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【基本】固定資産税、都市計画税と不動産の所有・購入・売却・お得な納付方法を解説【押さえよう!】

更新日2020-03-11 (水) 03:43:42 公開日2018年6月17日

不動産所有者には、毎年5月、6月頃に納税通知書が毎年送られてきます。
この納税通知書こそ、固定資産税と都市計画税です。
毎年毎年、納めなくてはなりません。
さて、今年も納税の準備の方は大丈夫です⁉

日本国内で不動産を所有している人と切っても切れない関係の税がこの固定資産税、都市計画税です。

ここでは、所有する土地や家屋及び償却資産に課税される固定資産税、それから都市計画税について、その算出方法や、実際に税金を納める方法までを解説します。
最後までお読みいただければ、お得な納付方法も知ることができます。

★目次★【基本】固定資産税、都市計画税と不動産の所有・購入・売却【押さえよう!】


固定資産税について

固定資産税は普通税に属し、1月1日時点での「土地や家屋などの固定資産の所有者」に対して各市町村(東京都23区内においては東京都)が、都税や県税として課税しています。
固定資産税の税額は、基準となる評価額(固定資産税評価額)から算出されており、その基準は各自治体の評価次第で金額が変動します。
不動産業者は、この固定資産税と都市計画税をあわせて「固都税」と呼び、売買時に売主と買主間の精算などで毎回計算している税なのです。

固定資産税の計算の基本

固定資産税の計算には課税標準額(固定資産税評価額)が用いられますが、実は税率(標準税率)も地方税法の「第2節 固定資産税」で以下の通り範囲が決まっています。

地方税法第350条(固定資産税の税率)
第三章 市町村の普通税
第二節 固定資産税
第一款 通則(第三百四十一条―第三百五十八条の二)
平成29年4月1日現在(未施行改正なし)

(固定資産税の税率)
第三百五十条  固定資産税の標準税率は、百分の一・四とする。

2市町村は、当該市町村の固定資産税の一の納税義務者であつてその所有する固定資産に対して課すべき当該市町村の固定資産税の課税標準の総額が当該市町村の区域内に所在する固定資産に対して課すべき当該市町村の固定資産税の課税標準の総額の三分の二を超えるものがある場合において、固定資産税の税率を定め、又はこれを変更して百分の一・七を超える税率で固定資産税を課する旨の条例を制定しようとするときは、当該市町村の議会において、当該納税義務者の意見を聴くものとする。



特別な事情がない限りは、この標準税率を使いましょうとなっているのです。
実際、大多数の自治体がこの標準税率「1.4%」が採用されています。

固定資産税・税額=固定資産税評価額(土地・建物)×税率1.4%(標準税率)


土地の固定資産税

まず土地についてですが、以下の様な方法で決まります。
納税額=課税標準額×1.4%
ここで厄介なのが、課税標準額の算出方法です。
難しそうな言葉が頻出しますが、落ち着いてゆっくりと計算すれば大丈夫です。
尚、土地とは宅地を始め、田、畑、池沼、山林、原野などを言います。

住宅用地にある場合

始めに、土地が住宅用地にある場合を想定します。

予め、本則課税標準額を計算しておきます。

土地が、住宅一戸あたり200㎡までの小規模住宅用地にある場合は本年度価格×1/6を、それ以外の一般住宅用地ですと本年度価格×1/3を本則課税標準額とします。

続きまして、前年度課税標準額÷本則課税標準額の値を求めます。
この値が1以上ですと本則課税標準額が課税標準額となります。
1未満ならば課税標準額は、前年度課税標準額+(本則課税標準額×0.05)とします。

いずれの場合も本則課税標準額を上限とし、課税標準額が本則課税標準額の20%を下回ってしまう時には、本則課税標準額の20%を課税標準額とします。

商業地に在る場合

続きまして、土地が商業地にある場合を見てみます。
先ず、前年度課税標準額÷本年度価格の値を求め、これを負担水準とします。
負担水準が0.7を超える場合には、課税標準額は本年度価格×0.7となります。

負担水準が0.6以上0.7以下ですと、前年度課税標準額を課税標準額とします。
同様に0.6未満ですと、課税標準額は、前年度課税標準額+(本年度価格×0.05)の計算値となります。

但し23区内の場合ですと、商業地等の負担水準上限引き下げ条例減額が為されております。
これにより負担水準の上限が65%に引き下げられ、実質的には本年度価格の65%が課税標準額の上限になります。

