲い込み「レインズ登録義務違反」の説明と、レインズでの対策について説明してきました。

囲い込みがいかに売主へ不利益を与えるか、良くご理解いただいたのではないでしょうか。

囲い込み「レインズ登録義務違反」は宅地建物取引業法違反で犯罪です。レインズもこのことには目を光らせ、なんとか排除しようと躍起になっています。

しかし、その実、囲い込みは巧妙にその姿を変えてきます。

対策しても鼬ごっこと言えるのです。

売主としての対策は、レインズの登録証明書を必ず受け取ることは確実にしてください、

また、売主向けのレインズ内の確認画面で定期的に取引状況をチェックすることが重要となりますので定期的にチェックすることをお勧めします。

また、上記の事実はどの不動産業者でも思い付き、実際は簡単に行うことができてしまいます。

大手不動産会社でも安心ではありません。否、大手不動産業者ほど囲い込みをしている傾向が強いので、囲い込みにおいては不動産会社の知名度など全くアテにならないと思っていた方が良いと言えます。

契約行為は信頼で成り立つのですが、囲い込みは契約相手の不動産会社に裏切られているのですから、不動産会社選びは慎重に行う必要があるのです。