農地に在る場合

最後に、土地が農地にある場合です。
土地が「保全する農地」、つまり生産緑地にありますと、課税標準額は
前年度課税標準額×負担調整率となります。
負担調整率は、負担水準の値によって決定されます。
負担水準が0.9以上ですと1.025。
0.8以上0.9未満ですと1.05.
0.7以上0.8未満ですと1.075。
0.7未満は1.1となります。
但し、本年度価格を上限とします。

次に、土地が「宅地並み課税の農地」、つまり市街化区域農地に在る場合です。
先ず、前年度課税標準額÷(本年度価格×1/3)を計算します。
この値が1以上ですと、本則課税標準額(本年度価格×1/3)が課税標準額となります。
反対に1未満ですと、前年度課税標準額+(本則課税標準額×0.05)の計算値が課税標準額となります。
但し、本則課税標準額を上限とし、課税標準額が本則課税標準額の20%を下回ってしまう場合には本則課税標準額の20%を課税標準額とします。

以上で、土地の課税標準額の算出法の説明が終わりました。

家屋の固定資産税

家屋の固定資産税は、(課税台帳に登録されている価格)×税率1.4%で求められます。
課税対象となる家屋には、一般的な住家のほか、事業用の店舗や工場、倉庫などがあります。
但し、床面積要件を満たしている新築の場合は新築住宅減額措置があり、今年度課税標準額×税率1.4%を計算した額の半分が相当税額となります。

床面積要件とは、以下に示す床面積が50㎡以上で280㎡以下の場合を満たしている事です。

●一戸建て住宅の床面積。

●店舗などが含まれる併用住宅の床面積。
但し、居住部分の床面積が全体の半分以上で有る事。

●アパートなど共同住宅につきましては、区画され独立した居住部分の床面積に、廊下や階段など共有部分の面積を案分して合算した床面積。

●マンションなど区分所有の住宅の場合は、専有する居住部分の床面積に、廊下、階段といった共有部分を案分して合算した床面積。
但し、専有部分に対する居住部分の割合が50%以上であることが条件です。

この床面積要件を満たす新築住宅は、課税される事となる翌年度から3年度分に限って、固定資産税額の半分が減額されます。

さらに、3階建て以上の耐火及び準耐火建築物につきましては減額措置が3年度分から5年度分に延長されます。

それから、新築住宅だけでなく、床面積要件を満たす認定長期優良住宅につきましても、新たに課税される年度から5年度分は、その住宅の固定資産税額が半分に減額されます。

さらに、3階建て以上の耐火及び準耐火建築物ですと、減額措置が5年度分から7年度分に延長されます。

但し、該当する新築及び認定長期優良住宅について、税の軽減が為されるのは一戸あたりの居住部分の内、120㎡までが限度とされますのでご注意ください。

上記以外にも、住宅をバリアフリーにしたり、耐震・耐火構造にしたりすると、軽減措置を受けられます。

3年に一度の評価替え

土地、家屋の価格は3年に一度の割合で評価替えされます。
評価替えする年度を基準年度と呼び、前回の評価替えは平成30年度でしたから次回令和2年は基準年度に当たります。
基準年度の翌年を第二年度、翌々年を第三年度とし、価格は基準年度のものを採用します。
但し、家屋が新築、増改築されたり、土地の分合筆があるなどした場合には、概ね新たに評価が行われます。

  

令和2年度地方税制改正における固定資産税の対応

令和2年度の地方税制改正においては、所有者不明土地等に係る固定資産税の課税上の課題に対応するため、所有者情報の円滑な把握や課税の公平性の確保の観点から、税制上の措置を講ずることとしています。
主な改正点は次の通りです。

所有者不明土地等に係る課税上の課題への対応

所有者不明土地等に係る固定資産税については、登記記録上の所有者が死亡している場合に「現に所有している者」(通常は相続人)の調査・特定に多大な時間と労力を要していることや、固定資産を使用収益している者がいるにもかかわらず、所有者が正常に登記されていない等の理由により、課税庁が調査を尽くしてもなお所有者が一人も明らかとならない場合には、固定資産税を課すことができないことといった課題が生じている。
こうした課題に対応するため、所有者情報の円滑な把握や課税の公平性の確保の観点から、以下の措置を講ずることとしていること。
●現に所有している者の申告の制度化
令和2年4月1日以後の条例の施行の日以後に現所有者であることを知った者について適用するとしています。

●使用者を所有者とみなす制度の拡大
この改正は、令和3年度分以後の固定資産税について適用することとしています。

※出典:令和2年度地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての留意事項等について(総務省自治税務局)


資産譲渡があった場合(不動産売買での固都税の精算)

固定資産税の納税義務者は、賦課期日つまり毎年の1月1日現在に所有者として固定資産課税台帳に登録されている方です。
銘記すべきは、仮に資産譲渡が有った場合でも、納税義務者の変更は無いという事です。
所有権の移転から固定資産税を日割り計算などで精算している事例が見られますが、これは決して地方税法で規定されているものでは有りませんので注意が必要です。
税負担の精算は、あくまでも当事者間の合意によって行われます。

不動産売買では通常、固定資産税、都市計画税の精算をします。
この不動産売買の場合は不動産を売却する対価として精算金を受領するとみなされ、この精算金は売買代金の一部とみなされます。
その場合、売主は買主から得た精算金を、譲渡所得の収入金額として申告します。
なお、買主は売主に対する売買代金の支払いとなり不動産の取得価額の一部となり、税金ではないので売主が事業者である場合には消費税がかかることになります。


     

免税について

同一区域内における土地の課税標準額の合計が30万円に満たない場合、それから家屋のそれが20万円に満たない場合には、固定資産税は課税されません。

         

償却資産の固定資産税

償却資産とは、法人税法上あるいは所得税法上で減価償却の対象となる資産を指します。
つまり規定された所得計算におきまして、損金もしくは必要経費として算入されるもので、
具体的には構築物、機械や装置、器具、船舶や航空機といった事業用資産を言います。

税額は、課税標準額×税率1.4%で算出します。
厄介なのが、課税標準額の算出です。
まず、所有の償却資産の評価額を一点ずつこまめに算出します。
評価額は、前年に取得したものにつきましては、取得価額×(半年分の減価残存率)で、前年より前に取得したものにつきましては、前年度評価額×(一年分の減価残存率)で算出
します。
減価残存率につきましては、東京都主税局のホームぺージなどから参照してください。
尚、算出した評価額が取得価額の5%を下回った時には、取得価額の5%を評価額とします。
各々の評価額を合算したものが課税標準額となります。
この時、償却資産を複数の区にわたって所有されている場合には、区ごとに評価額を合算して課税標準額を出します。
課税標準額が150万円に満たない場合は、税額はゼロとなります。


さて、固定資産税のイロハがご理解いただけたところで、以下では都市計画税について解説しておきます。

都市計画税について

都市計画税は、都市計画法に基づいて行う都市計画事業又は土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に要する費用に充てるために、市町村が目的税として課税するものです。
都市計画税を課するか否か、あるいは、その税率水準をどの程度にするかについては、地域における都市計画事業等の実態に応じ、市町村の自主的判断(条例事項)に委ねられています。

都市計画法に基づく市街化区域内にある土地及び家屋について、毎年の1月1日現在で固定資産税台帳に登録されている方が納税義務者となります。
償却資産につきましては、課税の対象とはなりません。
固定資産税と同じく市町村税ですが、23区内では特例で都税扱いとなります。

税額の算出方法

それでは都市計画税はどのようにして算出されるのでしょうか。
まず土地についてですが、課税標準額×税率0.3%が税額です。

都市計画税の計算にも都市計画税同様課税標準額(固定資産税評価額)が用いられますが、実は税率も地方税で以下の通り範囲が決まっています。

都市計画税・税額=固定資産税評価額(土地・建物)×税率0.3%(制限税率)


固定資産税の場合と同様に、課税標準額の算出がやや複雑です。
始めに、土地が小規模住宅用地にある場合です。
先ず、今年度価格×1/3の値を出し、これを本則課税標準額とします。
後は固定資産税の場合と同じやり方で、課税標準額を求めます。
但し、小規模住宅用地の場合には都税条例による軽減があり、課税標準額×税率0.3%を計算した額の半額が税額となります。

続いて一般住宅用地の場合は、今年度価格×2/3を本則課税標準額とします。
後は固定資産税の場合と同じやり方で、課税標準額を算出します。

家屋の相当税額は、(固定資産課税台帳に登録されている価格)×税率0.3%で算出します。

尚、平成32年度までは、都市計画税の税額は前年度の1.1倍を上限とします。
これは東京都独自の軽減措置ですので注意が必要です。

免税について

固定資産税が課税されなければ、都市計画税も課税されません。

固定資産税・都市計画税の軽減処置

固定資産税・都市計画税には、各市町村で非課税、特例、減額、減免などの軽減制度があります。
下記は東京都(23区内)の減税処置の内容一覧ですが、各自ご自身の市町村で確認しましょう。

◎新築住宅減額(固定資産税)
◎認定長期優良住宅に対する減額(固定資産税)
◎バリアフリー改修工事をした住宅に対する減額(固定資産税)
◎省エネ改修工事をした住宅に対する減額 (固定資産税)
◎耐震改修工事をした要安全確認計画記載建築物に対する減額(固定資産税)
◎税額が前年度の1.1倍を超える土地に対する条例減額
◎商業地等の負担水準引下げ条例減額
◎小規模住宅用地に対する軽減(都市計画税)
◎住宅用地及びその特例措置
◎道路非課税
◎固定資産税・都市計画税(土地・家屋)の減免
※参照出典:東京都主税局・軽減制度


固定資産税・都市計画税の納付方法

所有する不動産の市町村(東京都23区の場合各区)から、1月1日時点所有者に納税通知書が送られてきます。
この納税通知書に同封されている納付書を使用して納付(支払い)します。

納付方法は一括払いと、年4回の分割払いが選択できます。
納付方法の違いで総合的な金額が変動するわけではないので、ご自身の収支に合った納付方法を選びましょう。

納税場所は、市税事務所や金融機関窓口での現金払いが基本となります。
また市区町村によってはコンビニやペイジーでの支払い、クレジットカードや口座振替の自動引き落としなど、さまざまな支払い方法が選べる場合もあります。

固定資産税をコンビニで支払う場合のお得な方法

固定資産税は納付書持参で、コンビニエンスストアで納付可能です。

コンビニエンスストアで支払うときは、電子マネー「nanaco(ナナコ)」を使えばクレジットカードのポイントがプレゼントされ、また決済手数料もかかりません。

固定資産税・都市計画税をクレジットカードで払う3つのメリット

固定資産税をクレジットカードで納付することで、次の3つのメリットがあります。

●インターネットで24時間いつでも自宅で納付が完結できます。
●ポイントやマイルが貯まります。(※カード会社によってはポイント対象外となる税金もあります)
●合法的に支払いを遅らせることができます。(実際の支払いは、納付手続きから30日から60日後の利用料金の口座引き落とし日となります。)

固定資産税・都市計画税をクレジットカードで払う3つのデメリット

固定資産税の納付にクレジットカードを選択することで、ポイントが貯まるなどのメリットがある一方で、以下の2つのデメリットも存在します。

●決済手数料が別途かかります。
●領収証書が出ません。必要であれば、領収証書の代わりに納税証明書の発行手続きしましょう。

東京都で固定資産税・都市計画税をクレジットで支払いできるサイト

都税事務所窓口やコンビニエンスストアでのクレジットカード納付はできませんから、クレジットで固都税を収める場合下記サイトをご利用ください。


あなたの市町村で固定資産税のクレジットカード払いは可能か?

東京都の場合は専用の支払いサイトが有りますが、固定資産税がお住まいの自治体でクレジットカード払いに対応していることを確認するためには、【固定資産税+「市区町村名」(○○市など)】で検索してみましょう。

「Yahoo!公金支払い」はすべての自治体で対応しているわけではありませんが、もし対応していたら利用価値は高いです。

まとめ

固定資産税および都市計画税は、それぞれ標準税率と制限税率が定められ、課税標準額は固定資産税評価額を用います。
固定資産税は、都市部で税収の35%程度、町村は40%程度を占め、市町村にとって大切な税収と言われています。(平成26年度決算額から)
ゆえに各市町村はこの固定資産税、都市計画税の納付には力を入れています。

なお、固定資産税、都市計画税にはさまざまな軽減措置も設けられている場合も多く、条件に適合する場合には固都税が安く抑えられます。
但し、減税措置には事前に申請が必要な場合が多いので、あらかじめご自身の住まいはどのような減税措置が適応されるか調べておき、必要とあらば申請を行うようにしたいものですね。